一刀両断とは迅速に思い切った処置を取ること
“一刀両断”を辞書で引くと、次の様に記載されています。
【一刀両断:いっとうりょうだん】
ひと太刀で、まっぷたつに断ち切ること。
すみやかに、はっきりとした処置をとること。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
読み方は「いっとうりょうだん」。ひと太刀で真っ二つに断ち切る刀の様子から転じて、きっぱりと決断して思い切りのいい処置をするという意味で使われるようになった語句です。政治やビジネスの分野で使われることの多い言葉といえるでしょう。
刀という語句からは、切れ味が良くてシャープなイメージも伝わってきます。
一刀両断の語源は中国の宋代の書物「朱子語類」
一刀両断の出典は、中国の宋代の書物「朱子語類(しゅしごるい)」にありました。この書物は南宋の儒学者である朱熹(朱子)と弟子たちとの問答をまとめたもので、日本には鎌倉時代末期に伝来しました。
この「朱子語類」の中に孔子の人物評が載っています。人々の将来を憂慮すると食事を忘れて思考に没頭し、楽しいことに集中するときには、憂慮を忘れて楽しみに没頭する孔子の生き方を「一刀両断」と表現したことが語源になりました。
現在の中国では、一刀両断は「古くからの関係をきっぱり断ち切る」という意味で使用されています。
一刀両断の使い方と例文
一刀両断という言葉は、決断が必要となる場面で使われることの多い語句です。おもに政治やビジネスの場面で使われています。
例文
・所員の意見が分かれて、新商品開発の方針がなかなか決まらずにいたのですが、所長の一刀両断によって方向性が決定して、開発プロジェクトが動き出しました。
・所属議員の起こした不祥事に対して、党の代表は一刀両断で除籍という処分を下しました。
・我が社の社長がリーダーシップのある人間だと評価されているのは、緊急事態になればなるほど、一刀両断で動くことができる人だからです。
一刀両断の類義語3つ
一刀両断の類義語となる四字熟語は以下の3つです。
・快刀乱麻
・即断即決
・単刀直入
一刀両断と同じく、「刀」という漢字が使用されている語句が2つ、「断」という漢字が使用されている語句が1つです。きっぱりしているという点では共通する語句ですが、微妙にニュアンスの違いがあります。それぞれ意味と使い方を紹介しましょう。
快刀乱麻(かいとうらんま)
こじれてしまった物事を、きっぱりとあざやかに処理して解決するという意味です。鋭い刃物を使って、からまった麻糸を断ち切ることから転じて、この意味になりました。
例文
・総務部の部長は快刀乱麻の手腕で各部署の無駄をなくして、業務の効率化を実現しました。
・映画の主人公が快刀乱麻で事件を解決していく様子に、つい拍手喝采してしまいました。