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イースターとは
近年日本でも広く知られてきた「イースター」。とはいえ、イースターとはどのような日なのか、きちんと知っている人はまだまだ少ないかもしれません。その由来や楽しみ方をご紹介します。
イエス・キリストの復活を祝うお祭り
「イースター」は、十字架に架けられ処刑されたイエス・キリストが復活したことを祝う日です。日本では「復活祭」とも呼ばれイベント的なニュアンスが強いですが、キリスト教においては最も重要な祝日です。
「Easter(イースター)」の語源は、ゲルマン神話に登場する春の女神「Eoster(エオストレ)」、または春の名月の名前である「Eostremonat(エオストレモナト)」が由来といわれています。寒い冬から暖かい春へと移り変わり、命の再生を感じさせる季節にぴったりの行事です。
イースター(Easter)
キリストの復活を記念するキリスト教の祝日。春分後の最初の満月の次の日曜日に行われる。イースターサンデー。復活祭。《季 春》
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
日付は毎年変わる
イースターは多くの欧米諸国では祝日になっていますが、毎年日付が変わるのが特徴です。2024年のイースターは、グレゴリオ暦に則ると「3月31日(日)」になります。
日付の決め方は「春分の日の以降、最初の満月の次に迎えた日曜日」とされています。キリスト教の教派によって違う暦で日を読むため、必ずしもみんなが同じ日にお祝いをするわけではありません。
一部の欧米諸国では「イースター休暇」が認められ、その期間中は、国によっては商業施設が閉まるところもあります。国や家庭によって休暇の過ごし方はさまざまですが、旅行へ行ったり、自宅でイースターにまつわるゲームをしたりと、家族や仲間と一緒に楽しむことが多いようです。
シンボルは卵とウサギ
イースターが近づくと、「卵」や「ウサギ」をモチーフとしたグッズが売られているのを目にします。なぜ卵とウサギがイースターのシンボルとされているのか、ご存知ですか?
イースターエッグ
卵はキリスト教では「生命の誕生」を意味し、卵からヒナが誕生する様子は「命の誕生」や「復活」を強くイメージさせます。卵の持つそのようなイメージが、一度処刑されたキリストが復活したことにつながるため、卵がイースターのシンボルになったといわれています。
またキリスト教信者の間では、イースターの46日前から断食を行う風習がありました。その間、卵は禁食とされていたため、卵を用意して断食終了を祝ったという説もあるようです。
イースターでは、卵にカラフルなペイントをした「イースターエッグ」を用います。部屋の装飾にしたり、パーティーゲームに用いたり、イースターを盛り上げるのに欠かせないアイテムです。
イースターバニー
イースターにはウサギも登場しますが、その由来は諸説あります。よく知られているのは、ウサギは多産であることから生命の復活と繁栄の象徴になっているというものです。また「ウサギが春の女神の使いだった」という説も有名です。
一方で「イースターの時期になるとウサギが裁判官となって、良い子・悪い子の評価を行っていた」という、キリスト教の教派・ルーテル教会の伝承から、イースターウサギが広まったともいわれています。
いずれにしても、「イースターバニー」もイースターエッグと同じくこのイベントには欠かせません。ウサギの小物を飾ったり、ウサギをかたどったお菓子を作ったりしてみると盛り上がります。
イースターの楽しみ方
イースターには、どのような過ごし方があるのでしょうか?イースターを楽しむアイデアをいくつかご紹介します。
部屋を飾り付ける
まず、イースター気分を味わえるよう部屋を飾り付けてみてはいかがでしょうか。飾り付けに欠かせないのは、やはり卵とウサギです。
近年、イースターの時期が近づくと、雑貨店や100円ショップなどでイースター専用の飾り付けアイテムが販売されます。クリスマスの飾り付けをするようにイースターエッグやイースターバニーを部屋に飾れば、普段とは違うイースターの雰囲気を演出できるはず。
親子や友達同士で、オリジナルのイースターエッグを作成するのも楽しそうです。作ったイースターエッグをバスケットに入れたり、1つ1つにひもを付けて壁や天井からつるしてみたり、好みに合わせて飾り付けをしてみてください。
ゲームで楽しむ
欧米では、イースターエッグを使ってゲームを楽しむこともあります。代表的な遊びである「エッグハント」は、家の中や庭に隠された卵を探すゲームです。イースターバニーが子どもたちへの贈り物として用意したイースターエッグを隠した、という物語がルーツになって生まれました。
またイースターエッグをスプーンに乗せて競争する「エッグレース」もおすすめ。卵を落とさないよう運ぶのがなかなか難しく、白熱するゲームです。
同じようにレース形式で楽しめる「エッグロール」は、毎年ホワイトハウスでも行われているゲーム。地面に置いたイースターエッグを割らないように転がし、ゴールへ向かいます。楕円形の卵はボールのようには転がってくれないため、一見簡単そうに見えても意外と苦戦する人が多く盛り上がります。
ご馳走を食べる
イースターは「キリストの復活を祝う日」であるため、クリスマスと同じように家族でご馳走を食べるのもおすすめです。イースターでよく出る料理は「デヴィルドエッグ」など卵を使ったものが多いのですが、他の食材を使ったメニューもあります。
代表的なのが「ラム肉のロースト」です。ラム(子羊)は、イエス・キリストが「神の子羊」と呼ばれていたことから、キリスト教と深い関わりがあり、聖書にも多く登場する動物です。
他には十字型の切り込みが入った「ホットクロスバンズ」や、ウサギ型のケーキなど、イースターにまつわるものをモチーフにした食べ物が食卓を華やかにしてくれるはず。今年はおうちでイースターを楽しんでみてはいかがでしょうか。
年中行事、ならわし、旬の食べ物、まつり…1年を通じて楽しいことがいっぱい! 二十四節気も暮らしに潤いをもたらします。季節とともに暮らすノウハウやちょっとしたアイデアが満載です。
監修/和文化研究家
三浦康子
古を紐解きながら今の暮らしを楽しむ方法をテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで提案しており、「行事育」提唱者としても注目されている。連載、レギュラー多数。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとっている。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)ほか多数。
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