ロマンティックなバラ色が特徴のロゼワイン。興味はあるものの、赤ワインや白ワインに比べると馴染みがなく、どんな料理に合わせたら良いかわからない… という方もいらっしゃるのでは? 実はロゼワインは様々な料理に合わせることができ、日常的に楽しむにはピッタリのワインなのです。
本記事では、ワインの基礎知識について、京都で100年以上続く老舗ワイン商「ワイングロッサリー」の3代目・吉田まさきこさんに教えてもらいます。ワインに関する基礎知識を身につけ、あなた好みのロゼワインを見つける手立てとしていただけたら幸いです。後半では、吉田さんおすすめのロゼワインの紹介も。
ロゼワインとは?
ロゼワインの「ロゼ」とは、フランス語で「バラ色」のこと。バラ色をしたワインを総称して「ロゼワイン」と呼びます。バラ色といっても、淡い色合いのサーモンピンクから、赤に近い濃いピンク色までさまざま。
ロゼワインといえば、「女性向け」「甘い」というイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、世界的にはドライな味わいの辛口が8割以上を占めていると言われています。
もともと南フランスでは、夏のバカンスにパラソルの下でロゼワインを楽しむ習慣がありましたが、今やヨーロッパ全域で一年中ロゼワインが大人気。一方日本では、ピンク色の柔らかな色合いからか春に人気のあるワインになっています。近年では、SNS映えする可愛らしい見た目と飲みやすさから、ますます注目が集まっていますね。
ロゼワインの価格帯
ロゼワインは他のワインと比べて価格が低く、2,000円台〜3,000円台が主流です。赤ワインや白ワインではこの価格では買えない、という有名なワイナリーのものでも、ロゼワインなら手頃な価格で掘り出し物が見つかることも。手頃な値段でデイリーに楽しめることもロゼワインの魅力の一つです。
ロゼワインの作り方
一般的にロゼワインは、「セニエ法」「直接圧搾法」「混醸法」のいずれかで作られています。ここでは3つの製法について紹介しましょう。
セニエ法
セニエ法では、赤ワインと同じ黒ブドウが使われます。ブドウを潰して果皮と果汁、種子を一緒にタンクに入れ、一定時間浸漬します。その後、果汁が色づいてきたら果汁のみを抜き取り、別のタンクで発酵させるのです。他の製法と比べて、ブドウの果汁が皮と漬け込まれている時間が長いため、色合いが濃く、タンニンが多く含まれたロゼワインができあがります。
直接圧搾法
赤ワインと同じ黒ブドウを使い、白ワインの製造方法で作るのが直接圧搾法。潰した黒ブドウをゆっくりと圧搾していき、茎や皮、タネなどを取り除きます。そして果汁のみを取り出して発酵させ、タンクで醸造していきます。セニエ法と比べてブドウの皮と接している時間が短いため、淡い色合いのロゼワインになるのです。
混醸法
黒ブドウと白ブドウを混ぜて、セニエ法のように発酵させたものが混醸法です。注意したいのは赤ワインと白ワインを一緒に混ぜているのではなく、発酵前の果実の段階で醸造をしている点です。
皮がついたままの黒ブドウと白ブドウをタンクに入れ、発酵させて浸漬させていくことで、赤い色素が果汁に溶け出して色づいていきます。黒ブドウの皮の色素と白ブドウの皮の色素が合わさるため、淡いピンク色のような色合いになるというわけ。
ロゼワインの飲み方
ロゼワインは赤ワインのように味わいをボディで表すのではなく、甘口・辛口と表現することが多いです。ドライな味わいなので食中酒としてもよく合いますね。フレッシュな味わいのロゼなら、グラスは大ぶりの赤ワイングラスよりもシャープな白ワイングラスの方がおすすめ。適度に冷えた状態をキープすることができるでしょう。
ロゼワインの楽しみ方
ワインというと飲み方にルールがあるイメージがありますが、ロゼワインは比較的自由に楽しまれています。パーティーや自宅でのリラックスタイムに取り入れてみてはいかがでしょうか?
