機内ではCAのチームワークのよさが必要不可欠
「可以給我一杯水嗎 (お水を一杯いただけますか)」「有入境表格嗎 (入国書類はありますか)」「我要一張毯子(ブランケット 1枚ください」など、機内では離陸から着陸するまで乗客からさまざまなリクエストを受けます。
そんなときには、まずは笑顔で「好的 馬上來 (はい、かしこまりました)」、それからリクエストされたものを取りに行きます。
基本、自分が頼まれたものは責任をもって自分でお届けに行きますが、どうしてもそれが難しい場合やもっと効率がよい方法があるときには他のCAに座席の場所を伝え、代わりに届けてもらうこともあります。
「50DEの子ども連れの方にコーラ一杯お願いします」など、届けてもらうCAにはどの座席かということを “席の番号” で伝えることがほとんどなのですが、実はこの他にもうひとつ伝え方があります。
そんなときに使う言葉が「倒数* (Dào shǔ)」。(*台湾では「數」という漢字のほうが一般的)
中国語で「倒数 (Dào shǔ)」は「後ろから数えて」という意味
「倒數第二排的媽媽要一杯可樂 可以幫我送嗎 (後ろから2列目の子ども連れの方にコーラ一杯届けてくれる?)」
わたしが新人だったころ、そう先輩にいわれたことがあります。「どこかの席のお母さんにコーラをもっていくってことなんだろうけど、どこだ…?」
普段だったら座席番号で伝えられるはずなのに、「倒数* (Dào shǔ)」という言葉を知らなかったがために、私はひとまずコーラを準備して先輩にもう一度席の場所を聞き直すことにしました。
「學姐 不好意思 請問是哪一個客人呢? (先輩、すみません、どちらのお客さんですか?)」
「倒數第二排 50DE (後ろから2列目の50DEよ)」
「第二排、50DE、あ、後ろから2列目ってことね!!」
(c) shutterstock.com
しっかり訓練を受けていても、教科書を丸暗記していても、やはり生きた言語というのは現場でしか習えないこともあるということを、あらためて実感した出来事となりました。
【続】
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ライター
有田 千幸
外資系航空会社のCA、建築設計事務所の秘書・広報を経て美容ライターに。ニュージーランド・台湾在住経験がある日・英・中の トリリンガル。環境を意識したシンプルな暮らしを心がけている。プライベートでは一児の母。ワインエキスパート。薬膳コーディネーター。@chiyuki_arita_official