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LIFESTYLE 職場の悩み

2018.07.26

今ドキの若者の恋愛事情と”間接感”【原田曜平の「後輩世代のトリセツ」】

 

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー・マーケティングアナリストの原田曜平さんが、若者のインサイトを発掘する必要性について語ります。

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「察してほしい」「匂わせるだけ」…恋愛からひも解く、若者の〝間接自慢〟

恋愛しない若者たち…そんなフレーズやそれを裏付けるデータを見聞きする機会が多い昨今。しかし、数字だけでは見えてこない実態があります。今回は、コミュニケーション抜きには成立しない、この「恋愛」にまつわる4つのトレンドから、若者の傾向を探ってみました。

ひとつめは、恋人同士の「シミラールック」。これは、どこか似ているけどまったくおそろいではないコーディネートのことで、合わせるのは色やアイテム、ブランドなど。「完全ペアルックはイタいと思われるし恥ずかしいけど、さりげなくおしゃれに見えて仲よしアピールができる」のがポイントだそう。男子に聞いても、「男側もチャレンジしやすいし、変にいじると一緒にやっている女の子も傷つけちゃうので批判も少ない」とのこと。

ふたつめは「三光稲荷神社」。愛知の犬山城近くにある縁結びで有名な神社で、ピンクのハート形絵馬がかわいいとインスタで火がつきました。女子からは「縁結び祈願だけだといやらしさがあるけど、そこにインスタ映えを加えることで軽減できる」「彼氏募集中をひそかにアピールしている友達も」との声が。縁結びというものは、アラフォー世代だともう少し渋いところ、たとえば京都の鈴虫寺などにひっそりと行くイメージでしたよね。しかし、このポップな仕掛けが当たり、数年前まで寂れていた城下町が大復活を遂げているのです。

(1)「シミラールック」は、旅行先でトライするカップル多し。オフホワイトのアウターとチノ素材のボトム、白スニーカーを合わせたコーディネート。(2)ピンクのハート絵馬が街おこしにもなった「三光稲荷神社」。(3)「寝落ち電話」に憧れを感じる若者続出。(4)カップル専用アプリ「Couples」で、毎日違う質問に回答。やや強制的にお互いを知ることに。
●取材協力/千葉愛子、牧之段直也、松崎瑞穂

3つめは「寝落ち電話」。恋人同士、LINE電話のスピーカーホンで通話して、相手が無言のときでさえ切らずにつながりっぱなし。やがてイビキまで聞こえてきて、相手のほうも寝てしまう。朝になってどちらかが起きたらスマホから「朝だよ」とささやかれて起きる――それが心地よくてツイッターには「ようやく寝落ち電話できた」という憧れ達成コメントと一緒に、どれだけ長く通話していたかスクリーンショットを撮ってアップする人も。彼らが伝えたいのはいかに自分たちが仲がいいか、気を許し合っているか、ということ。検索してみると、かなりの数の投稿があり、人によっては10時間超えにもなります。

そして最後は、「Couples」というカップルふたりだけでチャットができるアプリ。400万DLと人気が高い理由は、毎日違う質問をされてそれに答えていく機能があるから。たとえば指輪のサイズ、靴のサイズ、今まで言われてうれしかった言葉、将来どんな家に住みたいか、などなど。女子からは「間接的にプレゼントを要求できる」「子供は何人欲しい? とか、結婚も視野に入れた現実味のある質問をしてくれる」「価値観のズレがないか探れる」という声がありますが、人によっては「重い! 怖い!」と感じますよね。とはいえ、マンネリになってくると滞るらしく、つきあい始めのお互いを知りたいときに「直接は聞けないけど、アプリを盾に聞き出そう」と活用するそう。女子としては「このアプリを持てるという優越感と、私リア充なんだと確認できることがうれしい」のだとか。ちなみに男子側は、「記念日を通知してくれるから彼女に怒られなくていい」という女子に忖度した肯定でしたが。

さて、これら4つの恋愛トレンドに共通しているのは、〝間接自慢〞です。「わかる人にはわかって」という婉曲的なアピール。すべてに裏のメッセージがあって、だれかに見られる、知られる前提で行動しているんですね。 そして間接的に伝えたいその相手は、自分の本当の姿をあまり知らない、まだ友達未満の人が主なのだとか。SNSは「自分ってこういう人間なんです…と伝えるポートフォリオのようなもの」で、「わざわざ口に出して説明するほどじゃないんだけど、自分が何を好きか察してほしい」「彼氏ができたとしても匂わせるだけ」「投稿への反応から相手との距離を診断している」「コミュニケーションがラクになる」と男女問わず似たような見解をもっていました。一見すごく傲慢に思えますが、その裏には、自慢はしたいけど叩かれたくはない、コミュニケーションはとりたいけど負荷はかけたくない…という繊細さが見え隠れ。今の若者はストレートに自己表現するより、ちょっとクッションを入れて傷ついたり恥をかいたりしないように、日々知恵を絞っているのです。

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マーケティングアナリスト

原田曜平

1977年生まれ。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。学生や20代の社会人と共に、若者の消費行動について調査・分析を行う。マーケッターの立場から現代を読み解き、テレビ番組『ZIP!』(日本テレビ)、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS)などに出演。

Domani2018年7月号 新Domaniジャーナル「後輩世代のトリセツ」 より
本誌取材時スタッフ:構成/佐藤久美子



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