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2021.11.18

「鈍色」正しく読める?意味は〝濃い灰色〟のこと|語源や使い方も解説

 

「鈍色」とは濃い灰色のことで、平安時代には喪や出家の色として使われていました。現在は「グレー」や「ねずみ色」などの言い方のほうがよく使われますが、趣のある表現として歌詞や俳句、文学に用いられます。そこで本記事では、鈍色の語源や使い方をご紹介します。

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「鈍色」とは濃い灰色のことで、色を表す言葉

色を表す言葉だと想像できるものの、読み方が難しそうな【鈍色】。あなたは、正しく読むことができますか?

読めそうで読めないという方へ、ヒントです!

鈍色の「鈍」を訓読みし、送り仮名に「い」をつけると「にぶい」となります。この「鈍」に「色」がつくと……?

正解は……【にびいろ】でした!

【鈍色:にびいろ】
染め色の名。橡で染めたねずみ色。喪服や出家した人の衣に用いた。にぶいろ。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

鈍色は「にびいろ」と読む、染め色の名前です。現在は「ねずみ色」「灰色」などと表現される色を、平安時代ごろには鈍色といいました。ここからは、鈍色を理解するための下記のポイント3つについて詳しく解説します。

1.「鈍色」は刃物などが切れなくなる意味の「鈍る」が語源
2.「鈍色」は平安時代に喪や出家の色として使われた
3.「鈍色」を使った例文

鈍色読み方にびいろどんじき語源使い方

「鈍色」は刃物などが切れなくなる意味の「鈍る」が語源

鈍色の語源については諸説ありますが、「鈍」は刃物などが切れなくなる意味の「鈍る」、からきているとされています。鈍色は「にびいろ」のほか、「にぶいろ」とも読みます。また、鈍色がよく切れなくなった錆びた刃物の色に似ていることを踏まえると、語源を理解しやすいかもしれません。古語では、「灰色がかっている〜」という意味で「にばめる〜」と使っていました。

「鈍色」は平安時代に喪や出家の色として使われた

鈍色は平安時代には、喪に服する色、また出家した人の服の色として使用されました。現代の葬儀では黒と白の色を使います。同じ色味のない無彩色とはいえ、鈍色つまり灰色と、黒と白では与える印象が異なります。葬儀の雰囲気も大きく異なっていたといえるでしょう。なお天皇が親族の喪に服する際に着用した鈍色のことを、特別に「錫紵(しゃくじょ)」と呼びました。

「鈍色」を使った例文

鈍色を使った例文には下記のようなものがあります。

・時雨のような寒い雨が閉ざし切った鈍色の雲から止途なく降りそそいだ。 ( 有島武郎『カインの末裔』)

・脊丈のほども惟わるる、あの百日紅の樹の枝に、真黒な立烏帽子、鈍色に黄を交えた練衣に、水色のさしぬきした神官の姿一体。 ( 泉鏡花『茸の舞姫』)

・羽子板の押絵が抜け出したようで余り目に立ち過ぎたので、鈍色を女徳の看板とする教徒の間には顰蹙するものもあった。 (内田魯庵『三十年前の島田沼南』)

いずれも色を表現するために使っていることがわかります。比喩的な意味での使用ではありません。鈍色が「濃い灰色」だと知っていると、小説の中の情景を具体的に思い浮かべることができるでしょう。たとえば、『カインの末裔』の「鈍色の雲」は、灰色の雲と書くよりも重く分厚い雲の様子が伝わります。そのほか、鈍色を使うことで、より趣を感じさせる文章になるといえます。

「鈍色(どんじき)」は法衣の一種

鈍色の読み方には、「にびいろ」以外に「どんじき」があります。どんじきと読むときは色を表すのではなく、僧尼の衣服である法衣の一種を意味する言葉になります。鈍色(どんじき)は、平安時代中期に日本仏教が成立したときに、神道的行事にふさわしい衣服としてつくられました。

鈍色(どんじき)は上衣とはかま、帯の3つで構成され、上衣は裏地がない単衣(ひとえ)であることが特徴です。家紋などを入れない無紋の良質な絹で仕立て、色は白色です。襟を折らずに頭を覆うように立てる、僧綱襟(そうごうえり)という着方をします。

鈍色読み方にびいろどんじき語源使い方

「鈍色」に関連する言葉

鈍色に関連する言葉には、次の2つがあります。

1.「青鈍(あおにび)」
2.「グレー」や「重いねずみ色」

青鈍は「あおにび」と読み、わずかに青色がかった灰色を指します。鈍色と同じように「色」を示す言葉で、平安時代には鈍色と同様に凶事の色として扱われました。

グレーや重いねずみ色は、平安時代に鈍色といわれた色を現在よく使われる言葉で言い換えたものです。平安時代には鈍色が凶色とされ忌み嫌われていたため、同じ色が流行した江戸時代以降には鈍色という言葉は使われなくなりました。

ここからは、青鈍の意味、また鈍色に代わってグレー(灰色)や重いねずみ色といわれるようになった背景について詳しく解説します。

鈍色読み方にびいろどんじき語源使い方

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