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【目次】
子どもに日焼け止めは必要?その理由は?
子どもに日焼け止めを塗るのは、もはや常識といわれるほど一般的になりつつありますが、なぜ日焼け止めが必要なのでしょうか。詳しく解説していきます。
子どもの皮膚は大人よりデリケート
子どもの皮膚は大人の皮膚と比較して薄く、紫外線に対するバリア機能も未熟でデリケートな肌をしています。そのため、大人と比較すると日焼けをしやすく、肌も赤くなりやすいのです。
昨今の環境の変化によって、降り注ぐ紫外線の量は増えており、肌へのダメージはより大きくなっているとも。加えて、大人の美意識の高まりもあり、幼少期のころから日光浴を避ける傾向が強まっています。
医学的に日焼けは、医学用語で「日光皮膚炎」と呼ばれ、火傷の一種とされているもの。ただし、紫外線にはビタミンDを合成して骨の成長を促す作用もあるため、適度な日光浴は必要です。そのためには日光浴の目安時間を知り、上手に付き合うことが大切です。
過度な日光浴は肌へのダメージにも
前述したように、子どもの皮膚は紫外線に対するバリア機能が未熟なため、過度な日光浴は肌にダメージを与えてしまいます。
環境省が提唱している日光浴の目安時間は、「両手の甲くらいの面積が15分間日光にあたる程度、または日陰で30分間くらい過ごす程度」とされています。
90年代までは子どもが日焼けをしているのは、元気な証拠として母子手帳にも「生後3~4カ月児の生活指導から日光浴を推奨する」と記載がありました。しかし、過度な日焼けは肌に悪影響を及ぼすことがわかってきたため、1998年には、母子手帳内の「日光浴を推奨する」という文章が削除されています。
色の白い子どもや大人が、強い紫外線を長時間浴びると、肌が火傷のように水ぶくれを起こすことも。それだけではなく、将来的に老化を早める・皮膚がん・白内障の原因になる可能性もあるため、早めの紫外線ケアが重要だといわれています。
参考:子どもの日焼けについて | 兵庫県小児科医会
参考:環境省|紫外線 環境保健マニュアル
日焼け止めはいつから必要?
子どもの日焼け止めは、基本的に「生後3カ月から」塗りはじめるのが目安とされています。また1年間のうち、4~9月の時期はしっかり塗るのがポイントです。
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
日焼け止めを使えるのは生後3カ月ごろから
子どもに日焼け止めを塗るのは、生後3カ月を過ぎてからを目安にしましょう。
生後すぐの赤ちゃんの肌は敏感で、子ども用の日焼け止めであっても肌荒れを起こす可能性があるためです。製品によっては、使用できる推奨年齢の記載があるので、購入前にチェックしましょう。
生後6カ月以下の乳児の場合は、顔や手の甲などの衣類から出ている範囲に塗り、肌に異変がないか様子を見ながら使用するのがおすすめです。生後6カ月以上なら、お腹や背中などの衣類で覆われていない部分にも塗って様子を見ましょう。
これらはあくまで目安ですので、子どもの肌の様子を見ながら使うようにしてください。
肌がジリジリしやすい4~9月に塗ろう
年間を通して、シワ・シミ、白内障などにも関係するUVA波が降り注ぐ量は変わりませんが、10~3月ごろまでは長袖の衣服などで肌を守ることができます。そのため、子どもには積極的に日焼け止めを塗る必要はないとも考えられます。
ただし、4月~9月は、長時間浴びると肌が赤くなるなど、肌の火傷にも関係するUVB波が降り注ぐ量が増えてきます。外にいるだけで肌がジリジリと熱くなるのを感じる方も多いのではないでしょうか。
そのため、お出かけが増える4月ごろから、夏が終わりを迎える9月下旬までは日焼け止めを塗るようにしましょう。また、1日の中で特に紫外線が強いのは10~14時とされています。
お昼の時間帯に外出する場合は、より紫外線のダメージを受けやすいため、念入りな日焼け対策が必要です。
参考:気象庁|日最大UVインデックス(観測値)の年間推移グラフ
日焼け止めの正しい塗り方は?
