藤本美貴さん「うちの子育ては“弟子を育てるコーチ”のような厳しさと、人前でも“大好きだよーっ”て叫べる愛情表現の強さでなりたっています(笑)」

1日のもち時間は誰でも等しく24時間。けれど、時間の使い方や過ごし方にはその人のスタンスや個性が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。

藤本美貴さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜　
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 ←この記事

タレント・36歳
藤本美貴さん

藤本美貴さんの「母」時間をClose up　13:00＠Park
子どもたちと散歩に行くときは3人一緒に、ベビーカーを押しながら

「お散歩するとき手がかかるのは1歳の次女だけ。公園に着いたら長男と長女には“行けーっ！”と号令をかけるような感じで、私の手から解き放ちます。ふたりが次女を見てくれているときは、私はベンチに座ってその様子を見守ります。行き帰りの道では“セミの抜け殻あるね”とか“虫の声がうるさいね”とか、たわいもないことを話しています。ドラマのように手をつないで歌を歌って歩くような、メルヘンな世界には生きていないんです(笑)」

「母」時間 藤本美貴さんのとある土曜日

この連載では事前に“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。藤本さんの「母」時間を紹介します。

8:00　起床、朝食の準備、子どもたちを起こす
10:00　のんびり家で過ごす、子どもは宿題
11:00　ベッドカバーの洗濯、掃除
12:00　2回目の洗濯
13:00　子どもたちと公園にお出かけ、ランチ
15:00　帰宅後、そのままお風呂に入れる
17:00　夕飯準備、子どもは宿題
18:00　夕食
19:00　家族みんなで映画を観る
22:00　子どもたちはいつもよりも遅く就寝、洗濯機をまわす
24:00　就寝

子どもたちを子ども扱いしないのが、うちの流儀

お子さんの学校や保育園がお休みの日は、いつもより2時間ゆっくり朝をスタートさせるという藤本さん。それでも午前中に2回、夜に1回洗濯機をまわすなど、家事のペースはゆるめない。上の子ふたりはまだまだ手がかかる年ごろで、長男は来年小学校の高学年に、長女は保育園の年長組に、次女は1歳の誕生日を1月に迎える。平日も休日も、藤本さんの時間割の多くはお子さんたちのタスクで埋まってしまう。

「長男と長女は、平日に英語やプール、塾に通わせています。小学生と幼稚園生でクラスが異なる英語は、行く時間も違うんですよね。それでも両方送迎していると、先生が「“藤本さんは双子じゃないか!?説”が出ています」と真顔で教えてくれて(笑)。送りやお迎えはシッターさんというお母さんもいる中、けっこう本人がやっている。でもテレビをつけると出演しているのはなぜだろう、みたいな感じなんでしょう。アプリでスケジュール管理しながら車で２か所まわるなど、日によって組み替えながら動いています(笑)」

休日も、忙しさが一段落する夕食後の時間に「家族みんなで映画を観る」という藤本さん。

「主にNetflixなんですが、たとえば洋画の『ジュマンジ』シリーズとか『天使にラブ・ソングを…』を見たり。アニメだと『おおかみこどもの雨と雪』や『サマーウォーズ』とか。基本的に、大人でも子どもでも楽しめるものを選びますね。長男と長女に任せるとなかなか意見がまとまらないので、“ママも楽しめるように、何を見るかはママが決めまーす”みたいなママ主導。子どもに合わせるようなことはしないです。うちの子育てルールをあげるとしたら、そのひとつは“子どもたちに気を遣いすぎないこと”だと思います。

私の母にも『あなたたちは、子どもを子ども扱いしていないよね』と言われるんです。たとえば宿題をいつやるかなどの自分で決められる予定については、『何時からやるのか、時間を決めて』と促します。子どもが30分から始めると言ったのに守れなかったら、『自分で決めたことをなぜ守れないの。じゃあなんで30分って言ったの』と怒ります。自分のすることに責任をもてるようになってほしいのです」

