一切合切には「なにもかも全て」という意味がある
一切合切には「なにもかも全て」という意味があります。読み方は「いっさいがっさい」です。辞書でも同様の意味で、解説されています。
【一切合切】
1 全部。残らず。すべて。「―が灰になる」「―を売り払う」
2 (あとに打消しの語を伴い副詞的に用いて)全然。いっさい。「今後は―関知しない」
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
一切合切の「一切」は、全てや全部といった意味があり「合切」も同様の意味を持っています。一切合切は同義語2つを合わせた言葉で、意味を強調しているのです。「一切合切」を「一切合財」と書く方がいますが、間違いではありません。
■一切合切の由来は明治時代にさかのぼる
一切合切の由来は、明治時代までさかのぼります。合切は、当時女性の間で流行っていた合切袋が由来です。
合切袋とは、身の回りのものを入れて持ち歩く袋のことです。紐でくくって中身が出ないようにしていました。西洋の鞄よりも和服に合うことから人気を集めていたそうです。
すべて入れる袋という意味から合切が全てという意味で使われるようになり、一切と合わせて四字熟語が生まれたとされています。
一切合切の使い方と例文
一切合切は、なにもかも全てという意味を伝えたいときに使いましょう。さらに全くや全然といった意味を伝えることもできます。全くや全然といった意味にする際には、後に打ち消しの語句を伴うようにしてください。
条件が揃っていないと、間違った意味で伝わってしまうため、使い方には十分注意しましょう。以下で例文を見ながら、使い方のイメージをしてみてください。
〈例文〉
・このプロジェクトで一切合切を任されているのが、部長である。
・グループで作業をしたが、ミスが多く一切合切を自分で実施したほうが早かった。
・隠しごとは、一切合切無いと彼女は言っていた。
一切合切の類義語3つ
一切合切には、類義語が3つあります。
1.森羅万象
2.有象無象
3.一五一十
それぞれどのような部分が共通するのか、以下で詳しく解説していきます。類義語でも多少意味合いが違うこともあるため、正しく覚えて使うのが大切です。例文も見ながら、使い方を把握していきましょう。
一切合切とは少し違ったニュアンスで表現したいときは、以下を参考にしてみてください。
1.森羅万象
森羅万象は「この世に存在しているあらゆる物事や現象」という意味があります。読み方は「しんらばんしょう」です。辞書では、以下のように解説されています。
【森羅万象】
宇宙に存在する一切のもの。あらゆる事物・現象。
森羅万象も、この世に起こる全てのものという意味があるため、一切合切と類義語とされています。文脈を見てどちらの意味がしっくりくるか考えながら使っていきましょう。以下の例文を参考に使ってください。
〈例文〉
・私の父は物知りで、森羅万象を知っていると思わせる人だった。
・日々の仕事も、森羅万象の1つだと思って生活している。
2.有象無象
有象無象は「有形無形問わず全てのもの」という意味があります。その他にも「雑多でつまらない集団」という意味で使われることも。読み方は「うぞうむぞう」です。
辞書では以下のように解説されています。
【有象無象】
取るに足りない種々雑多な人々。多く集まったつまらない連中。
一切合切の類義語とされていますが、有象無象は主に「雑多でつまらない集団」の意味で用いられることが多いです。「有形無形問わず全てのもの」という意味を知らない方もいる可能性があるため、類義語として使う場合は注意しましょう。
使用頻度の高い、雑多でつまらない集団の意味で使った例文を紹介します。
〈例文〉
・有象無象の集まりは苦手である。
・あの人にとって私は、有象無象に過ぎない。
3.一五一十
一五一十は「初めから終わりまで」という意味があります。読み方は「いちごいちじゅう」です。一伍一什と表記することもあります。辞書でも同様の意味で解説されています。
【一五一十】
一から十まで。初めから終わりまで。一部始終。
一五一十と一切合切は、指している範囲が違いますが、全てという意味合いに関しては同じなため類義語とされています。以下の例文を参考に使ってみましょう。
〈例文〉
・彼は私のエピソードに興味を持ったらしく、一五一十を聞きたいと申し出てきた。
・彼に一五一十を記した手紙を託した。
一切合切の対義語は「氷山の一角」
一切合切の対義語は「氷山の一角」です。氷山の一角は「表に出ていることが全てではない」という意味があります。読み方は「ひょうざんのいっかく」です。
辞書では以下のように解説されています。
【氷山の一角】
表面に現れている事柄は好ましくない物事の全体のほんの一部分であることのたとえ。
(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
氷山の一角は一部のことを指しているのに対し、一切合切は全てのことを指しています。反対のことを指しているため、対義語と判断されるのです。使用する際には、以下の例文を参考にしてみましょう。
〈例文〉
・会社で問題が起こった。この問題は氷山の一角に過ぎない。
・このミスは氷山の一角に過ぎないため、再度見直しをしておこう。
一切合切の意味を知ってビジネスシーンで活用しよう
一切合切とは「なにもかも全て」という意味があります。明治時代に使われていた合切袋が由来となっています。なにもかも全てという意味以外にも、否定する語句を用いて「全く」というニュアンスで使われることもあるのです。
使う際には、間違えないようにしましょう。一切合切には、類義語もあります。それぞれニュアンスが違うため、注意しながら使ってください。対義語は、氷山の一角です。
一切合切が使われている歌で有名なのはAdoの『うっせぇわ』です。どのように使われているか気になる方はぜひ聴いてみてください。