Summary
- 十五夜は毎月訪れるが、中でも旧暦8月15日の夜を指すのが一般的
- 月が最も美しい季節であることや収穫祭を兼ねていることから、秋の十五夜にお月見をする風習が定着した
- 満ち欠けの周期と旧暦の関係上、十五夜は必ずしも満月ではなく、毎年日にちがずれる
秋の行事としておなじみの十五夜
十五夜が近づくと、ウサギや満月を模したデザインがあちこちに登場します。子どものテンションも上がってきて、「十五夜になにしよう」と考える人も多いのではないでしょうか。十五夜の過ごし方について策を練る前に、そもそも十五夜とはどのようなものなのかみてみましょう。

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十五夜は毎月訪れる
実は、秋だけでなく旧暦の毎月15日が「十五夜」とよばれると知っていましたか?前置きなく十五夜という場合は、旧暦8月15日の夜を指すのが一般的です。
旧暦では、月の満ち欠けを基準に日を数えます。つまり「十五」とは、新月から満月になるまでのおおよその日数を示しています。ただし、旧暦をそのまま新暦に置き換えても十五夜にはならないため注意しましょう。理由は後述しますが、十五夜は年によって日にちが変化します。
十三夜との違い
お月見において、十五夜とセットで扱われるのが「十三夜」です。これは旧暦で毎月13日の夜を指します。十五夜と同様に秋が特に有名で、旧暦9月13日の夜が一般的に認識される十三夜です。
十五夜と十三夜の月は、あわせて「二夜の月」とよばれます。昔は十五夜・十三夜を同じ庭で見る風習がありました。どちらか一方の月しか見ないことは「片見月」とされ「縁起がよくない」と考えられたためです。
ただし、旧暦8月は台風シーズンに当たります。天気は荒れがちで月が見えないことも少なくありません。一方旧暦9月は台風も去り、秋晴れに恵まれることが多くなります。きれいな月が見える可能性は高いようです。
十日夜との違い
「十五夜」「十三夜」と並んで語られることが多い「十日夜(とおかんや)」は、東日本を中心に旧暦10月10日の夜に行われる収穫祭です。田の神が山へ帰っていくのを送る行事で、西日本の「亥の子」と同じ趣旨のものです。
「案山子上げ」や「案山子の年取り」「大根の年取り」「大根の年越し」とも呼ばれ、稲の収穫を感謝し翌年の豊穣を祈って、案山子を通して田の神に餅やぼた餅、秋の味覚である柿、栗などを献じます。また、稲刈り後の藁を束ねて藁鉄砲を作り、子供達が地面を叩く風習も残っています。
また、「十五夜」と「十三夜」「十日夜」を合わせて、「三月見(さんげつみ)」とも呼ばれています。
中秋の名月の由来は?満月とは限らない?
十五夜は「中秋の名月」ともよばれます。昔は季節を3か月ごとに分け、「7・8・9月」は秋に分類されました。つまり旧暦8月は秋の真ん中に当たるため「中秋」とよばれたのです。それでは、なぜ中秋の満月にお月見をする習慣ができたのでしょうか?中秋の名月の由来、さらにはそのころの月の様子について紹介します。

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秋の行事となった理由
十五夜は毎月やってくるにもかかわらず、お月見の習慣が定着しているのは秋だけです。その理由については諸説ありますが、「秋の月が最も美しいから」などといわれます。
まず秋は、空気が乾燥しているのが特徴です。空気中の水蒸気量が少ないため月がぼやけず、輪郭がくっきり見えます。加えて、月が高すぎず低すぎない適度な高さにあるのもポイントです。視界におさめやすく、月を眺めるのに適しています。
また冬や夏は気候が厳しく、外で月を眺めるには不向きです。最適なのは春か秋となりますが、春は空気中にチリや花粉が舞っています。大気の状態・気候を考えると秋のお月見が一番というわけです。
収穫祭としての意味も持つ
古来より十五夜は、秋の収穫を感謝する祭として庶民に親しまれていました。十五夜が別名「芋名月」ともいわれるのはご存知でしょうか。これは人々が収穫期をむかえた芋を十五夜にお供えしていたことに由来します。
お月見という風習そのものは唐代中国のもので、やがて「月を見ながらお餅(月餅)を食べる」という風習ができました。それが奈良~平安時代の日本に伝わり、貴族が月を見ながら歌を詠む行事となりました。