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2021.09.22

元宝塚歌劇団男役が11年間在籍していた花組の変革期に立ち合って感じたこと|鳳真由さんスペシャルインタビューvol.1

前回の純矢ちとせさんからご紹介いただくのは、花組ひとすじで11年間を過ごした元タカラジェンヌの鳳真由さん。1回めの今回は、思い入れのある「宝塚歌劇団 花組」のことをメインにお話をうかがいます。

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同期・91期の現役タカラジェンヌに贈る言葉

鳳さんと同期の91期生は上級生になり、組をまとめる立場にいたり、専科に移られたりと、重要なポジションを担っていますよね。

鳳:自分が退団して5年って早いな…と思うのが、同期の舞台姿を観た時です。観るたびに演じる役が大きくなって、それこそ“重鎮”と呼ばれるような役を演じていて、本当に時の流れにびっくりするんです。現役で頑張っている他の組の同期はほとんど会う機会がなくて、気づいたらこんなに場を埋めるような存在になっているなんて。初舞台や、お互いに新人公演を観に行っていた時代で記憶が止まっているんですよね、浦島太郎状態(笑)。

雪組のりーしゃ(透真かずきさん)は皇帝役とかしていたり、星組のちーちゃん(天寿光希さん)は、ちょっと前になりますが『ベルリン、わが愛』で専科さんが演られるような大御所の役をしていたり、月組の白雪さち花は女帝みたいになってきたりして(笑)。そんな同期の姿は安心感がありますよね。まだなんとなく信じられない時もありますが…、(目を擦って)「あれ、同期の○○ちゃんだよね? ホントかな?」みたいな(笑)。

これは私のわがままで甘えた意見なのですが、同期がまだ劇団にいるのはタカラヅカを観る理由のひとつになるじゃないですか。タカラヅカを守って、組を引っ張っているんだろうなと考えると、やっぱりその姿を観たくなるから。これからも素晴らしい存在でいてほしいです。

退団後初となる舞台『エリザガラコン』では5年ぶりの男役に!

今年春に行われた『エリザベート・スペシャル・ガラ・コンサート』には、タカラヅカ現役時の『エリザベート』出演者が多く揃い、豪華なメンバーが華やかなステージを披露してくれました。2016年に退団後、コンサートなどには出演したものの大きな舞台作品に出演するのは初めてだった鳳さん。しかも男役としての出演でした。

5年ぶりの舞台で、男役で。心待ちにされていたファンの方も多いと思うのですが、鳳さんはどんな思いで『エリザガラコン』を迎えられましたか?

鳳:まず、「フランツを演りませんか?」とお話をいただいた時に、よく「やります」って言ったな、私、と思って(笑)。私は男役以外の女優をやったことがなかったので、“男役を演る”ということに関しては躊躇がなかったです。ただ、“お客さまの前で演じる”ということは5年のブランクがあったのでビクビクしていました。(共演者である)望海(風斗)さんなんてタカラヅカを退団して1週間だし、明日海(りお)さんも純矢(ちとせ)さんも宇月(颯)さんもコンスタントに舞台に出られている中で、私は成立するんだろうかと不安でした。

お稽古場でいろんな方が演っているのを見ると、もう“フランツ・ヨーゼフ”なんですよ。衣装も見えてヒゲも見える。フランツは代役稽古のみで本公演で演じた経験がないばかりか、ブランクもあったため、まずは音をとること、セリフを覚えることなど、とにかくこなすことに必死でした。タイムスリップですよね、新人公演の頃に。どうにもならない、あのがむしゃらさを、退団して5年を経てから経験するなんて(笑)。

東京は無観客配信で、お客様がいないという、いつもと違う状況が不安でありましたが、もうやるしかなくて。退団して、「もう絶対にない」と思っていた望海さんや明日海さんとの共演が、終演して幕が降りてひとりひとりにご挨拶させていただいた時に実感しましたね。「今日、○○さんと組ませていただいてとても幸せだった」とか言っていたけれど、それまでは張り詰めすぎていて訳がわからない状態だったんですよ、本当は。「そんなこと言っている場合じゃないぞ」とツッコんでいる自分もいて、ちょっとなんだかおかしな次元でくるくる回っていた感じでした(笑)。久しぶりですもん、そりゃそうなりますよね。だから、これを毎日毎年やっているタカラジェンヌって尋常じゃないなと思いました。すごい世界で生きているんだなと、改めて尊敬しましたね。

東京公演は無観客配信といういつもとは違う状況でしたが、いかがでしたか?

鳳:1回目の無観客配信は、麻路さきさんがトートの’96星組バージョンで、他の出演者は客席からの見学が可能だったんです。それを観た時、本当に物語の中にタイムスリップしたような感覚を覚えました。拍手をしないから集中力が途切れずストーリーにどんどん入り込んでしまって、終わった時には鳥肌が立つほど。私も、無観客でやる時はそこを目指そうと思いました。舞台をお客さまに観せているというのではなく、この舞台の上で起きていることは世界で今実際に起きていることなんだ、と。フランツ・ヨーゼフとして、今を生き抜くんだという意識が高まったと思うんですよね。

『エリザベート』という作品だったからそういう意識になれたのかもしれません。ショー作品だったり、『ME AMD MY GIRL』みたいにお客さまを巻き込むものだと厳しいですよね。うーん、もう無観客公演はなくなってほしいです。自分が演じる側でというより、花組の無観客公演のショーを観た時に、「あぁ、ここで一緒に手拍子したかったな」と盛り上げたい気持ちがあったので。

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花組の先輩として今の変化と進化を受け止めつつ「ずっと観続けたい」とおっしゃる鳳さんの花組男役魂は、タカラヅカを卒業して5年経った今でも健在で熱く燃え盛っているのを感じました。そして、とても懐が大きく温かい。

撮影/阿萬泰明(PEACE MONKEY) ヘア&メイク/中西雄二(Sui) 文/淡路裕子

俳優・大学生

鳳 真由

おおとり・まゆ/4月26日生まれ、東京都出身。2005年に91期生として宝塚歌劇団に入団。花組大劇場公演『マラケシュ・紅の墓標/エンター・ザ・レビュー』で初舞台を踏んだ後、男役として花組に配属。2010年の花組大劇場公演『虞美人』で新人公演初主演、その後『ファントム』『復活』と新人公演の主演を務める。2016年花組大劇場公演『ME AND MY GIRL』で退団。医療系大学に通いながら、2021年『エリザベート・スペシャル・ガラ・コンサート』に出演。11月に行われる『宝塚歌劇花組・月組100周年記念 Greatest Moment』への出演も決定している。小平市観光まちづくり大使。
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