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2023.06.06

日本の有名な盆踊りは? その意味や参加するときの注意点をおさらい

 

盆踊りは、日本人にとってなじみ深い夏の行事の一つです。独特の音色に合わせて多くの人が踊る様子は、見ているだけでも気分が高揚します。盆踊りの由来や参加のマナー、一度は見に行きたい有名な盆踊りについて解説します。

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盆踊りとは?

夏になると各地で盆踊りが催されます。お盆に皆で踊る風習は、いつ頃誕生し、どのようにして広まっていったのでしょうか。盆踊りの歴史を振り返ってみましょう。

盆踊り

由来は仏教の「念仏踊り」

盆踊りは、平安時代に流行した「念仏踊り」が由来とされています。念仏踊りは、仏教を広めるために「空也上人(くうやしょうにん)」が考案したものです。空也上人は、仏教の堅苦しく難しいイメージを払拭しようと、念仏に節を付け、歌いながら布教活動していました。空也上人の狙いは当たり、歌うように念仏を唱えながら踊る「踊り念仏」が流行しました。

鎌倉時代になると、空也上人の影響を受けた「一遍上人(いっぺんしょうにん)」によって、踊り念仏は全国各地に広まりました。踊り念仏には、死者の霊を慰め、極楽浄土へ導く力があるとされていました。このことが、祖先の霊を供養する仏教行事「盂蘭盆(うらぼん)」と結び付き、「盆踊り」が生まれたと考えられています。

民衆娯楽へと発展する

仏教的な意味合いが強かった盆踊りですが、次第に民衆の娯楽の要素が強まっていきました。室町時代になると、人々は伴奏や振り付け、衣装、小道具などを競い合い、歌や踊りそのものに酔いしれるようになりました。江戸時代には地域住民の交流の場となり、男女の出会いの場としても利用されるようになりました。風紀を乱すとの理由で、取り締まりの対象になることも少なくありませんでした。

明治維新によって西洋の新しい文明が入ってくると、盆踊りの風習も一時衰退しましたが、大正時代には復活し、今でも日本の夏の風物詩として大切に受け継がれています。

盆踊りに参加するときの注意点

盆踊りは基本的に誰でも参加可能です。最初から最後まで踊っても、途中から参加しても構いません。子どもと一緒に踊りに加われば、夏休みのよい思い出になるはず。盆踊りに参加するときの注意点や、服装について見ていきましょう。

盆踊り

踊りの輪への入り方

盆踊りには、やぐらを囲むように踊る「輪踊り」と、列になって町中を流す「流し踊り」があります。流し踊りはあらかじめ踊り手が決まっていることが多いため、飛び入りで参加したいなら「輪踊り」がおすすめです。

やぐらの上にはお手本となる踊り手がいて、振り付けを全く知らなくても、踊り手のまねをすれば踊れます。やぐらの周りにいくつかの輪ができているので、一番外側の輪に曲が終わったタイミングで合流しましょう。前後の人に「入ってもよろしいでしょうか」と一声かけるとスムーズです。

迷惑になる行為はNG

盆踊りでは、以下の行為はNGです。

・自己流の振り付けで踊る
・飲食しながら踊る
・写真撮影などで踊りを止める

盆踊りで使用する曲や振り付けには、それぞれ意味があります。踊り方が分からないからと適当に踊るのではなく、たとえ下手でもお手本と同じ振り付けで踊りましょう。

食べ物や飲み物を片手に踊るのもいけません。熱中症が心配なときは、一度輪から離れて水分補給をしましょう。

子どもが踊る姿を写真やビデオに撮りたい人も、輪から出てカメラを構えるようにします。自分勝手な都合で、踊りを止めないように注意しましょう。

浴衣や動きやすい服装にする

盆踊りの服装に、特に決まりはありません。熱気に包まれた会場で踊ることを考えると、涼しくて動きやすい服装がよいでしょう。

浴衣で参加すれば、より雰囲気を楽しめるのでおすすめです。盆踊りの振り付けは浴衣が基本なので、踊りが上手に見える効果も期待できます。ただし下駄を履き慣れていない人は、足が痛くなる可能性があるため注意が必要です。事前に鼻緒をやわらかくしたり、足袋をはいたりするなどの対策を取りましょう。

