令和は“ライフスタイルに合わせた住み替え”も選択肢のひとつに
ーコロナ禍でテレワークが浸透したことで、地方に移住したり郊外に引っ越しをするケースが増えましたね。ライフスタイルが変わる際について回るのが「家」だと思います。令和では、家は買うべきか、借りるべきか、どのように考えれば良いのでしょうか。
例えば仕事の都合でしょっちゅう住む場所が変わるような人は賃貸の方がおすすめです。購入の場合も住み替えは可能ですが、数年ごとなど頻繁に引っ越しする場合はやはり賃貸の方が手軽です。ただ、家賃はずっと発生し続けますし、高齢になると家が借りづらくなるので、注意が必要です。
購入の場合は一般的にはローンを組むことになり、金利や税金、また家のメンテナンス費用も発生します。それでも家が「資産」になるので、子どもに遺すこともできます。今は不動産価格が高騰しているので、購入時よりも高く売れたというケースも多く見られます。賃貸物件に家賃を支払い続けることを無駄に思う人は、購入することをおすすめします。リノベーションなどで自分の好きなように家をカスタマイズできることも、賃貸にはない購入のメリットですね。
ー賃貸ではなく購入を選択する場合、どのような点に気をつけるべきでしょうか。
これから結婚や出産のご予定がある場合、あるいはお子様が小さいご家庭などの場合、ある程度先のライフプランまで見越して物件選びをすることが重要です。家族が増えたりお子様が大きくなっても同じ家に住めるかという視点で部屋数や間取り、周辺環境などふまえて考えるとライフステージが変化しても急いで住み替えを検討する必要がありません。
一方で、物件を購入したら一生そこに住み続けなければならないという固定観念はなくなりつつあります。今はテレワークが浸透し、働き方や暮らし方も柔軟になっているので、「ライフスタイルに合わせた住み替え」を見越して物件選びをするのも良いと思います。その場合は、住みやすいエリア、人が多く集まるエリアなど、将来的な売りやすさを購入時点から考えておけると、いざ住み替えをするタイミングでスムーズに売却が進められるはずです。
ー人気のエリアというと、都心に限られてしまうのでしょうか?
一概にそうは言えません。一定の人口があること、その物件に住みたいニーズがあることが大事ですね。駅からのアクセスや地域性、不動産の需給バランスなど総合的に踏まえて判断することが必要です。
子どもに家を相続する際の注意点
ー不動産は資産、というお話がありました。子供に資産として不動産を遺したいと考える親もいますよね。
お子様に資産として残す場合、お子様としっかり家のことを話しておくことはとても大事です。生きているうちに相続すると「生前贈与」にあたり税負担が大きくなるため、不動産は親の死後に相続するのが一般的ですが、いざ自分が死んだ後にトラブルを残さないようにするためです。兄弟がいる場合は相続問題も発生しますし、その家に将来的にお子様が住むのか住まないのかでも家の資産価値は変わってきます。
「誰も住まないけど愛着があるから」と、空き家のままずっと置いておく方も多いですが、住まないと家はどんどんダメになってしまいます。それであれば、手放して「資産」として分配し、大事に住んでくれる方に譲るという選択肢を持っても良いのではないかと思います。
「いつか」のための一歩目として、今から不動産の価値を知っておくことが重要です。今は不動産会社に査定を依頼しなくても、AI査定サービスなどを活用することで、客観的な市場価値を把握することができます。
ー不動産と一緒にローンをお子様に残さないよう、繰り上げ返済などしてできるだけ早く完済するべきでしょうか?
「団体信用生命保険」と言って、被保険者(ローンを組んだ本人)がローン完済前に死亡した場合は代わりにローンが完済される仕組みがあります。働いていて収入が安定しているうちに繰り上げ完済を目指す方もいれば、この仕組みを生命保険代わりに捉え、予定通りにローンを払い続けるという方もいらっしゃいます。
こういったローンの仕組みや不動産価値について、いざお子様側が相続してから「何も知らなかった」、ということがないよう、今から親子で家や将来について話をする機会を持つとよいでしょう。
教えてくれたのは
渡邉 雄也さん
株式会社コラビット/株式会社トランジット
宅地建物取引士・AFPファイナンシャルプランナー・一級建築施工管理技士。
不動産のAI査定「HowMa」 https://www.how-ma.com/