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EDUCATION 教育現場より

2023.06.05

改めて連載コンセプトをお伝えします 〜正解がない時代の教育論〜【お受験ママの相談室vol.10】

 

教育観と幸福観の確立が、なぜ大事?必要なのは納得解。自分だけの羅針盤。

では、保護者が幸福感と教育観を確立することがなぜ大事なのでしょう。それは、教育は保護者が子供の幸せを願って携えるものだからです。だからこそ、まずは、保護者自身が“幸せ”をどう意味づけるかという「幸福観」、そしてそれに紐付いてどんな力を子供に育ませたいのかという「教育観」を定めること。この2つが、子供の進路を考える羅針盤になります。

「正しい教育」というものは世の中に存在しません。「絶対的な幸福」も同様です。

世界のどこかに正しい教育があり、それを施せば子育ては成功、世の中の優秀グループに我が子を押し込められ幸福になれる?またそれができなければ親失格。子供は格差の下になってしまう?そんな気持ちで子供の育児や教育にあたってしまうと、親も子も、苦しく不安な道のりを歩むことになってしまいます。

ですが、現実には人間育てに1つの正解はなく、教育は確実なリターンを求められる投資ではありません。子育ては不確実性そのものであるという現実を受け入れ、むしろその不確実さを楽しめた方がよいのではないかと思います。

子供の個性もさまざま、ご家庭の幸福観も教育観もそれぞれ。多様で不確実であることが前提ですから、1つの正解を求めて、「みんなが良いと言っているこれこそが、正しい教育だ」「正しい教育をしなければ!」と思うのではなく、知識を得ながら深く考え、誰かの真似でもなく、自分(ご家庭)なりの解を導き出していただくことが大切だと思うのです。必要なのは、 “絶対解ではなく、納得解”です。

難しいことではなく、「この子にとって幸せな教育って、きっとこういうこと!」「私が育児で一番大切にしたい事は、これ!」「この1つだけは、子供に育ててあげたい力」と自分の言葉で語れれば十分です。

教育観は、一度確立したら終わりではなく、子供の成長に合わせて見直していくこともあると思います。ですが、まずは最初のタイミングとして、初等教育が始まる前の、未就学児の時期に一度考えを深めておくことは理想かもしれません。

それはつまり、小学校受験を考える時期と重なります。ですから、この連載のお話をいただいた時、小学校受験を知ることを通して、ご家庭での教育的価値観を確立できればいいのでは?と私は考えました。

いろんなことを知り、様々に考えたその結果、「小学校受験はしない」という選択をするご家庭も、当然ながらあると思います。また逆に「受験をしよう!」と決めた際にも、ご家庭なりの幸福観と教育観を考える過程は、志願書作成や保護者面接および学校選びで大いに役立つのではないでしょうか。

そういった意味で、この連載が一助になればと思います。

母の罪悪感にさよならを。あなたが頑張ってきたから今がある

筆者と3歳の頃の娘さん▲娘3歳の時。今は高校1年生JKになりました。

教育情報に触れる際に、1つだけとても伝えたいことがあります。それは「自分は育児をうまくできてない」などと自分を責めないでください、ということです。いちばん大事なのは、“うまく”育児ができることではなく、“リラックスして”“楽しく”育児できること。これに尽きます。

私は仕事柄多くの教育者を生で取材してきましたが、どんな立派な教育者であっても、「親」としては我が子の育児に自信のない姿、悩める姿を、たくさん見てきました。

それは人間として矛盾しているわけではなく、ごく普通の当然のことだと思います。 逆に自分のことを“完璧な親”と自負している人がいたとしたら、私は疑ってしまいます。親としての未完全さを自覚していることは、人間としての謙虚さであり、誠実さだと思うからです。

それに、親がいくら自分を責めても、子供を幸せにはしません。むしろ子供に「今の自分のままではダメなの?」というメッセージを与えてしまうかもしれません。これは私自身が、自分を責めがちな母親だったので、自警の念を込めてお伝えしたいことです。

私は、娘が1歳になった頃からの9年間ほどシングルマザーでした。実家も遠い環境で、働きながらの育児。母親役も父親役も一人でこなそうと意気込み、とてもハードな毎日でしたが、周りに仲間がたくさんいる環境で、私にとって娘と2人で過ごしたその時間は、とても楽しいキラキラした思い出で溢れています。自分のことを不幸だと思ったことは一度もありませんでした。

それでもやはり、心の底には娘に対して一抹の罪悪感や後ろめたさがあったのでしょう。走り続けたシングルマザー時代から一転し、再婚してふと過去を振り返る余裕ができたとき、「あの頃できなかった分、今もっとこうしてあげたい」と力んでしまったり、何かあると「やっぱり私の育児は力不足、不十分だったのかも」と思って自分を責めたりしたことがありました。

自分の不安や心配の感情を子供に押し付けてはいけないと、頭ではわかっていても、どこにも合格ラインが引かれていない子育てにおいて、「これでいい」と、自分で自分を認めることが難しかったのです。

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