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働く40代は、明日も楽しい!

 

WOMEN女の時間割

2022.01.11

酒井美紀さん「移動は電車で。40代になってから新しいチャレンジを始めて、健康にも留意しています」

1日のもち時間は誰でも等しく24時間。けれど、時間の使い方や過ごし方にはその人のスタンスや個性が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。

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女には3つの顔、3つの時間がある…。今回の「女の時間割。」は、俳優、社外取締役、大学院生、そして小6のお子さんをもつ一児の母と、“四刀流”で奮闘中の酒井美紀さんにお話をうかがいました。

酒井美紀さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 1/14up予定 
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜 1/17up予定

俳優
株式会社不二家 社外取締役
国際協力NGO ワールド・ビジョン・ジャパン 親善大使・43歳
酒井美紀さん

酒井美紀さんの「女」時間をClose up 11:00@Street
仕事に行くときは電車移動。駅に向かって歩くことから1日が始まります

「この5年ほど、移動のときは積極的に電車を利用しています。健康を意識する世代なので足腰含めて体を動かしたいんです。さらにドラマや映画は日常を描くことが多いので、役者として一般的な日常風景をウォッチしておきたいという気持ちもあります。車内では本を読んだり依頼されたアンケートの回答を考えるなど、仕事の時間としても有効活用しています」

「女」時間 酒井美紀さんのとある火曜日

この連載では事前に“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。酒井さんの「女」時間を紹介します。

  6:30 起床、朝食準備、ラジオ体操
  6:45 子どもを起こす
  7:00 朝食、洗濯機をまわす
  7:20 子どもを学校へ送り出す
     その後、植物の水やり、カブト虫や金魚など生き物の世話
     家事をしながらドラマやバラエティなど仕事関連の番組を視聴、自分の身支度
  9:00 研究
11:00 仕事へ出発  
   電車移動中に読書、資料の確認、ニュースのチェックなどでキャッチアップ
   (昼食は時間のとれるタイミングで)
15:30 帰りに買い物をすませて、帰宅
     子どもと会話して、宿題をみたあとに、少しリラックス
16:30 子どもに夕食を食べさせる
17:00 子どもが塾へ出発
17:30 夕食
18:00 研究
20:00 子どもを迎えに出発
21:00 帰宅、子どもすぐにお風呂
21:45 子どもの就寝後、TVや映画などを視聴する自由時間
23:00 入浴
24:00 ストレッチと深呼吸をしてから、就寝

役者としてエンターテインメントを提供する人生から、誰かに貢献する人生へ

Domani世代にとって不朽の名作ドラマ、『白線流し』で芯の強い優等生キャラクターの七倉園子役を演じて、その鮮烈な印象で広く人気を博した酒井美紀さん。現在は“人生の正午である40代”を邁進中。誰もが立ち止まって自分のゆく先を思う年代にあって、事務所から独立し、一般企業の社外取締役に抜擢され、国際協力についての知見を求めて大学院で研究を重ねるなど、演じる仕事から多彩なフェーズへと活動の場を広げている。

「もともと、やりたいと思ったことは粘り強く続けたいタイプなんです。幼いころから“演じる”ことをしたい人間だったので、昔から自分の中に“芝居や演劇”という明確な軸がありました。その上で、40代に入ってからの独立や大学院の入学は、両方とも自分で開いた扉なんです。対照的に社外取締役の就任は、想像もしない扉が突然自分の人生に現れた印象でした。新しいチャレンジに取り組む決断をして、これから力を注ぎたいテーマもみつけれられて、そのスタートラインに立つところまできたというのが現在の状況です。そこまで至ることができたのは、これまでに直面してきたいくつかの分岐点の積み重ねと、子育て期間を焦らずに乗り切れてきたからだと思っています。

人生最初の分岐点は、25歳で仕事を休んで渡米した語学留学経験でした。留学の目的はふたつあって、将来国際協力の仕事をやりたいと考えていたことと、いつか海外で芝居をしてみたい気持ちがありました。国際協力については、子どものころから福祉やボランティアに触れる環境にあったこと、そして仕事で海外途上国の現状をかいまみた経験なども影響しています。

アメリカでの語学留学中の体験も、とても大きいものがありました。現地で知り合った友人に看護職の子がいて、臓器移植で渡米するお子さんのご家族のサポートボランティアに携らせてもらったのです。初めて関わった患者さんは4歳の女の子。残念ながら心臓移植手術の回復期にある中で拒絶反応が出てしまいました。ご家族の想いとドナーの方の生前の想いが叶うことなくひとつの命が失われていった現実は、当時の私にはとても過酷なものでした。その経験が、苦しんでいる世界の子どもたちのために何か少しでも貢献したい思いにつながっていきました」

演劇の手法を使って、誰も取り残されない社会の実現を目指したい

留学を終えた帰国後の酒井さんが行動に移したのは、現在も根気強く継続している、国際協力NGOのワールド・ビジョン・ジャパンを通じた途上国の子どもたちへの個人的な支援だった。自分で検索して調べてチャイルド・スポンサーを始めたところ、そのことを知らなかった団体から偶然にも酒井さんへの親善大使のオファーが届き、依頼を受けて就任したのが29歳。大使として支援地を訪問する視察回数が重なるにつれて、いつまでも支援の呼びかけが必要とされる変わらぬ現状に対するモヤモヤした気持ちが生まれて、それが国際貢献についての専門知識を勉強したいという意欲につながった。