成功体験を大切にする、スポーツコーチのような見守り方

「でも私たち夫婦がいちばん大事にしているのは、“してはいけないこと”を明確に伝えること。“うちでやっちゃダメなことは、どこに行っても何をしてても、やってはダメ”。“今日はお友達が一緒だからいいよ”などの例外を認めない。“ダメなものはダメ”という感じで徹底しています。

ほかには“成功体験で終わらせること”もすごく意識しています。縄跳びも自転車も、1日でできればいいけれど、実際には難しい。そこで“今日はここまでにしよう”という頑張れば乗り越えられるゴールを決めて、そこを乗り越えるまではどれだけ時間がかかってもつきあうんです。スポーツのコーチみたいですよね。この前、旦那さんと“うちは子育てというより、なんか弟子を育てているみたいな感じだね”と話したばかりです(笑)。

また“人として空気を読むことの重要性”についても、今から話していたりするんです。これは私と旦那さんがふたりとも末っ子ということも影響しているかもしれません。私は4人兄弟の末っ子で、いい意味で人との距離感や場の空気を読みながら育ってきました。旦那さんも3人兄弟の末っ子です。“相手をいやな気持ちにさせないために空気を読む。そのうえで自分の意見もしっかり言える力は、これから世の中を生きていくうえで必要だ”というあたりも一致してます。子どもたちが大人になって、私たちがいなくなっても、いろんな人に愛されて欲しいし困ってほしくない。旦那さんが子どもを怒るとき、『とうたん（庄司さんのこと）がこうやって怒るのは、困ってほしくないからだよ。お前が大好きだからなんだ。どうでもいい人には怒ったりしないんだよ』と話しているのをよく聞きます。

その一方で、私たち、めちゃめちゃ愛情表現もするんですよ。仕事に出るときは子どもたちに、ぎゅっとチュッと抱っこをセットでします。外であっても、たぶんほかのどの人よりも躊躇なく(笑)。学校へ行くときは「行ってらっしゃ〜い！愛してるよ〜！」と駅で手を振って見送ったりするんですよ。怒るときも、愛情表現も、なんでもちゃんと言葉にして口に出すし、アクションもする。ちょっと喜怒哀楽の激しい家族かもしれないです(笑)」

好きなものに没頭できるような人生を歩いてくれたら

「子どもたちの将来については、まだ旦那さんとも全然相談していません。私たちはふたりとも、夢を叶えているタイプですけど、別に叶えられなくてもいいんです。好きなもの、やりたいことを見つけて、夢をもてる人になってほしい。そこに向かっている時間って、素敵だよねと思ってほしい。誰かのために働くでも、お金がいっぱい欲しいからでも、お金よりボクは私はこれが好きなんだでも、それが本人のすごくやりたいことだったら、職業なんてなんだっていい。それが見つかったら、もうそれだけで彼らの人生は大成功じゃない？みたいに思っています。彼らが好きなものを見つけられて、それに没頭して、最終的にそれが仕事につながってくれたらうれしいですね。

とはいえ、できれば困らない生活をしてほしいし、言い出せばきりがありません。英語はもうしゃべれるのが当たり前の時代になってくるので、可能性を広げたり、英語にびっくりしないためにも今から通わせているんですよね。まあ欲を言えば、ひとりぐらいは海外へ行って、海外で仕事をして、海外に住んでくれたらいいなあ。そのときは私も遊びに行きたいなあ、みたいなことは思いますけど(笑)」

子育て論とは、自分自身の人生論。藤本さんのお話からそんな印象を受けました。スピンオフでは、藤本さん自身に自己分析をしてもらう3つの質問に回答してもらいました。オフショットも見られるので、ぜひチェックしてみてください。

撮影／眞板由起　スタイリスト／JURIKA.A　ヘア＆メーク／太田年哉（maroonbrand） 構成／谷畑まゆみ

ニット¥15,950、デニムパンツ¥13,970、バッグ¥12,980すべて(ELENDEEK) リング(藤本さん私物)

協力社リスト
ELENDEEK 03-6853-0100