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「吉田松陰」とはどんな人物?
吉田松陰(1830~1859)は、幕末の思想家で教育者。現在の山口県萩市に生まれた長州藩士です。嘉永7年(1854)、25歳のときに海外渡航を企てて、浦賀に再度来航していたアメリカ軍艦に乗り込もうとしましたが、失敗して自首。江戸伝馬町(てんまちょう)にある獄舎に入れられました。
27歳のとき、出牢した松陰は近隣の子弟を集めて塾を開きます。それが、のちに松陰が主宰者となる「松下村塾」。高杉晋作、伊藤博文、山県有朋などの多くの幕末維新期に活躍する門下生を育てましたが、松陰は安政の大獄により刑死します。
松陰の思想の特徴は「至誠留魂」の語からわかるように、「真心をもって事にあたれば、おのずから志を継ぐ者が現れ道は開ける」というもの。この思想は、今も多くの人に影響を与えています。
「座右の銘」にしたい「吉田松陰」の名言
吉田松陰の言葉には、苦境に立たされた時や人生の転機、あるいは日常の日々において「座右の銘」にしたくなる言葉がたくさん。その一部をシーン別に原文とあわせて紹介します。
何かに挑戦するときに、聞きたい言葉
自分がある目的を成し遂げようとする時、「志を立てる」と言います。何かを始める時に、ぴったりな吉田松陰の言葉に次のようなものがあります。
1:志を立てて以て万事の源と為す
(すべての実践は、志を立てることから始まる)
「志(こころざし)」とは「心に決めた目的や目標」のこと。吉田松陰が26歳のとき、いとこの玉木彦介の元服を祝して贈った「士規七則」に出てくる言葉です。「士規七則」の七か条は「立志・択交・読書」の「三端」としてまとめられました。これは「立志」にあたるもの。
何かを始めるときに、自分の「志」は何か? とまずは自分に問うことから始めると、軸がブレずに志を貫き通せるのではないでしょうか。
2:至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり
(至誠をもって対すれば、動かない者はいない)
「至誠」とはきわめて誠実なこと、そしてその心を指します。その「至誠」をもって対すれば、どんな人でも動かせないということはない、という意味です。この言葉を松陰は大切にしていたといいます。
目標を実現しようとするときに、聞きたい言葉
志を立てるだけでは、目標を実現することはできません。そのために大切なことは何なのか、一緒に見てみましょう。
1:一己(いっこ)の労を軽んずるに非ざるよりは、寧(いづく)んぞ兆民の安きを致すを得ん。
(自分がやるべきことに努力を惜しむようなら、世の中の役に立つ人にはなれない)
この言葉の前には、「万巻の書を読むに非(あら)ざるよりは、寧んぞ千秋(せんしゅう)の人たるを得ん」(たくさんの書を読んで学ばなければ、後世に名を残すような人にはならない)という文言が記されています。「松下村塾聯(れん)」(松下村塾床の間に掲げられていた言葉)として有名な言葉です。
目標を実現するためには、自分の労苦をいとわないことが必要だと気付かされます。