「ところが30歳で結婚、32歳で息子を出産したことで、生活が一変しました。ここも大きな分岐点でした。子育て期間中は自然と、仕事や自分のやりたいことよりもライフに軸足を置く生活になりますよね。大学院で勉強するタイミングは今じゃないと判断して、30代は俳優の仕事を続けながら子どもと懸命に向き合う生活を送ってきました。人生は急げばいいというものでもないので、子どもが小学校高学年になるのを見はからって大学院の入試に挑んで合格し、4年計画で修士論文の研究を進めて、3年目になりました(2021年12月現在)。

大学院と前後するように不二家の方から社外取締役のお話をいただいたのは、本当に想定外の出来事でした。大学時代に経営学を専攻しましたが、企業によるSDGsの促進がさらに求められている時流の中で、これまで取り組んできた国際貢献の知識が少しでもお役に立てばと考え、思い切ってお受けしました。

そんな私が今後力を入れて行きたいと考える分野は、大学院の修士論文の研究テーマでもある、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)です。全ての人を孤独や孤立、摩擦から援護して、誰もが排除されることなく社会に参画できるように包んで支え合うという理念に心から賛同するからです。現時点では海外での事例が多いのですが、それを日本国内でも検討したいと考えています。

たとえば日本でも、子どもの貧困や生活が困難な方、孤立することで心の病気を発症する方たちがたくさんおられます。そうした局面に際して、俳優として何ができるのかと模索したとき、エンタメ世界の演劇とは少し異なる、“応用演劇(アプライドシアター)”が活用できないかと仮説をたててみたのです。応用演劇とは、演劇のメソッドを用いて人と人や人と社会を結びつける手法のこと。それらを応用することで、コミュニティを円滑にしたり信頼関係の構築を目指せるのではと、日々先行研究を読みあさっています。

対象としているのは社会的弱者である方だけでなく、コミュニケーションを苦手とする今の若い世代や子どもたちも含めています。実はコミュニケーションを上達させるのに演劇のメソッドって、すごく有効なんですよ。コロナ禍で欠けてしまったり、衰えているような部分を、強化して補えるような課題解決ツールになる可能性に密かに期待をしています。

私自身もそうですが、日本人は自分の意見をうまく言えなかったり、思いを伝えられなかったりする場合が少なくありません。コミュニケーション上手になれて他者ともつながりがもてる。そんなワークショップを随時行う“居場所”のような場所も設けられればと、そんなことも視野にいれながら取り組んでいるところです」


人生の半分以上の時間をかけて培ってきた俳優としての経験やスキルを、国際協力の観点と応用演劇の手法を用いて、人と社会に貢献できる新しい形の活動に活かしたいと考えている酒井さん。子育てで立ち止まる期間があっても機が熟すのを諦めずに待つことで、新たなフェーズを手にしている充実した表情が印象的でした。今回の撮影では酒井さんが“大切にしている3つの時間”を切り出しています。Vol.2「妻」時間もお楽しみに!

Profile

酒井美紀

さかい・みき/1978年、静岡県生まれ。演じることに憧れて1995年に17歳で女優デビュー。同年に映画『Love Letter』、『ひめゆりの塔』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞する。18歳でドラマ『白線流し』(フジテレビ系)シリーズにて主演。同年の映画『誘拐』で第21回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。25歳でアメリカ語学留学を経験。29歳のときに12年間アシスタントを務めた『世界ウルルン滞在記』(TBS系)を卒業し、国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパンの親善大使に就任する。30歳で大学院病院勤務の医師である夫と結婚。32歳で長男を出産。41歳で事務所を独立して湘南にオフィスを構える。同年、国際協力活動の知識を深めるために一念発起して、都内大学院の国際協力研究科へも進学。42歳で不二家のマスコットキャラクター・ペコちゃんの生誕70周年記念アンバサダーに就任し、翌年株式会社不二家 社外取締役に抜擢される。現在は俳優として幅広く活躍しながら、仕事と子育てと大学院の三刀流に邁進。山崎製パン「ダブルソフト」のCMキャラクターも継続中。
インスタグラム : @mikisakai.mua

撮影/眞板由起 スタイリスト/亀 恭子  ヘア&メーク/後藤真弓 構成/谷畑まゆみ

コート¥53,900・ニット¥17,600・パンツ¥26,400・バッグ¥22,000 (アルアバイル<アルアバイル>)、シャツ¥26,400(アルアバイル<ルル・ウィルビー>)、靴¥26,400(HOUSE OF LOTUS<CORSO ROMA>)、リング[ゴールド]¥8,800[ストーン]¥19,000(ステラハリウッド)、ネックレス(スタイリスト私物)

協力社リスト
アルアバイル 03-5739-3423
ステラハリウッド 03-6805-0390
HOUSE OF LOTUS 03-6447-0481

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