日焼け止めは、顔と体で適切な塗り方が異なります。また、1回塗って終わりではなく、こまめに塗り直しを行うことが大切です。
それぞれの方法を詳しく解説していきます。
顔と体それぞれ塗り方のポイントを解説
日焼け止めの正しい塗り方を、顔と体に分けてそれぞれ解説します。
顔に塗る場合は、パール粒(直径1cm弱)か1円硬貨1枚分を手の甲に出します。鼻の上、両頬、アゴなどに少量ずつ分けて置き、手でまんべんなく塗り広げます。全体的にムラがなくなったら、同じ量をもう一度重ね塗りします。
体に塗る場合は、肌に線を描くように容器から直接日焼け止めを置きます。その後、円を描くように手で塗り広げてください。全体的にムラがなくなれば、均一に塗れていると考えてよいでしょう。紫外線があたりやすい、鼻の頭、肩、背中の上部などは、特に念入りに塗るようにします。
あくまで一例で商品によって適量は異なるため、商品ごとに使い方をよくチェックしましょう。
2~3時間おきの塗り直しが理想的
日焼け止めは2~3時間おきの塗り直しが理想的とされています。日焼け止めは、手や衣類が触れると擦れて簡単に落ちてしまうためです。
また、汗をかいたり、汗をタオルで拭ったりしたときにも一緒に落ちてしまうため、落ちたときにすぐに塗り直すか、2~3時間おきに塗り直すようにしましょう。そうすることで、紫外線から肌を守ることができます。
汗や水で落ちにくい耐水性の日焼け止めも販売されていますが、子どもの肌には負担がかかるため、避けた方が無難です。
どんな日焼け止めでも、長時間肌に塗ったままにしておくのは負担がかかるもの。帰宅後は速やかに日焼け止めを落とすようにしましょう。
子どもの日焼け止めの選び方
実際に子ども向けの日焼け止めを選ぶにあたって、どのような点を意識すればよいのでしょうか?特に注目したいポイントをチェックしていきましょう。
肌に負担が少ないノンケミカルがおすすめ
子ども用の日焼け止めは、肌への負担が少ないノンケミカルのものを選びましょう。
日焼け止めに使われる成分は大きく分けて「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があり、ノンケミカルとは、「紫外線吸収剤不使用」という意味で使われています。
それぞれの成分にメリット・デメリットがあるので、理解して使用するのが大切なポイントです。
●紫外線吸収剤・・・白浮きせず、着け心地がよい。紫外線を吸収したときの化学反応による肌への負担を感じる場合もある
●紫外線散乱剤・・・肌への負担は少ない。白浮きしやすく、汗などで流れやすい
このようにノンケミカルの日焼け止めとは、肌への刺激が少なく、石けんやお湯で落としやすい「紫外線散乱剤」を使用した日焼け止めを指します。化学成分を全く使っていないという意味ではないので、注意しましょう。
使用するシーンに合った数値で選ぶ
使用するシーンに合わせた日焼け止めを選択することも、子どもの肌に負担をかけないポイントです。
日焼け止めの効果を表す指数は、「SPF」と「PA」に分けられます。
●PF・・・UVB(短時間で肌に赤みを持たせ黒くさせる原因)から肌を守る効果を示す指数
●PA・・・UVA(長期的に皮膚のたるみやシワなどの光老化を引き起こす原因)から肌を守る効果を示す指数
どちらの数値も、高いほど日焼け止め効果が高くなります。しかし、同時に肌への負担も大きくなるので注意が必要です。
通常の公園遊びや散歩程度なら、SPF15以上、PA++~+++程度を選びましょう。日差しが特に強いときはSPF・PA値の高いもの、海水浴などには汗や水に強いウォータープルーフタイプの日焼け止めがおすすめです。
参考:保育所・幼稚園での集団生活における紫外線対策に関する日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の統一見解
石けんやボディソープで落とせるものも
子ども用の日焼け止めは、石けんやボディソープで落とせるタイプのものがおすすめです。石けんやお湯で落とせないウォータープルーフタイプの日焼け止めは、専用のクレンジングが必要な場合が多く、子どもの肌に余計な負担をかけてしまうためです。
子どもの皮膚は、薄い上にデリケートなので、こすりすぎるとカサカサしやすく、赤くなってしまいます。日焼け止めを石けんで落とす場合は、よく泡立ててからやさしく落としてあげましょう。お風呂でサッと落とせるものなら、ママやパパも手間がかかりません。
ほとんどの日焼け止めは、お湯や石けんで簡単に落とせるものが多いですが、念のため購入前に確認しておきましょう。
無香料・無着色のものがおすすめ
