コロナに負けないで、楽しい思い出を作ってあげたい!
コロナ禍で行動が制限されている今、思うように旅行や外出できず、遠方で暮らしている親族となかなか会うことができないという人も多いかと思います。あまりにも変化のない日々の中、子どもにちゃんと楽しい思い出はできているのだろうかと不安に感じることも。そこで、スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんに「記憶に残る思い出の作り方」をお聞きしました。
思い出は作っておしまいでは記憶に残らないかも!?
「仕事柄、カウンセリングを行うとき、幼少期の記憶や昔のことを聞くことがよくあります。残念ながら、大抵の方は多くを覚えていないのです。でも皆さん、数は多くないけど小さい頃の記憶はありますよね。どうして覚えているのでしょうか。これには3つのプロセスが鍵になってきます。
1.体験が記憶される
2.記憶が保たれる
3.思い出す
思い出を記憶してもらいたいと思ったら、意味付けをすると保たれやすくなります。いつもとは違う出来事や、いつもより楽しかった・おもしろかった・びっくりしたなど本人にとって印象的な体験のほうが、記憶として残りやすくなります。例えば、1週間前の晩御飯は思い出せなくても、お誕生日の晩御飯は思い出せるように。
しかし、周りが見えないくらい夢中で没頭した体験は「は~、おもしろかった!」という体験ではあっても、後から思い出すことのできる記憶としては残りにくいかもしれません。なぜなら、記憶するにはある程度、言葉と結び付けることが必要と言われています。ですので、楽しかった体験のあとに親子で思い出を話し合ったり、親から見た様子をお話してあげる、その際、写真や思い出グッズなど助けがあるとさらに印象が強く残るかもしれません。
写真は撮りっぱなしにせず、プリントして飾ってみたり、ことあるごとに家族で見返してみましょう。何度も目にしたり、会話に出ることで、どんな出来事だったか脳に刷り込まれ、忘れられない思い出となるのです」
ちなみに、人は「忘れる力」も大切なんです
「子どもたちに楽しい思い出を作ってあげたい、そのことを覚えていて欲しいと願うのはもちろん悪いことではないのですが、記憶とは【忘れる力】も大切なんです。記憶は身体に刻まれます。記憶が消えてしまっても辛い体験・トラウマ体験がある人は、似たような体験をすると無意識に身体が強張ってしまうのです。
中には記憶力が優れた人もいて、この場合楽しい思い出だけじゃなく、辛く悲しい思い出が消えず苦しんでいる場合もあります。コロナで大変な毎日を過ごしていますが、不安や不満の記憶が強く残らないよう、親として子どもを明るく支えてあげられるといいですね」
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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