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2022.10.29

40代以降が気になる老眼とは。眼科専門医が語る老眼のアレコレ【チェックリスト付き】

なんだか最近スマホを見ていると疲れる、小さな文字が読みづらい。もしかして老眼が始まっているかも!? 40代の女性が気になり始める老眼の疑問を、眼科専門医の林田康隆先生に伺いました。

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老眼は40代半ばから始まる

小さい文字を見るときに、腕を伸ばして距離を調節する仕草。「老眼鏡に関する調査(Zoff 調べ)」では、この仕草が「老けて見える」と感じる人は約7割、平均して「50歳以上に見える」という結果が明らかになりました。とはいえ、実際には40代半ばからすでに老眼の症状が出始める人が多いそうです。

スマホを遠ざけてみる仕草は、平均50歳以上に周りから見られる▲Zoff 調べ 老眼鏡に関する調査より引用

そもそも“老眼”ってどんな状態?

歳をとると近くが見えづらくなるというイメージはあるものの、そもそも「老眼」とは医学的にどのような状態なのでしょうか。林田先生によると、目の中にある“水晶体”、カメラでいうとレンズに当たる部分が年齢と共に硬くなってしまうことで、その調節力が低下してしまいピントが合わなくなった状態を「老眼」といそうです。

正常な水晶体の働きと、老眼状態の水晶体の働きの図説

「元々、水晶体は非常に弾力性に富んでおり、生まれてから幼少期までは全員が遠視、つまり無限遠方にピントが合っている状態です。遠くにピントが合った状態から近くを見るためには、目の中の毛様体という筋肉を収縮(緊張)させてレンズ(水晶体)を分厚くする必要があります。

若いうちは毛様体筋の働きだけで充分に水晶体の厚みを出すことができますが、年齢とともに水晶体が弾力を失い、硬化してしまいます。一般的には40代半ばごろから、いくら毛様体が緊張・収縮してもレンズが薄いままで、近くを見るために必要なだけの厚みを出すことができなくなるのです」(林田先生・以下同)

水晶体の調整力と年齢の関係を示したグラフ▲40代を境に、水晶体の調整力が読書に必要な度数を下回っていることがわかります(出典:日本眼科医会監修/医学書院「医療従事者のための眼科学」 図はDomani作成)

ちなみに、水晶体の硬化は、眼の解剖学的な構造によるもの。通常、皮膚は死んだ細胞を垢やフケのように身体の外に排出しますが、水晶体にはそれができません。そのため、死んだ細胞が中へ中へと押し込まれ、年齢と共に硬化して中心に核という芯を作っていくのだそう。これが水晶体が硬くなる理由です。

もしかして老眼かも? チェックリスト

  1. 小さい文字が見づらく、本を読むのが辛くなってきた

  2. 携帯やスマホでメールするときに入力間違いが多くなった

  3. 薬や化粧品の成分表示の細かな文字が読みづらく、少し遠ざけないとならない

  4. 3、6、8、9などの数字や、「パ」と「バ」などの見間違いが増えた

  5. 買い物で、生鮮食料品の値札や洋服のタグ表示が読みづらくなってきた

 

これらの症状が2個以上あれば老眼度はかなり高いと言っていいでしょう。気になる方は眼科で検査を受けることをおすすめします」と林田先生。

「若いころに目がいいと早く老眼になる」って本当!? 老眼にまつわる疑問や都市伝説について林田先生が回答!

スマホの見過ぎで目が疲れた女性の写真

まさに老眼はDomani世代には避けられない悩みといえそう。そこで、意外と知らない老眼の疑問や都市伝説について、林田先生に伺ってみました。

Q1.中には、老眼にならないという人もいるのでしょうか?

老眼にならない人はいません。先ほどご説明したように、これは水晶体の構造的に仕方のないことです。ちなみにさらに硬くなると水晶体が濁り、白内障になります。年を重ねると髪が白くなるのと同様に、すべての人が老眼になり、その先で白内障になるのです。70歳になると9割、80歳でほぼ全員が白内障になるといわれています。ただ、日々のメンテナンスで老眼を遅らせることは可能かと思います」

Q2.ブルーベリーが目にいいとか、ツボ押しで視力改善というのは時折耳にします。老眼に効果的な食べ物や生活習慣はあるのでしょうか。

「目は身体の一部。目の酷使はもちろん、乱れた生活習慣も影響が大きいといえます。パソコンやスマホが手放せない、ゲームで目を酷使している、食事の時間が不規則、運動をしない、偏った食生活、いつも睡眠不足…というように、不健康な生活を送っていると、生活習慣病やメタボが進むように目の老化も加速してしまいます

酷使された目のケアを行い、生活習慣を改善することで、目も体もアンチエイジングをめざすことが大切です。確実に効果が出るかと言われると当然個人差がありますし、限界がありますが、抗酸化成分の摂取や一般的に身体に良いとされていることは、意味がないとは思いません」

鮭、エビ、イクラ、ベリーを並べた写真
「ちなみに、ブルーベリーやカシスは疲れ目に効くアントシアニンを含みますが、老眼には効きません。紅鮭やいくら、エビ蟹などの赤い甲殻類に含まれるアスタキサンチンは目に良い抗酸化成分です。甲殻類は殻ごとの摂取が望ましく、いくらはコレステロールの問題がありますので、おすすめは紅鮭ですね」

Q3.「若いころ、視力がいいと老眼になるのが早い」などということを聞きますが、事実そういった事象はあるのでしょうか。

「これは実際には老眼に早くなるわけではないんです。視力がいい=裸眼で遠くにピントが合っている人は、近眼の人よりも手元が見づらいことを自覚するのが早いということです。

ですので、老眼になりやすい人・なりにくい人という区別はなく、逆に“近視の人は老眼になりにくい”ともよくいわれますが、これも間違い。近視の人は、目の調節力の低下=老眼(近くの物が見辛い)に気づくのが遅いだけなんです」

Q4. 最近はスマホ老眼というワードもよく聞きますが、老眼の若年化が進んでいるということはありますか?

