「育児休暇を夫がとるのもアリ」とすら思っていなかった
議員さんが育児休暇を申請することに賛成の声が多いという話を聞いたりすると、「出産と仕事」に対する世間の見方は変わってきたのかもしれないな、と思います。
とはいっても、男性が育休をとることはまだまだ一般的ではありませんよね。ドラマの原作コミック『逃げるは恥だが役に立つ』が好きで、最近全巻読み直したのですが、主人公の夫・平匡さんが育休を取得する話が出てきます。本人同士は納得していても、会社の人たちの男性が育休を取得することについてのとらえ方はまちまちで、それにモヤモヤする平匡さんが描かれていました。
我が家では、夫が育児休暇を取得したことはありません。私がひとりめを里帰り出産したのは10年前。復職はふたりめを出産してからと決めていたこともあり、しばらく育児に専念していました。ふたりめを出産後は復職と同時に保育園が決まり、3人めのときには近くに住む従姉妹に子どもを預けて、仕事復帰を乗り切りました。
「育休、どっちがとる?」夫とそんな会話をするという発想が当時の私にはありませんでした。でも一度話し合っておくことで、後々の母親の育児の役割が大きくなりすぎないよう、お互いに意識が働くかもしれないと今は思います。
「育休」「時短」のその後に
そして育児は「育休」「時短勤務」の後もずーっと続きます。子どもたち全員が小学6年生になるくらいまではなんだかんだと「育児期間」。
夏休みなどの長期休みや代休など、平日に学校が休みのときもあるし、子どもが習い事をやりたいといえばそこへの送り迎え、また両親ともに仕事の終了時間を調整できないと子どもだけでお留守番するという状況も。シッターサービスを使うことができる環境の家庭ばかりではありません。私自身、この育児期間中の夫婦間の時間調整が上手くまわらないことがかなりのストレスになっています。
様々な場面で「新しい生活様式」を模索中の今ですが、前向きに捉えたいことの一つとしてzoomなどを使ったオンライン会議も増え、オフィスでなくても働ける環境が急速に整ってきました。新しい働き方、新しい育児の仕方も生まれてくるときなのかもしれません。もちろん仕事内容にもよりますが、フレックスや時短勤務の形はいろいろあっていいように思います。
ミッシェル・オバマ氏の自伝『マイ・ストーリー』の中に、シングルの女性が、子どもの送迎で仕事を中抜けするとき、周囲の人がヘルプする、という描写が出てきます。親だけでなく、仲間達みんなで子育てをしているように感じて、私、このシーンがすごく好きなんです。
これからの時代は子連れ出社ももっと認められるようになるかもしれません。あるいは、子どもの面倒を見るのが家族ばかりではなく、仕事仲間や新たなコミュニティということもあるかもしれません。
出産、乳幼児期を過ぎても続く「子育て」の時間。育休と同じようにこの期間についてももっと社会全体で考えたい。子ども達を見守り、さまざまな形でサポートできる環境が整ったら、もっと素敵な社会になるんじゃないかな、と思っています。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。