なんとなく具合の悪さを訴える子ども。「やる気がない」だけ?
朝起きられなかったり、風邪症状はないけれど頭が痛いと言ったり、親からすると「怠けてる!?」「だらけてる!?」と思いがちですよね。しかし、最近これらの症状は「起立性調節障害」と名前のつく病気だとテレビなどでも取り上げられています。スクールカウンセラーとしても活動している、臨床心理士・吉田美智子さんに「起立性調節障害」について詳しくお聞きしました。
「起立性調節障害」とは?
「起立性調節障害とは、自律神経の乱れなどから生じます。症状は、立ちくらみ、朝起きられない、倦怠感、動悸、頭痛などで、座っている時・立っている時に重く、横になると楽になります。午前中や雨天時に症状が重くなることがあります。発症しやすいと言われているのは10~16歳で、小学生の5%、中学生の10%に症状が見られるそう。起立性調節障害になる原因ははっきりとしていませんが、遺伝要素があると言われています。日常生活に支障が出る程度なら2〜3ヶ月の治療になりますが、昼夜逆転生活になったり学校へ行けなくなるなど重症になると、2〜3年かかるとも言われています」
親ができるサポートとは?
「まずは上記のような症状があり心配な時はかかりつけ医や、専門家に相談してみましょう。その上で親ができるサポートとして、自律神経を整える手助けがあります。交感神経の働きは、
<1>活動しているとき→交感神経優位
<2>休んでいるとき→副交感神経優位
となります。例えば、<1>は朝起きて、学校へ行く、遊ぶなど。<2>はご飯を食べる、お風呂に入る、くつろぐなどのタイミングになります。一日の終わりには<2>の副交感神経優位の状態にならなくてはなりません。しかし夜遅く・寝る直前までゲームをしていると、興奮状態のままでしっかり休むことが難しくなります。そして、朝起きたとしてもその状態ではなかなかエンジンがかかりませんよね。また、起きるのが精一杯で朝食を抜くと、これも副交感神経が優位のままで活動しなくてはなりません。
子どもの一日の生活パターンと、自律神経の調和が取れているか見直してみましょう。タイミングがずれているようでしたら、生活リズムの調整をしてください。起立性調節障害は一見、怠けやわがままのように見えるかもしれません。しかし、きちんとした病気なので、叱ったり生活を厳しくしたりしないようにしましょう。親が正しく理解しサポートをする、学校への説明もしっかりすることで子どもが少しでも安心して生活できるといいですね」
取材・文/福島孝代
画像(C)Shutterstock.com
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