香料や着色料の成分は、子どもの肌には刺激となる可能性があり、まれに肌荒れを引き起こすことがあります。肌への刺激を避けるためにも、なるべく無香料・無着色の日焼け止めを選ぶようにしましょう。
また、子どもは大人よりも香りに敏感なので、香りの付いた日焼け止めを嫌がる可能性も。日焼け止めを塗ることが嫌いになってしまわないよう、できるだけ香料不使用の無香タイプを選んであげましょう。
大人と一緒に使えるものなら便利
子ども用の日焼け止めは、肌が敏感なママやパパが使用するのにもおすすめです。「お出かけ前は子どもに日焼け止めを塗るのに必死で、大人は日焼け止めを塗れてなかった!」というシーンも多いのではないでしょうか。一緒に使えるものなら、塗り忘れも防げて一石二鳥です。
また、サラッとしたテクスチャーで、化粧下地としても使えるタイプも。大人と子どもそれぞれで日焼け止めを使用するよりもコスパがよく、旅行先などへの持ち運びも楽になります。
おすすめの子ども用日焼け止め5選
子どもにおすすめの日焼け止めは、具体的にどのような製品があるのでしょうか。おすすめ商品を紹介します。
アノネベビー「トータル アウトドア UV」
天然成分99%で作られた日焼け止めで、紫外線・虫・大気の汚れから子どもの肌を守る3役をこなします。
子どもの肌にとって刺激となる虫よけ成分は使用せず、アロマの香りで虫を防ぎます。保湿成分も入っているので、日焼けによる乾燥を防げるのもうれしいポイントです。
お湯でサッと落とせるため、万が一肌に残っても肌荒れを起こしづらい特徴があります。
低刺激処方かつ、アレルギー起こしやすいとされる物質、28品目を一切使用していないのもポイント。生後1カ月から使用できるため、赤ちゃんの初めてのお出かけデビューにぴったりでしょう。
商品名:アノネベビー「トータル アウトドア UV」/SPF20 PA++
ベビーボーン「Face&Body Sunscreen」
SPF50+ PA++++と、子どもに使う日焼け止めの中では比較的数値が高いにもかかわらず、肌への負担が少ないことで定評がある日焼け止めです。
肌への負担が大きいとされていた紫外線吸収剤をパウダーの中に閉じ込める「ハイブリッド パウダー」処方にすることで、紫外線吸収剤が直接肌に触れることを防ぎます。そのため、高い日焼け止め効果を保ちながら、肌にやさしく、刺激をできるだけ抑えられているのです。
また、ウォータープルーフタイプなので水濡れや汗に強いのも魅力です。海や川など、子どもが大好きな水遊びのシーンで大活躍しそうなアイテムといえるでしょう。
商品名:ベビーボーン「Face&Body Sunscreen」/SPF50 PA++++
ニベアサン「プロテクトウォータージェルこども用」
スーッとのびてベタベタしにくい、みずみずしい使用感が特徴の日焼け止めです。日焼け止め特有のベタつきが少ないため、日焼け止めが苦手な子どもにも塗りやすいでしょう。うるおい成分である、ヒアルロン酸を配合しているので、日焼けによる乾燥も防げます。
ノンアルコールかつ、無香料・無着色なので、デリケートな子どもでも使いやすいのがうれしいポイント。軽いつけ心地なので、化粧下地としても使えます。
商品名:ニベアサン「プロテクトウォータージェルこども用」/SPF28 PA++
マミー「UVマイルドジェルN」
「お肌に使うものは、食べるものと同じくらいこだわりたい」という理念のもとで製品を開発しているブランドの、クマ形の容器がかわいい、ポンプタイプの日焼け止めです。プッシュして出すので、子どもでも量を調整しやすく、日焼け止めを塗る練習ができるのも魅力です。
また、アルコール・着色料・香料・防腐剤などは不使用。ホホバ種子油・マカダミアナッツ油・ヒアルロン酸Naなどの保湿成分も配合されているので、乾燥を防いでくれます。
みずみずしくのびがよいテクスチャーなので、お出かけ前にサッと塗り広げられ、時短にも。石けんで落とせるので、帰宅後はそのままお風呂で簡単にオフができる優れものです。
商品名:マミー「UVマイルドジェルN」/SPF33 PA+++
ヴェレダ「エーデルワイスUVプロテクト」
生後1か月の赤ちゃんから使える、サスティナビリティにも配慮したオーガニックブランドの日焼け止めです。酸化チタンは直接肌に触れないようコーティングされているので、デリケートな肌の赤ちゃんや家族全員で使えるでしょう。
また、ほんのりピンクベージュ色をしているので、ママのメイク下地として使えば、自然にトーンアップを演出できます。
保湿成分も配合されているので、塗り心地もよくムラになりにくい仕様。開封後の使用期限は3~4か月と短いですが、一夏で使い切れるサイズ感なので製品の劣化を気にせず使用できます。
商品名:ヴェレダ「エーデルワイスUVプロテクト」/SPF38 PA++
日焼け止め以外の紫外線対策も!