お好みのグラスに
ロゼワインをカジュアルに楽しむシーンなら、足のついていないタイプのグラスを選ぶのもおすすめ。普段使いのグラスやタンブラーに入れて、アウトドアやテラスで飲むと気分も上がりそう。
ロックやカクテルにアレンジも
甘口のロゼワインなら、氷を入れてロックワインにしてみては? 本場フランスやスペインではグラスに氷を入れてロックスタイルでロゼワインを楽しむ習慣もあります。その他にも、ソーダを入れてハイボール風にしたり、シロップやベリーを加えてカクテルにするのも良いですね。アルコール度数が下がるので、ワインを飲み慣れていない人でも試しやすそうです。
ロゼワインの適正温度は?
ロゼワインは赤ワインと白ワインの中間的なスタイルですが、適温は白ワインに近いです。ロゼワインの多くは、熟成させず早飲みタイプに仕上げられているものが多く、フレッシュ感が特徴。そのため、冷やして飲んだほうがより美味しく感じられるハズ。
冷蔵庫で冷やす目安は3〜4時間ほど。薄ピンク色のものは、低めの8度〜10度。濃いピンク色は10度〜12度に調整するといいでしょう。飲んでいるうちに温度が上がり、味がダレてきたなと感じたら、アイスバケツで冷やしてみてください。
おすすめのロゼワイン
ここまで読んでいただくと、「美味しいロゼワインが飲みたくなってきた!」という方も多いのではないでしょうか? そこでおすすめのロゼワインの銘柄を、京都で100年以上続く老舗ワイン商「ワイングロッサリー」の3代目・吉田まさきこさんに伺いました。
1:ヴィラ・ヴォルフ ピノ・ノワール ロゼ
ピュアな味わいが魅力的な辛口ロゼ。軽やかな赤い果実の香りと、いきいきとした果実味があり、さわやかな味わいです。シンプルなお料理とのマリアージュや、すっきりと冷やして屋外のパーティーなどカジュアルに楽しめる、お手頃・高品質な1本です。
2:シャトー・デスクラン ロック・エンジェル 2021
比較的低価格帯が多いロゼの中で、異才を放つ革新的ロゼ! エンジェルピンクの色合いで、ピーチのコンポートのようなクリーミーさに、ラズベリーのピュレのようなフルーツ感と火打石のようなミネラル感が混ざり合います。野菜や海鮮、お肉にも、また調理法においても蒸す・焼く・揚げるなど様々な料理にマッチする、多彩なペアリングをお楽みいただける万能なロゼワインです!
ロゼワインに合う料理
赤ワインと白ワインの要素を併せ持つロゼワインは、どんな料理ともよく合います。特に、和食や洋食、中華が同じ食卓に並ぶ日本では、使い勝手の良いお酒といえるでしょう。ロゼワインに合う料理のペアリングとしては「色が似ているものを合わせる」ことがポイント。
例えば、鶏肉や豚肉など焼くと色が白くなる肉類には薄い色のロゼワインを。加熱したときに赤みが残る牛肉や鴨肉には濃い色のロゼワインが相性○。また、生ハムやベーコン、サーモンなどはどんなロゼワインにも合わせやすい食材です。
最後に
柔らかでロマンティックな色合いのロゼワイン。日本ではまだまだ馴染みがないものの、意外と色々なお料理とも相性がよく、価格も手頃なため日常生活に取り入れやすいワインです。パーティーやおうちでのリラックスタイムに、ロゼワインを飲んで素敵なひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか?
監修
吉田まさきこ
京都で100年以上続く老舗ワイン商「ワイングロッサリー」の3代目。
J.S.A.認定ソムリエ
シャンパーニュ騎士団公認 オフィシエ(将校)
アルザスワイン騎士団公認 シュヴァリエ(騎士)
アカデミー・デュ・ヴァン講師
ヨーロッパを中心に世界各地のワイン生産地を幾度も訪問し、ワインを学ぶ。それら一流の生産者たちとワインイベントを開催し、交流のコーディネイトを行なう。ショップでは世界各地の地域のワインを多種取り扱うが、特にブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザスでの滞在が長いためこの地域のワインは日本有数の品揃えを持つ。初級~専門分野までのワインセミナーも多く実施し、中でも京都の持つ和の食文化とワインのマリアージュを強みとしている。
構成・執筆/京都メディアライン