メガネを上にずらしてスマホを見る若い男性の写真

スマホ老眼は、実際には老眼とは違います。若い人のピント調節障害をキャッチーな表現でこう呼んでいるだけで、医学的な表現ではありません。スマホ依存で近くばかりを見続けることで、緊張した毛様体がこわばり、遠くがぼやけるというのが“スマホ老眼”です。ただ、近くばかり見る時代になっているので、30代から40代前半で老眼症状を感じ始める人が増えている可能性はあります」

Q4. 老眼には治療法はあるのでしょうか。

・老眼鏡をかける
・遠近両用(多焦点)メガネや、コンタクトレンズの使用
・手術による治療:老眼レーシック、角膜インレーなどレーシック手術のイメージ図。点眼薬で麻酔を行い、目の表面にフラップと呼ばれる蓋を作ったあと、レーザーで視力を矯正。フラップを元の位置に戻し、抗生剤を点眼。フラップは自然に接着される。▲レーシック手術のイメージ

「手術による治療には、モノビジョンといって、片方のピントを遠くに、もう片方を近くに合わせることで、脳の中で見え方を補正して近くも遠くも対応する方法もあります。しかしこれは人によっては目がまわり、施術できない場合も。コンタクトレンズ等でシミュレーションして耐えられる人が対象になります。

近視治療で話題になっているICL(眼内コンタクトレンズ)も、近年老眼向けの多焦点タイプが出始めています。これまで老眼世代の40代以上は不適合だったのが、治療範囲が広がっています。この先はまだまだ研究段階ですが、新たな眼内レンズも研究されているので、今後の楽しみではあります」

我慢は禁物。老眼鏡を取り入れて、おしゃれで快適な毎日に!

多くの人が40代で老眼になり始めているものの、我慢して見えづらい状態を続けている場合も多いそう。すると表情も固くなりがちになり、眉間の皺も増えて見た目にも険しい印象に…。初期症状段階で早めに老眼鏡を使用すれば、目も疲れにくく表情も明るくなる、と林田先生はいいます。

メガネをかけて読書を楽しむ女性

「手元が見えづらいと、しんどさを感じるはずです。また老眼が進むと、手元のものを見るためにむりやりピントを合わせようとするので、疲れ目になりやすい悪循環に。ひどい場合は、頭痛や肩こり、吐き気などの症状に悩まされる人もいます。

また、文庫本や雑誌の小さな文字を読みづらくなるので、読書が好きだった人が読書自体をあきらめてしまうケースもあります。これでは、せっかくの楽しい人生が台無しです。人は外からの情報の8割を目から得ているといわれますので、誤読や誤認識によって事故が発生するリスクもありますよね。老眼の進行をそのままにしておくと、生活の質が損なわれてしまう結果になりかねません

老眼鏡を使うのはまだ早い…と考える人もいるかもしれませんが、我慢は禁物。おしゃれなメガネを取り入れれば、ネガティブに捉えがちな「老眼鏡」も積極的に取り入れられるはず。

Zoffのメガネフレーム8種類。老眼鏡や遠近両用メガネにおすすめのデザイン

ポイントは今の自分の視力や目の状況にあったメガネを選ぶこと。100均でも売られていますが、まずは必ず眼科を受診して、自分に合ったメガネを作ってもらいましょう。メガネは自分の好きなデザインを選ぶことでファッションを楽しんだり、見た目や気分を上げることにも一役買ってくれます」

Zoffなら、500種類以上のフレームから自分にぴったりのメガネが見つかる!

Zoff CLASSIC 正面からの写真Zoff CLASSIC 横からの写真▲Zoff CLASSIC  目元に華やかさをプラスするコンビフレーム。ZC191010_49A1 8,800円(税込/フレーム+セットレンズ)

メガネブランドのZoffでは、500種類以上のフレームから選んで、老眼鏡・遠近両用メガネを作ることができます。トレンドをおさえつつオフィスシーンにも馴染むベーシックデザインから、コーディネートのアクセントになる遊び心のあるアイテムまで、きっとお気に入りが見つかるはずです。

大人世代がぶつかる問題である老眼。ポジティブに変換しておしゃれとして楽しむという選択肢を選んでみませんか。

▶︎Zoff

教えてくれたのは

林田康隆 先生

眼科専門医。「医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾」理事長。 過去、大阪大学大学院医学系研究科および米国フロリダ州マイアミ・オキュラー サーフェスセンターにて眼表面および間葉系細胞の幹細胞研究に携わり、実際の 細胞培養の経験まである再生医療のスペシャリスト。 現在は、主に名古屋で眼瞼手術や難治性白内障手術、緑内障手術等に取り組む傍 ら、眼科の領域にとどまらず、東京では肌再生療法や脂肪幹細胞療法、免疫療法 も手掛ける。また、メディアにおいても活躍中。

取材・文/徳永留依子

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