日焼け止めだけに頼るのではなく、衣類やライフスタイルを工夫して紫外線対策を行うのが理想的です。日焼け止め以外の紫外線対策にはどのような方法があるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
お出かけの際は時間や場所に気を付けよう
前述したように、4~9月の10~14時は紫外線量が特に多くなる時間帯です。
お買い物や散歩など、時間をずらせそうなら朝か夕方に外出するようにしましょう。曇りでも紫外線は降り注いでいることも覚えておきましょう。
また、日差しが強い時間帯に外出する場合は、ベビーカーの日よけを利用し、子どもに直射日光があたらないように工夫します。
公園では日傘・テント・パラソルなどを利用して日陰を作ると、直射日光があたらない場所ができるので、子どもがこまめに休憩できて便利です。
帽子はUVカット効果や首の日よけがあるものを
紫外線は子どもの目や頭皮にもダメージを与えます。UVカット効果のある帽子を使用しましょう。帽子はツバの広いキャップタイプや、ハットタイプがおすすめです。加えて、メッシュ生地の帽子なら蒸れにくく快適です。
ついつい成長することを考えてサイズの大きいものを選んでしまいがちですが、子どもの頭のサイズにしっかり合ったものを選ぶことが大切です。帽子が落ちてきて視界が狭まると、転倒や衝突してしまう危険性があるためです。
また、子どもは地面のものに興味を示してかがむことが多いので、首の後ろも日焼けしやすくなります。首の後ろに日よけが付いたものなら、頭周り全体を直射日光から守れるのでおすすめです。
薄手のUVカットパーカーなら蒸れにくい
薄手のUVカットパーカーも、紫外線から身を守るのに役立つアイテムです。長袖や7分袖のように、体を覆う部分が多いものを選びましょう。近年は子ども用のUVカットパーカーも豊富に販売されるようになり、お手頃な価格で購入できます。
パーカーの色は、熱中症を防ぐために白か淡い色を選ぶのがベターです。見た目も涼しげで、子どもも喜ぶでしょう。また、木綿やポリエステルといった通気性のよい素材でできたものなら、汗をかいても蒸れにくいのでおすすめです。
こまめな休憩と水分補給!熱中症対策も忘れずに
帽子やパーカーで紫外線対策を行うことも大切ですが、こまめな休憩と水分補給は必ず行うようにしましょう。
夏場に帽子やパーカーを着るのは、体温の高い子どもにとって、大人よりも暑さを感じやすいもの。子どもは大人よりも地面に近いため、なおさら暑さを感じます。
木陰で休憩する際は、帽子を取って熱を逃がすことを意識するのがポイントです。また、暑い日に長袖を着るのを嫌がる子どもも多く、着用させるのを難しく感じることもあるかもしれません。
紫外線対策と熱中症対策を両立させるのは難しいため、子どもの様子を見ながら調整しましょう。
子どもが日焼けしたときのアフターケアは?
子どもが日焼けした際は、その後のアウターケアが重要です。ケアの方法をしては「冷やす」と「保湿する」が挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
日焼けした部分をやさしく冷やす
日焼けした肌は、皮膚が火傷をして熱を持っている状態です。まずは日焼けしたところをしっかり冷やして、肌のほてりを鎮めましょう。日焼けした肌はいつもより敏感になっているため、冷やす際は肌を刺激しないように、やさしく冷やすのがポイントです。
流水で流したり、保冷剤をタオルでくるんで肌に当てたりする方法も有効です。海や川などで遊んで全身を日焼けした場合は、冷たいシャワーを浴びると効率よく全身を冷やせます。
温かいお風呂に入ったり体を洗おうと過度にこすったりすると、赤みやかゆみの原因となるため、なるべく避けましょう。
しっかり保湿する
日焼けした肌は、水分を失い乾燥している状態です。冷やした後は、しっかりと保湿することを心がけましょう。
保湿ケアをせずに放置してしまうと、かゆみや赤みが長引き、肌がカサカサとかゆい状態になることがあります。なるべく早めにケアを行うのがポイントです。
日焼け後24時間程度は、UVBの影響で皮膚の炎症が続いています。火傷と同様に、炎症を起こしている状態なので、なるべく低刺激で保湿成分を多く含んだものや、ワセリンなどの保護効果もある保湿剤でこまめにケアを行いましょう。
子どもの肌は日焼け止めでしっかり守る
日焼け止めは、子どもの肌を紫外線から守るために有効なアイテムです。子どもの肌に合ったものや、お出かけのシーンに適したものを使用し、紫外線から肌を守るようにしましょう。加えて、日焼け止めだけに頼らず、帽子やUVカットパーカーを利用するのが理想的です。
ただし、過度に紫外線を避けるのもおすすめできません。紫外線には骨の成長を促す役割もあるため、適度に日光を浴びることも大切。紫外線を過度に恐れず、上手に付き合いながら日焼け対策を行いましょう。