体内時計をリセットする10のルールとは?
「近年“時間栄養学”という、栄養学と体内時計(時計遺伝子)の働きを組み合わせた新しいジャンルの研究が進んでいます。そして、人の体内にある約24時間周期の時計遺伝子が、筋肉やさまざまな臓器に影響を与えることがわかってきました。
具体的には、光と食事と運動の3つが、体内時計を動かす重要な要因と言われています。朝の光で頭と体にスイッチが入り、体内時計に合わせて消化酵素がしっかり分泌される時間帯に食事を摂れば、栄養素の利用効率が高まって代謝もあがります。以下に、体内時計を食事と行動で整えていく、“食コンディショニング”のルールをご紹介していきます」(小島さん)
●朝のルール
✔︎毎日同じ時間に起きる(休日の寝坊は1時間以内)
✔︎朝起きたら、光を浴びる
✔︎起床1時間以内に朝食を食べる
起床時間は一定に。目覚めたらすぐに朝の光を浴びましょう。目から入った光が脳の主時計をリセットします。朝食は起床から1時間以内。光と食事の2つの刺激に時間差がないほうが、体内時計が整いやすいとされています。
●昼のルール
✔︎昼食は食品数を多めにしっかり食べる
✔︎日中は活動的に過ごしてパフォーマンスを上げる
✔︎間食を食べるのは16時まで
昼は代謝がよく、栄養素が脂肪になりにくい時間帯です。食品数を多くして栄養素をしっかり補給。食後に軽く体を動かせば仕事効率も向上します。夕方以降は体内の脂肪量をコントロールする時計遺伝子のひとつ、ビーマル1の発現量が増えて脂肪がたまりやすくなるので間食は16時までに。
●夜のルール
✔︎夜食は20時までに
✔︎アルコールは21時まで
✔︎就寝1時間前にはブルーライトを避ける
✔︎0時までには就床する
代謝が落ちる夜は、遅くなるほど食べたものが脂肪に変わりやすい時間帯です。理想は20時までに食べ終わること。アルコールは21時まで。就寝時間も一定に。眠れなかったり、就寝時間が遅くなることで体内時計がずれてしまうと、睡眠の質が低下して夜型のリズムになるので要注意。
「上記のルールを、最初は1週間試してみてください。そして実践したら必ず、その効果を自分の体調で確認してみましょう。たとえば、ルールどおりに朝食を食べたときの午前中の集中力をみたり、ルールどおりに夕食を食べた翌朝の排便状況をチェックするといった具合です。実践できた項目と体調を記録して体の状態を見ながら整えていくことで、食生活と体調の関係が見えてきます。
10項目すべてをパーフェクトに行えればいちばんですが、自分にとって重要な項目だけを行ってもかまいません。“私は午前中から仕事がはかどることが重要だから夜のルールを大切にしてみよう”とか、“毎日できなくても週2回リセット日をつくっておけば目覚めはいい”、など、使い勝手よくアレンジしてください。食コンディショニングは体調を調整するためのスキルです。一度身につけると、その後も体調が変わるごとに自分で調節できるようになってきます」(小島さん)
教えてくれたのは…
管理栄養士・健康運動指導士
小島美和子さん
(有)クオリティライフサービス 代表取締役、食コンディショニングプロデューサー。女子栄養大学卒業後、食品会社、大学病院などでの勤務を経て、現職に。ビジネスパーソンの食生活改善プログラムなどの企画開発を行う。〝時間栄養学〟をもとに食生活をコントロールし、安定した体と心のコンディションを手に入れるメソッド「食コンディショニング®︎」を提唱。著書に『1週間でお腹からスッキリやせる食べ方』、『1週間で体調がグンとよくなる食べ方』(共に三笠書房)など。食コンディショニングのオンラインセミナーなども開催。http://www.qls.co.jp/
取材・文
谷畑まゆみ
フリーエディター・ライター。『Domani』連載「女の時間割。」、日本財団パラリンピックサポートセンターWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」等、働く女性のライフストーリー・インタビュー企画を担当しています。
※食コンディショニングは有限会社クオリティライフサービスの登録商標です。
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