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2023.06.10

「吊り橋効果」とはいったい何? 恋愛における吊り橋効果について紹介

 

誰でも1度は耳にしたことのある「吊り橋効果」ですが、具体的にはどのような効果なのでしょうか?本記事では、吊り橋効果の意味や、もともとの実験なども合わせて解説していきます!

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「吊り橋効果」とは?

「吊り橋効果」という言葉を聞いたことはありますか? 「恋の吊り橋効果」と書かれたポスターを見たことがある人も、いらっしゃるかもしれません。恋愛などの人間関係の説明に、吊り橋効果の心理が用いられることはよくあります。

SNSやサイトなどでも、恋愛やビジネスと吊り橋効果を結び付けた内容が散見されます。この吊り橋効果は、本当に効果があるのでしょうか? 本記事では、吊り橋効果の意味や、もともとの実験などについて解説します。

■「吊り橋効果」の意味

「吊り橋効果」とは、一般的には「緊張や恐怖などによってドキドキする気持ちが、一緒にいる人間への恋愛感情によるドキドキ感だと勘違いさせる心理効果」のことです。

吊り橋

もともとは、1974年にドナルド・G・ダットン、アーサー・アーロンという2人の人物によって行われた揺れる吊り橋を使った人間心理の実験に基づいています。

例えば、揺れる吊り橋の上を歩くことは怖いですよね。足がすくんで動けなくなってしまったり、恐怖で心拍数が上がってしまったりしてしまいます。

人間の脳は、このときに生じるドキドキと恋愛感情によるドキドキとを区別できないのではないか? ならばこの効果を恋愛テクニックとして応用すれば意中の人と両思いになれるのではないか? ということで、吊り橋効果が有名になりました。

吊り橋効果は正しいの?

ダットンとアーロンのこの実験は、恋愛心理学の中でも特に有名な実験です。ところが、インターネットなどで調べてみると「吊り橋効果は正しい?」というように吊り橋効果を疑問視するような内容の記事がヒットします。

散見される吊り橋効果についての解釈が、ダットンとアーロンの実験の一部であったり、簡略化され過ぎた内容が多かったから、というのがその理由のようです。そこで、続いては吊り橋効果のもともとの実験について、どのような内容なのか見ていきましょう。

■吊り橋効果の実験について

実は、ダットンとアーロンの吊り橋の実験は、第1実験から第3実験まであります。吊り橋効果で取り上げられている内容の多くは、このうち第1実験のみである場合が多いのだそう。

東京女子大学現代教養学部心理コミュニケーション学科の教授・斎藤慎一氏は、論文『Dutton & Aron(1974)の吊り橋実験は何を明らかにしたのか』の中で、吊り橋実験について検証しています。その一部を簡潔に紹介いたしましょう。

女性が振り向いている様子

第1実験は以下のような手順で行われました。

・揺れる吊り橋と安定した橋のいずれかを渡っている男性にサクラ(女性もしくは男性)が話しかけ、アンケートに答えてもらう。

心理学の授業の一環として、〝風景や景色が創作活動に与える影響を調べるプロジェクトのアンケート〟という体で回答をお願いする。

・アンケートに答える中でTATと呼ばれる検査を用いて性的喚起度を測定する。

TATとは、「主題統覚検査」と呼ばれる検査のこと。TATの中にある図版を実験参加者に見てもらい、その図版をもとに短い物語をつくってもらう。そしてその物語の表現・言葉から「性的喚起度得点」を測る。

例えば「kiss」という言葉が使われていたら3点、「girl friend」は2点というように、性的な言葉の場合はその度合いによって点数をつけ、全く性的内容と関係のない言葉なら1点とする。

・サクラが実験参加者に電話番号を渡し、受け取るか受け取らないかを観察する。

アンケート回答後に、「もしこの実験について詳しく知りたい場合は電話をください」と言って、実験参加者に電話番号と名前を渡す。

・実験参加者がサクラに電話を掛けたかどうかを観察する。

しかし、この第1実験にはいくつかの問題点が指摘されています。斎藤氏が指摘するこの実験の不確定要素について、以下で紹介します。

■吊り橋実験の不確定要素

吊り橋と安定した橋を渡った人間は無作為に振り分けられているわけではありません。

ダットンとアーロンの実験に用いられた橋は、キャピラノ橋と呼ばれる観光地としても有名な橋です。つまり、もう一方の安定した橋は地元の人が多くわたり、吊り橋は観光客が多く渡っている可能性が高いと言えるでしょう。

加えて、揺れる吊り橋を敢えて渡ろうとする人は、「スリルを求める気質」「冒険心」を持っている人が多い可能性もあります。このような性質は、安定した橋を渡る人よりも、初対面の異性に電話を掛ける気概があると言えるのではないかという疑問も斎藤氏は指摘しているのです。

pcを前に考え事をしている様子の女性

これらの問題点があることから、ダットンとアーロンは第2実験、第3実験を行っています。しかし、一般的に広まっている恋愛心理学の書籍やネットの記事は、この第1実験の結果のみを取り上げて簡略化している場合が多いようです。

「ドキドキ」は恋心ではなく性的魅力によるもの?

斎藤氏の論文では、ダットンとアーロンの論文の言葉にも着目しています。

ダットンとアーロンの論文では「sexual attraction(性的魅力)」や「sexual arousal(性的興奮)」などの表現は見られても、「romantic attraction(恋愛的魅力)」などの恋愛に関する言葉は見られないのです。

この点に関して、斎藤氏は以下のように言及しています。

俗に「恋の吊り橋効果」などと言われているものは、揺れる吊り橋を渡ることで生じる生理的喚起(ドキドキ感)を、目の前にいる魅力的な女性に恋心を抱いたためだと解説されているが、Duttonらの論文では、ドキドキ感を女性に対する恋心ではなく、性的魅力を感じたためと書かれている。
目の前の相手に一目惚れすることとその相手に対して性的魅力を感じることは必ずしもイコールではない。
出典:斎藤慎一「Dutton&Aron(1974)の吊り橋実験は何を明らかにしたのか」2022.09

このことから、好きな人と一緒にホラー映画を見たり遊園地でジェットコースターやお化け屋敷を体験したりすることが、吊り橋効果で恋の成就とつながるかどうかは一概には言えなさそうですね。

参考:斎藤慎一「Dutton&Aron(1974)の吊り橋実験は何を明らかにしたのか」

最後に

本記事では、吊り橋効果の意味や吊り橋効果のもともとの実験内容などについて詳しく見ました。

緊張や恐怖のドキドキ感が、必ずしも恋愛感情に発展するとは言えなさそうですが、ホラー映画やお化け屋敷、ジェットコースターなどを一緒に楽しみ、時間を共有すること自体は相手との距離を縮めるきっかけにはなるのではないでしょうか。

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