全国の有名な盆踊り

秋田県・岐阜県・徳島県に伝わる盆踊りは、日本三大盆踊りと呼ばれています。それぞれの見どころを簡単に紹介します。

盆踊り

秋田県「西馬音内の盆踊り」

三大盆踊りの中でも、最も古い歴史を持つのが秋田県の「西馬音内の盆踊り」です。鎌倉時代にお寺で行われた、豊年祈願の踊りが発祥といわれています。これに、関ヶ原の戦いに敗れて滅んだ西馬音内(にしもない)城主・小野寺氏の遺臣が主君を偲んで踊った「亡者踊り」が合わさって、現在にまで続いていると考えられています。明治40年に、正岡子規の弟子・河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)が、「初めて絵になる盆踊りを見た」と記したことでも有名です。

毎年8月16日~18日に開催され、編み笠や彦三頭巾(ひこさずきん)で顔を隠した踊り手たちがかがり火に照らされ踊る様子は、とても見ごたえがあります。

岐阜県「郡上踊り」

郡上踊り(ぐじょうおどり)」の起源は、江戸時代の初めに郡上藩の藩主が領民のために企画した盆踊り会です。各所に伝わる盆踊りを城下に集め、お盆の4日間は身分に関係なく踊れるようにしました。このため郡上踊りには、地元の人も観光客も一緒になって踊れる楽しさがあります。現地では下駄や衣装の調達も可能で、飛び入り参加を目的に訪れる人もたくさんいます。

開催期間が長いことも特徴の1つです。7月中旬から9月上旬にかけて、いつも街のどこかで盆踊りが開催されています。特に注目したいのが、8月13~16日に行われる「徹夜踊り」です。徹夜踊りは毎日午後8時から始まり、夜が明けるまで続きます。ふぞろいだった振り付けや下駄の音が夜明けごろには整い、踊り手に一体感が生まれます。踊った人にしか分からない独特の高揚感が、郡上踊りの大きな魅力です。

徳島県「阿波踊り」

阿波踊り」は、かつて阿波国と呼ばれた徳島県を発祥とする盆踊りで、江戸時代の初めに、徳島藩祖・蜂須賀家政(はちすかいえまさ)が城の完成を祝い、町人たちに自由に躍らせたのが起源とされています。その後も商人によって盛んに踊られ、民衆娯楽として発展を続けました。戦後には復興の象徴として注目され、高円寺、下北沢、三鷹など徳島県以外にも広がっています。

阿波踊りは、毎年8月9日の鳴門市を皮切りに、徳島県の各地で開催されます。最もにぎわうのは、8月12~15日の徳島市の阿波踊りで、踊り手・観客ともに日本最大数を誇ります。阿波踊りに参加するのは、地域住民や学生・企業が結成する「連」と呼ばれるグループです。連はそれぞれ衣装や振り付け、伴奏に趣向を凝らし、市街を練り歩きます。伝統的なものから流行を取り入れた斬新なものまで、連の個性を楽しめるのも阿波踊りの見どころとなっています。

※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、開催の中止や内容変更がされている場合があります。

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『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)

季節の行事を親子でいっしょに学べる絵本形式の実用書です。ものごとの由来やしきたり、遊び方、箸の持ち方、衣服のたたみ方など、行事を子育てに役立てるコツを豊富なイラストで楽しく紹介。文化と愛情を伝える「行事育」が手軽に実践できます。

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監修/和文化研究家

三浦康子

古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)ほか多数。

写真/Shutterstock.com

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