話に集中できない、友達に誤解されてしまう…もしかするとAPDかも!?
学校や人混みの中にいると、なんだか話をしても上の空だったり、話しかけているのに気づかない…子どもにそんな症状が見られたら、「APD」を疑って欲しいと、スクールカウンセラーでもある臨床心理士・吉田美智子さんは話します。
APD=聴覚情報処理障害とは?
「普段、私たちの耳は、自分が聞きたい音を選択して聞くことができる仕組みになっています。例えば、授業中、子どもたちの私語があっても先生の声に集中して授業を聞くことができる、というように。しかし、聞こえてくる音を平等に聞いてしまう結果、【ざわざわしていると相手の話が聞こえない】【複数の人が話していると何を話しているのかわからない】ということが生じます。これがAPD=聴覚情報処理障害と言います」
起こりがちなトラブル
「複数の人間がいる場所で症状が起こりやすいため、子どもの場合、学校で以下のようなことが起こります。
●授業中、先生の話に集中するのが難しい
●班の話合いなどで、複数の子どもが一斉に話すと何を言っているのかわからない
●学校で誰かから名前を呼ばれたり話しかけられたりしても気づけない
聴覚には異常がないために、『集中して聞いていない本人が悪い・怠けている』と先生に思われてしまったり、『無視した・感じが悪い』などと友達に誤解されてしまうこともあります。APDはまだ知名度も低いため、APDに気づくことや、理解してもらうことが難しい現状もあります」
こんなことが気になったら専門家へ
「APDは全く聞こえない状態ではないため、なかなか気づきにくいですが、以下のことを参考にしてみてください。
●聴覚に異常がないのに、名前を呼んでも気づかないことが多かったり、話していても内容が伝わらない感じがするとき
●子どもが学校で授業や活動に、聞きづらさを感じているとき
ちなみに、耳の病気などにより一時的に聞こえが悪くなっているだけという場合もあります。その場合は治療をすれば回復しますが、APDの場合、原因はわかっておらず治療法も確立していないそう。しかし、どちらにせよ早めに耳鼻科を受診することが大切です。
今年初めて子どものAPDに対し大規模調査が行われるそうです。我が子だけでなく、周りのお友達がもしAPDだったとしたら、どのように接すればいいのか親子で話せるといいですね」
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らしく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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