「出鱈目」の基礎知識
「出鱈目」の読み方は〈でたらめ〉で、「根拠がないこと」や「いいかげんなこと」を指して使う言葉です。江戸時代末期ごろから使われている言葉で、「出鱈目なことをいってごまかそうとしている」などと使います。
はじめに、「出鱈目」という表現の詳しい意味や言葉の由来・語源、「鱈」が使われていることに意味はあるかどうか、使い方、例文などについて、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
■出鱈目とは根拠がなくいいかげんなこと
【でたら‐め(出鱈目)】
名・形動《さいころを振って、出たその目のままにする意》根拠がないこと。首尾一貫しないこと。いいかげんなこと。また、そのさまや、そのような言動。「―を言う」「―な(の)答えを教える」「数字を―に並べる」
<派生>でたらめさ名
<補説>「出鱈目」は当て字。
<用法>でたらめ・いいかげん――「その男は平気で、でたらめな(いいかげんな)ことを言う」、「でたらめな(いいかげんな)生活ぶり」のように勝手放題の意では、相通じて用いられる。◇「でたらめ」は思いつくまま勝手なことを言ったりしたりすることであり、「Aさんをめぐる噂(うわさ)はでたらめだった」では「いいかげん」と置き換えられない。◇「いいかげん」は不徹底であったり投げやりで無責任であったりすることであり、「いいかげんな方法では解決できない」「いいかげんな態度をとる」などでは、「でたらめ」と言い換えられない。◇類似の語に「出まかせ」「めちゃくちゃ」「ちゃらんぽらん」がある。「出まかせ」は「口から出まかせを言う」のように勝手放題の意で、「めちゃくちゃ」は「めちゃくちゃな話」のように筋道の通らないの意で、「でたらめ」と相通じる。「ちゃらんぽらん」は無責任の意で、「いいかげん」と相通じる。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
出鱈目とは根拠がなくていいかげんなことを指す言葉です。また、そのような言動やそのさまを指す場合もあります。使用する際は、思いつくままに行き当たりばったりで適当なことをしている人に対して、「出鱈目なことばかりするな」などと使いましょう。
出鱈目から派生した言葉には「でたらめさ」があります。この場合には名詞として使いましょう。
■出鱈目という言葉の由来・語源
この出鱈目という言葉は、江戸時代末期から使用されていました。この言葉の由来は複数の説がありますが、そのなかでも有力なものは博打からきたという説だといわれています。
博打からきたという説は、出鱈目の「目」とはサイコロの目のことを指しており、賭博の隠語に由来しているというものです。博打でサイコロを振ったときに「出た目」のままに勝敗が決まるということから、行き当たりばったりなさまから「出鱈目」という言葉ができたとされています。
■「鱈」が使われていることに意味はある?
「でたらめ」を漢字で表記する場合には、出鱈目と書きます。出鱈目には魚の「鱈(タラ)」という字が使われているため、魚の鱈と関係がある言葉なのかどうかが気になる方もいるでしょう。
出鱈目という漢字表記はもともと当て字です。そのため、言葉の意味や由来には関係ありません。出鱈目以外の当て字には、「めでたい」を「目出度い」としたり、「コーヒー」を「珈琲」としたりする漢字表記が挙げられます。
■「出鱈目な」などの使い方・例文
実際に言葉をどのように使うのかイメージできるように、出鱈目の使い方や例文をチェックしていきましょう。
出鱈目という言葉は、「根拠がないこと」や「いいかげんな言動」などを指して使います。出鱈目を使った例文は、以下のとおりです。
・Aさんについて最近流れていたうわさ話は、彼女の人気をひがんだ人が伝えたまったくの出鱈目だった。
・久しぶりに文字を書いたら、子どもに「出鱈目な書き方だ」といわれてしまった。
・その出鱈目な生活ぶりを直さないと、とてもじゃないが信用できないよ。
・彼はいつも出鱈目なことばかり話している。このままでは、周りの人たちに悪影響を与えてしまいそうで不安だ。
出鱈目の類語・言い換え表現3つ
ひとつの言葉だけではなく、言い換えできる表現を理解して表現の幅を広げましょう。出鱈目の類語・言い換え表現は、以下のとおりです。
・いいかげん
・出まかせ
・ちゃらんぽらん
これらの類語のほかにも、「めちゃくちゃ」や「荒唐無稽(こうとうむけい)」などの表現でも言い換えができます。めちゃくちゃとは「筋道の通らないこと」という意味で使われている言葉です。また、荒唐無稽とは「言動に根拠がなく、現実性に乏しいこと」を指して使います。
それでは、上記に挙げた出鱈目の言い換え表現について、詳しくチェックしていきましょう。
1.いいかげん
いいかげんとは、「徹底しないこと」や「投げやりで無責任であること」を指して使う言葉です。「出鱈目なことをしている」など、勝手放題だということを表現したいときには、「いいかげんなことをしている」と言い換えできます。ただし、「うわさ話が出鱈目だった」という文章では、いいかげんという表現への言い換えはできません。
類語であってもニュアンスや意味が異なる部分があるため、それぞれの言葉を正しく理解しましょう。
2.出まかせ
出まかせも出鱈目の言い換えができる表現のひとつです。出まかせは、ひらがなで「でまかせ」と表記することもあります。
勝手放題の意で、「口から出まかせをいう」などと使われる言葉です。出まかせとは、何も考えずに口から出てくる言葉に任せるというさまからできた言葉であるといわれています。「彼は嘘をつくつもりがなくても無意識のうちに口から出まかせをいってしまうようだ」などと使いましょう。
3.ちゃらんぽらん
ちゃらんぽらんとは、「無責任なこと」や「いい加減なことをしている人」などを指して使われる言葉です。ちゃらんぽらんの由来は「ちゃら」と「ほら」を組み合わせた「ちゃらほら」という言葉が変化したものだとされています。ちゃらとは「嘘や出まかせ」を指しており、ほらは「ほら吹き」からきたものです。
「学生時代は勉強もせずに遊び惚けていて、今から思うとちゃらんぽらんに過ごしていたものだ」などと使います。
出鱈目の意味を理解して正しく使おう
出鱈目の読み方は<でたらめ>で、根拠がない、いいかげんなことという意味で使う言葉です。使用されはじめたのは江戸時代末期ごろからで、言葉の由来となったものは博打であるという説が有力だといわれています。
出鱈目を使用する際は、思いつくままに行き当たりばったりで適当なことをしている人に対して、「出鱈目なことばかりするな」などと使いましょう。
言い換えをしたい場合には、いいかげん、出まかせ、ちゃらんぽらん、めちゃくちゃ、荒唐無稽(こうとうむけい)などの類語表現が使えます。類語であってもニュアンスや意味が異なる部分があるため、それぞれの言葉を正しく理解して使ってください。
言葉が持っている意味・使い方・類語などをしっかりとチェックして、さまざまな言葉を正しく使えるようになりましょう。
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