「魚心あれば水心」とは相手の好意で対応が決まること
【魚心あれば水心:うおごころあればみずごころ】
《魚に水と親しむ心があれば、水もそれに応じる心がある意から》相手が好意を示せば、自分も相手に好意を示す気になる。相手の出方しだいでこちらの応じ方が決まること。水心あれば魚心。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
魚心あれば水心は、「うおごころあればみずごころ」と読み、難しい漢字を使用している言葉ではありません。ですが、ことわざの意味を考えてみると、そもそも魚心、水心とは何かと首をかしげることになるかもしれません。
魚心あれば水心は、意味を理解すると対人関係がスムーズになることわざです。もともとは「魚、心あれば、水、心あり」という言葉で、良い意味と悪い意味の両方を持ちます。ここからは、ことわざの由来と意味について、さらに詳しく解説します。
「魚心」と「水心」を知ると語源・由来がわかる
魚心あれば水心は、もともとは「魚、心あれば、水、心あり」という言葉でした。次第に短縮され、現在に至ります。つまり、「魚心」や「水心」という言葉が元になったことわざではないのです。
魚、心あれば、水、心ありは、水の中で生きる魚に水を思う心があれば、水もまた魚のことを考えるものだという意味の言葉でした。ここから転じて、相手に好意があれば自分も好意をもつ、お互い自然にひかれあうことを表すようになります。
良い意味と悪い意味がある
魚心あれば水心には良い意味と悪い意味の両方があります。良い意味としては、相手が自分に好意を示せばこちらも好意で応じるというように、互いに心を通わせるという意味で使います。
悪い意味で使う場合は、こちらがこれだけのことをしたのだから当然見返りがありますよね、という「ギブアンドテイク」に近い意味です。
もともとは、魚心あれば水心は良い意味でのみ使われていました。しかし、江戸時代の「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)」という芝居劇の中で、ワイロを渡し、八百長を依頼する場面で「魚心あれば水心」と返事をしたことから、時代劇の八百長や密約などのシーンでたびたび使われるようになったようです。
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「魚心あれば水心」の使い方と例文4つ
魚心あれば水心のことわざを、時代劇の悪代官のセリフで知ったという人もいるでしょう。日常の会話などで頻繁に使われる言葉ではないかもしれません。
しかし、心情のやりとりやかけひきで使うことわざのため、プライベートでも仕事でも使いこなせると役に立つはずです。ここからは、日常での「魚心あれば水心」の使い方と例文をご紹介します。
「魚心あれば水心」は仕事でも恋愛でも使える
「魚心あれば水心」は、好意を伝えれば相手も好意も示してくれるという意味のため、仕事、就職活動、恋愛など幅広い場面で使えます。
仕事においては苦手な同僚や上司との関係性の改善、取引先との交渉を成功させるための心得になります。恋愛においては、最初はその気がなくても、相手から好意を示されると気になり始めることがあるものです。人と気持ちを通わせる場面であれば、仕事でも恋愛でも役立つことわざといえるでしょう。