魔除けの意味を持つ
ススキは古来より「魔除け」の力があると信じられてきました。その鋭い切り口が魔除けに効くとされ、十五夜に飾ったススキを玄関の軒先に飾っておくと「1年間無病息災でいられる」などといわれます。
また、ススキは神様が降りてくる「依代(よりしろ)」として置かれたという説もあります。ただし初めからススキが選ばれたのではなく、ススキは稲穂の代わりです。
十五夜のころ、農村部ではすでに稲の収穫が終わっていました。稲穂はすでに周囲になく、人々は形状の似ているススキで代用したのです。
ベースに挿したりリースにしたり
ススキだけでも秋の風情を楽しめますが、子どもと一緒のお月見ならもう少し華やかさをプラスしたいところ。グリーンやお花をあわせてフラワーベースに飾ると、現代風の素敵なお供えになります。
また、ススキを使ってリースを作るのもおすすめです。ススキは数本ではさみしい印象ですが、たくさん束ねればボリューム感が出て見栄えもよくなります。玄関先やドアに飾れるので、家中が十五夜ムードに包まれます。
万が一ススキが入手できないときはイネ科の「パンパスグラス」をチェックしてみてはいかがでしょうか。ススキのようには頭が垂れませんが、雰囲気は似ています。飾りやすいうえに比較的入手しやすいので、ススキの代用にはぴったりです。
お月様へお供えする品物はいろいろ
子どもに伝統的な月見の風習を伝えるなら、お供え物も昔からの風習にならってみてはいかがでしょうか。月見団子やススキ以外にも「お月見にふさわしい」といわれるものはさまざまあります。どのようなものなのか具体的にみてみましょう。
ぶどうなど秋の野菜や果物
十五夜のお月見には収穫祭の意味も含まれるといわれます。そのため、秋ならではの旬の果物や野菜などはお供え物として最適です。かぼちゃ、栗など秋の味覚をお供えしましょう。
特に豆や芋などは、丸くて小さいことから月に見立てられることが多々ありました。お供え物としては定番で、十五夜の食事にはこれらを使ったメニューが多く見られます。また、野菜や果物のなかでもツルのあるものは「月と人との結びつきを強めてくれる」などといわれる縁起のよいものです。お供えにはぶどうやアケビなどを加えるのもおすすめですよ。
色とりどりの秋の七草
「春の七草」があるように、秋にも「秋の七草」とよばれるものがあります。古来より十五夜ではこの秋の七草を飾る習慣もありました。
次の六つの植物にススキをあわせたものが秋の七草です。
・ハギ
・キキョウ
・ナデシコ
・クズ
・フジバカマ
・オミナエシ
食す習慣のある春の七草とは違い、秋の七草は目で楽しむものです。紫やピンク、黄色など色とりどりのきれいな植物がそろっています。
近年は秋の七草をセット販売するフラワーショップも散見されます。十五夜が近くなったら、フラワーショップをチェックしてみるのもおすすめです。とはいえ、どうしてもそろわないときは無理をする必要はありません。入手できた花だけでも十分なお供えとなります。
十五夜に食べるものは?
定番のお供えもの以外にも、十五夜の食べ物として親しまれているものをご紹介します。
月見そば・月見うどん
かけそばやうどんにたまごを落とした月見そばやうどんも、十五夜の人気メニューです。雲に見立てて、とろろをたまごの下に敷くのもおすすめです。
さつまいもごはん・栗ごはん
十五夜が「芋名月」とも言われていることから、秋の収穫物であるさつまいもや栗を入れた炊き込みごはんも十五夜にぴったりです。鮮やかな黄色のくりや丸く見える栗は、中秋の名月を連想させるでしょう。
きぬかつぎ
「芋名月」にちなんで、里芋を皮付きのまま茹で、皮を剥いて食べる「きぬかつぎ」も十五夜のメニューとして親しまれています。
和菓子や月餅
十五夜が近付くと、月見団子のほかにうさぎや月の形やススキ模様などこの季節ならではの生菓子が多くの和菓子店で店頭に並びます。満月を連想させるどら焼きやも十五夜のお菓子の定番です。また、中国の中秋節に欠かせない「月餅」もスーパーマーケットなどで手軽に買えるようになったことから、日本でもお月見のお菓子として食べられるようになっています。
写真/Shutterstock.com
▼あわせて読みたい