「蔓延る」とは良くない何かの勢いが広がることを指す言葉
平仮名で書いてあればわかるのに、漢字で書かれた途端に頭の中がクエスチョンマークだらけになってしまう日本語ってありますよね。「蔓延る」もその1つ。一体、何と読むのでしょうか?
ヒント、「蔓」は植物の「つる」を指します。植物のつるがあちこちに延び様子から連想してみてください。
それではさっそく、答え合わせです。
正解は……【はびこる】でした!
はびこ・る【蔓延る】
[動ラ五(四)]
1 草木などが繁茂する。「雑草が―・る」
2 よくないものの勢いが盛んになって広まる。広まって勢力を張る。「害虫が―・る」「悪が―・る」
[可能]はびこれる
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「蔓延る」とは、良くないものがいっぱいにひろがるさまをあらわす言葉です。単純に、草木が生い茂る様子を表現する場合にも使います。
「蔓延る」は当て字で、音読みの場合「蔓延」は「まんえん」と読みます。訓読みと音読みでは読み方が違うため、間違えないようにしてくださいね。
「蔓延る」は「蔓」と「延」の意味からなる
「蔓延る」には、「蔓」と「延」の漢字が用いられています。読み方のクイズでお伝えしたとおり、「蔓」は「つる」と読み、植物のつる草をあらわします。「延」はそのまま「のびる」「のばす」といった意味です。
2つの漢字が重なることで、植物のつるがあちこちに広がるさまをあらわすようになりました。つるは成長が早いことから転じて、「蔓延る」は「世の中にあっという間に広がる様子」という意味で使われるようになったようですね。
ネガティブな意味で使用されることが多い
「蔓延る」は、ネガティブな意味で使用される傾向にあることに留意しましょう。たとえば、病気や悪い噂、風習などが広がる際に使います。「悪事が蔓延っている」といった表現を聞いたことがある人は多いでしょう。
反対に良い評判や情報など、「早く広がってほしいもの」には使いません。誤用してしまうと意図が伝わらないばかりか、ちぐはぐな印象を与える可能性があるので、注意したいですね。
悪い意味だけではないことに注意
「蔓延る」がネガティブな意味で使われる傾向にあることはお伝えしたとおりですが、病気や悪い噂など、いかにも悪いこと、広がって欲しくないものに限定して使われるわけではありません。
雑草やツタがあちこちに生い茂る様子も、「蔓延る」と表現します。「その家の壁にはたくさんの蔦(つた)が蔓延っている」というように使います。
【例文付き】「蔓延る」の使い方
「蔓延る」は、病気や悪い風習など良くないものが広がるさまをあらわす言葉です。また、ツタや雑草などがのび、生い茂る様子をあらわす言葉でもあります。「◯◯が蔓延る」というように使います。以下に具体的な例文を挙げますので、ぜひ参考にしてみてください。
【例文】
・あのヒーローの使命は、世に【蔓延る】悪を駆逐することだ
・悪い噂が【蔓延る】のは、いつもあっという間だ
・古民家の壁には蔦が【蔓延って】いる
「蔓延る」の類語・対義語
「蔓延る」には似たような意味をもつ類語、反対の意味をもつ対義語があります。類語として挙げられるのは「のさばる」「波及する」などです。一方、対義語には「停滞する」「枯れる」などがあります。
「のさばる」「波及する」は、勢力や物事がいずれも広がっていくさまをあらわします。対義語の「停滞する」は広がらずにとどまること、「枯れる」は文字通り植物などが育たずに枯れることを意味します。
ここからは、「蔓延る」の類語と対義語の意味や使い方について解説します。