「欠伸」とは
読み方が簡単とは言えない漢字「欠伸」。
実は「欠伸」には、「あくび」の他にも読み方があります。「欠伸」は読み方を変えるだけで、意味も少し変わってきます。ここでは「欠伸」の読み方や意味について解説するので、ぜひ普段から使ってみてください。
読み方は「あくび」の他に3つある
「欠伸」の一般的な読み方は「あくび」です。「欠」だけで「あく」と読み、これは動詞である「欠(あく)ぶ」の連用形から成っています。「欠伸」には「あくび」と読む以外にも「けんしん」「あくびのびす」「あくぶ」の3つがあります。
みなさんが普段使っているのは「あくび」でしょう。いずれも呼吸運動を意味する読み方です。しかし、同じ漢字でも読み方が違うだけで、言葉のニュアンスは変わります。
では一体どのように変わるのでしょうか?次では、「欠伸」についての細かな意味や、それぞれの読み方の意味を解説します。
「欠伸」の意味
「欠伸」の意味は読み方によってニュアンスが異なります。まずは最も一般的な読み方である「あくび」ですが、これは以下のような意味の言葉です。
疲れているときや、眠いときに、思わず口を大きく開き息を吸い込み、吐き出す呼吸運動のひとつ。
「あくびのびす」は、手足を伸ばしてあくびをする様を意味します。「あくぶ」は「あくび」をおこなう動作そのものを意味します。では他の読み方には、どのような意味があるのでしょうか?「けんしん」は、あくびをしたうえに、伸びをするという意味です。背伸びをしながら、あくびをする動作をイメージしてください。
「欠伸」を使った慣用句2つ
踏んだり蹴ったり、回り回って、押しが強い…人間がおこなう動作は、しばしば慣用句として用いられます。
この点、「欠伸」も同様であり「欠伸」という動作を含んだ慣用句はいくつかあります。ここでは代表的なものとして「欠伸を噛み殺す」「欠伸形」の2つを紹介します。「欠伸」をしている姿を上手く活用した表現なので、日常生活でもどんどん使っていきましょう。
「欠伸」を噛み殺す
「欠伸」を使った慣用句のなかで、最も一般的なものが「欠伸を噛み殺す」というもの。
噛み殺すという言葉は、「欠伸」の他にも「笑顔を噛み殺す」という使い方もできます。噛み殺すという言葉には、そもそも「歯を食いしばって口が開いてしまうことをこらえる」といった意味があります。この言葉と「欠伸」が合わさって「欠伸を噛み殺す」といった慣用句になるのです。
意味
噛み殺すという、言葉の意味からもわかるとおり、「欠伸を噛み殺す」とは「欠伸が出そうになるのを、我慢する様」を意味する慣用句です。
一般的には「退屈なことを我慢する」「失礼に当たらないよう配慮する」などのニュアンスで用いられます。以下、例文で使い方を確認しましょう。
・上司の話が長いため、私は【欠伸を噛み殺して】いた。
・長いミーティングの最中、不真面目だと思われてしまうので私は【欠伸を噛み殺した】。
また以下のように「欠伸」と「噛み殺す」を切り離して使う場合でも、意味はとおります。
・昼下がりの面談中、出そうになる【欠伸】を私は必死で【噛み殺した】。
・【欠伸】が出そうになったので、慌てて【噛み殺した】。
似た意味の言葉
「欠伸を噛み殺す」のように、退屈なことを悟られまいと我慢する姿に関連した語句は、他にもあります。「欠伸を噛み殺す」という慣用句を覚える際は、以下のような言葉も合わせて覚えることで、より豊富なボキャブラリーが身につくでしょう。
長口上(ながこうじょう)は欠伸の種
上の言葉は、長い話は人を退屈にさせてしまうので、簡潔に話すべきという意味のことわざです。「欠伸=退屈」という意味で使われています。