3:「蜩の おどろき啼くや 朝ぼらけ」
こちらは、松尾芭蕉と小林一茶に並ぶ、江戸時代の俳諧の巨匠の1人、与謝蕪村の俳句です。「朝ぼらけ」は「夜明け」のことで、夕方に鳴くイメージがある「蜩」が、朝方に鳴き驚いたという内容です。この句からも、「蜩」は夕方に鳴くイメージがあることが窺えますね。
「蜩」の英語名は?
実は「蜩」は、日本と中国大陸の1部にしか生息していないので、明確な英語がありません。強いて言うなら「蝉」を意味する「cicada」に夕方を意味する「evening」をつけて、「evening cicada」もしくは「Japanese cicada」を使います。もしくは日本語をローマ字で「Higurashi」と書き、表現します。
また、アメリカやヨーロッパには蝉がいないと言われていますが、場所によっては生息しています。大抵は、鳴き声が騒音と捉えられ、殺虫剤などで駆除されてしまいますが例外もあります。
例えば、南フランスでは、蝉は幸運のシンボルとされ、お土産物や郷土品のデザインによく使われています。お店によっては、来客があるとセンサーに反応して、蝉の鳴き声が鳴るようにしている所もあり、日本以上に蝉が日常に溢れています。
逆にイギリス以北になると蝉が生息しておらず、「cicada」という英単語すら知らない人が大半です。
最後に
「蜩」のことを、様々な角度から紹介してきましたが、夕方以外にも鳴くことや、「蜩」自体が、主に日本にしか生息していないなど、知らなかった方も多かったのではないでしょうか。「蜩」が日本ならではの風物詩であり、古くから文学等に多く取り入れられてきたことは、これからも大切にしたい文化の1つと言えますね。
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