「ケンカ」を「いい話し合い」に変えるためにはコツがある
―― ワーママたちの話を聞いていると、「家事や育児をひとりで抱え込みすぎてしまう。夫と分担したいけれど、話し合いがどうもうまくいかない」という夫婦が相変わらず多いな、と感じます。
コミュニケーションがうまくいかなくて、かえって問題がこじれてしまうという話はよく聞きますね。大前提として、「察してほしい」は禁止! 察してほしいと思っていると、相手が察してくれないこともストレスになって、どんどんストレスが増えてしまいます。「言わないとわからない」前提だと考えていたほうが、ムダにイライラしなくて済むような気がします。
―― そうですよね。でも不満を伝えたら伝えたで、険悪になってしまったりして…。
話し合いにもテクニックがあるんですよ。つい「あなたが悪い!」と責めてしまいたくなりますが、まず、「私はあなたの味方だし、あなたは私の味方でいてくれるよね」と、お互いが味方同士であることを確認することがとても大切だと思います。そうすることであなたが抱えていた悩みが、“ふたりで解決すべき課題”に変わるんです。
照れくさいかもしれないですが、コロナで不安な時期でもありますから、コーヒーでも淹れて、「今、何か不安なことはない? 大丈夫?」と声をかけることから始め、お互いに不安に思っていることを話して、「このコロナも、お互い味方になって乗り越えていこうね」と。
―― 確かにコロナ禍の今は、そういう切り出し方ならしやすいかもしれません(笑)。
そのうえで、たとえば「あなたは私の話を聞いていない」ではなく、「私はあなたが聞いてくれないと感じている」と、自分を主語にして話すこと。そうすると、自分も冷静になれます。感情的にならず優しく、事実=ファクトをもとに「目の前のふたりの問題を、どうやって解決していこうか」というスタンスですね 。
家事・育児分担についての話なら、現状、家事も含めてどれくらいの仕事を負担していて、睡眠もきちんととれていない、といったことを合理的に見せる。“名もなき家事”も含めた分担を可視化するアプリなんかもあるので、そういったものを活用するのもよいかもしれません。そして、「今こんなことを思っている」と本音を冷静なトーンで話すことがすごく大事!
話し合いが決裂したら、家事全放棄も辞さない
―― それでもまともに取り合ってくれない夫も…いますよね?
こちらが真剣に話しているのに「ハイハイ」みたいな反応なら、一回爆発してもいいと思いますよ。今のご時世、プチ家出するのも難しい状況ですが、それくらいの勢いで。そうなって初めて「え!? そんなにヤバイ状況だったの?」と理解する人も本当に多いので。
でも「自分はこんなにストレスを抱えていて苦しい。このままだとあなたのことも好きじゃなくなるかもしれない」くらいのことを言っても向き合ってくれないような人だったら、離婚を視野に入れてもいいと思います。
あとは、家事・育児を放棄するっていうのもひとつの方法ですよね。子どもがいると家事を全放棄するのは難しいけれど、夫まわりのことはすべてしない。夫が動かざるをえない状況にもっていく。夫の中には自分で家事をしてみることで「あ、家事をしないでギクシャクしているより、自分でやっちゃったほうが全然ラクだ」と気づく人もいます。
取材・文/酒井亜希子(スタッフ・オン)
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犬山紙子著・扶桑社新書377
育児・家事、夫婦ゲンカ、不妊治療、セックスレス 、不倫etc。“壁”を乗り越えた巷の夫婦を徹底取材して見えてきた夫婦円満のための100のヒントを収録!
コラムニスト
犬山 紙子
1981年生まれ。2011年に『負け美女 ルックスが仇あだになる』(マガジンハウス)でデビュー。その後も、『言ってはいけないクソバイス』(ポプラ社)、『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)など数々の話題作を発表。近年はテレビコメンテーターとしても活躍し、『スッキリ』(日本テレビ系、『ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系)などに日替わりコメンテーターとして出演中。