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2023.09.02

「賀茂なす」の特徴とは? 旬の時期やおいしい食べ方について紹介【専門家監修】

 

「賀茂なす」は、京都の上賀茂で生産されている丸なすの一種です。初夏から初秋にかけて収穫され、京都では伝統野菜として古くから親しまれてきました。本記事では、賀茂なすの特徴やおすすめのレシピについて紹介します。

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「賀茂なす」とは?

丸くて大きな球状のなすといえば、“賀茂なす”が想起されることでしょう。江戸時代の頃から、「日本一」と呼ばれるなすです。京都の伝統野菜の一つでもありますが、実は本物の賀茂なすは必ずしも完全に丸くないことをご存じですか? また黒紫色をイメージするかもしれませんが、こちらも色が薄いものから濃いものまで様々のようです。

そこで、奥が深い「賀茂なす」について、京都・錦の老舗「かね松」の主人・上田欣司さんに、お話をうかがいしました。

賀茂なす

「賀茂なす」は、京都の上賀茂で生産されている丸なすの一種ですが、具体的にどのような特徴を持つ野菜なのでしょうか? ここでは、「賀茂なす」の特徴や由来、産地について紹介します。

1:特徴

丸なすの一種である「賀茂なす」。艶のある濃い紫色と、ふっくらした丸い形で、ヘタの下が白くなっています。また、ソフトボールのような正円形をしており、直径は約10センチから15センチ、一個300グラムほどの重さになるなど、通常のなすに比べて大きいのも特徴です。選ぶ際には、「大きくて色艶のいいもの」「光っているもの」を意識してみてください。

肉質が緻密で煮崩れしにくく、皮は柔らかく弾力性に富んでいます。油を吸収しにくいのも、通常のなすとの違いであるといえるでしょう。そのため、炒めたり揚げたりしてもベタベタになりにくく、おいしくいただくことができます。伝統野菜として古くから親しまれてきた京都では、味噌田楽しぎ焼きなどにすることが多いようです。

2:産地と由来

名前の通り、京都市北区上賀茂一帯で栽培されてきた“なす”です。ある時期までは門外不出の茄子でした。しかし、最近では京都府下はもとより、全国で作られるようになり、本家の上賀茂では対策もないまま、困っているようです。本来、野菜は自家採種が当たり前なのですが、この原則が崩れたため、京都市から京都府へ、そして全国へと広がってしまったとか…。

肉質が緻密で、濃厚な味わいから「ナスの女王」とも呼ばれる「賀茂なす」。しかしながら、風が吹いて葉が果実に触れるだけで傷がついてしまったり、かん水や排水などのタイミングを間違えると表面の色つやがなくなってしまったり…。はたまた、「水喰いの肥料喰い」と言われるほど、その栽培はとても骨が折れるものだそうです。そのため、賀茂なすは高級野菜としても知られています。

「賀茂なす」と上賀茂神社

京都の上賀茂にて古くから生産されている、「賀茂なす」。京都最古の歴史を持つ神社である「上賀茂神社」と深いかかわりがあることをご存じでしょうか? 「特産野菜研究会」という生産者団体が行っている恒例行事の中に、上賀茂神社の境内で採取した種を代々受け継ぎ、初収穫した賀茂なすを神社に奉納するというものがあります。

2つの賀茂なす

奉納された賀茂なすは、主に京都の老舗料亭などに出荷されるそうです。ほかにも、豊作を祈願する行事(苗分け式)や葵祭賀茂なす奉納式など、京都ならではの行事も行われています。

また、正月の歳旦祭(さいたんさい)には、神饌として賀茂なすの塩物が供えられ、神社と農家とのつながりを大切にするという文化が、現在でも受け継がれているのです。

「賀茂なす」の旬は?

賀茂なすは、5月から8月にかけて収穫期を迎えます。賀茂なすの栽培方法は、ハウス半促成栽培露地栽培に分かれており、その多くが露地栽培だそうです。そのため、市場に出回る時期も限られていますが、ハウス半促成栽培で定植時期を早めることで、出荷時期の早期化が期待できます。

3棟のビニールハウス

夏野菜として親しまれている「賀茂なす」ですが、あまり高温になりすぎると、賀茂なす特有の濃い紫色がくすんでしまうのだとか。また、日当たりが悪くても色つやが出にくくなるため、枝をやや開き気味に調節して日当たりをよくするなど、こまめに手入れしなければならないそうです。

京都では、賀茂なすのおいしさと伝統を守るための部会も発足しており、一般消費者にも手頃な価格で販売できるよう、収穫量を増加させる取り組みも行われています。

「賀茂なす」の調理方法や効能

賀茂なす特有の味わいや食感を活かした料理として、田楽や煮物が挙げられます。先述の通り、賀茂なすは通常のナスに比べて肉質が緻密で、煮崩れしにくいです。また、油も吸収しにくいため、揚げ物にも適しています。

賀茂なす田楽

ナスの皮にはポリフェノールの一種「ナスニン」と呼ばれるアントシアニン系色素が多く含まれているのだとか。ナスニンは、生活習慣病の予防などに役立ちます。

油で軽く揚げることで、賀茂なすの美しい紫色を維持することができるそうです。また、賀茂なすを煮ると色素が煮汁に出てしまいますが、そのまま浸しておくと、再び色素が皮に戻るのだとか。賀茂なすの美しい色合いと風味豊かな味わいを、ぜひ堪能してみてください。

「賀茂なす」を使ったレシピ

どのように調理しても美味しくいただくことができる「賀茂なす」。ここでは、賀茂なすを使ったレシピについて紹介します。

賀茂なすの田楽

賀茂なすを使った代表的な料理である田楽。簡単においしいおかずを作りたいという日におすすめです。

材料(2人分)

賀茂なす…1個
サラダ油…適量
田楽味噌(市販のもの)…適量
ケシの実…適量

作り方

1:賀茂なすのがくを手で外し、花付き(お尻)を少し切ってから、縦に2つに割ります。
2:竹串を4、5本束ねたら穴をあけて、ナスの両面に火が通りやすいようにします。
3:フライパンになすが半分かぶるくらいの油を入れ、皮から揚げます。170〜180度できつね色になるまで揚げましょう。竹串が通ればOKです。
4:揚げたなすに田楽味噌を塗り、ケシの実を振ります。お好みで大葉や山椒などを添えても、おいしくいただけます。

最後に

今回は、「賀茂なす」の特徴や旬、おすすめのレシピについて紹介しました。夏のおいしい野菜として、京都を中心に出回っている賀茂なす。栄養分が豊富で、どんな料理にも合う賀茂なすは、まさに万能野菜といえるのではないでしょうか? 賀茂なすを購入した際には、ぜひ独特の食感と風味を味わってみてください。

監修

かね松老舗 上田欣司(うえだ・きんじ)

明治15年から続く老舗の青果店の代表取締役。京都の錦市場を拠点に関西地域で3店舗の運営管理を行なっている。京野菜を中心に商品販売しており、松茸や筍など季節ごとに旬の食材を多数仕入れている。特に松茸に関しては、京都で最も古くから販売しているお店として、京都の知事老舗賞を受賞した経歴を持つ。

構成・執筆/京都メディアライン

引用・参考/『もっと知りたい京野菜』(上田耕司著、淡交社)

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