田口:先生も完璧な人間じゃない、と理解しておくのは大事ですよね。学校は完璧なサービスを提供する場ではないので。逆に、何か不安や不満があるのに我慢をしていると愚痴になるし、踏み込み方を間違えてしまうと、トラブルになることもある。ですから、気になった時に気軽に相談。そして、事前に連絡帳で呼びかけるという作法があるだけで、建設的な会話に結びつくわけですね。
1年生で入学の時点で「教師との付き合い方」のようなオリエンテーションがあればよいのですが(笑)、そういうこともないので、保護者も戸惑いを抱えたまま入学します。先生って、特別なイメージがあるので…。
佐々木:先生も内心ドキドキしている場合もありますよ。なので、もっと敷居低く考えていただければありがたいですね。それに、お母様方の性格や背景が色々であるように、先生の性格も年齢も色々です。
教師経験年数も人により違います。どんな教師にも、新米時代が必ずありまして、未熟な面がある場合もあります。例えば若手の先生に対して「この先生では、ちょっと不安」と思ってしまったり、「なんとなく相性が悪い」と思ってしまうことも、お互い人間なので、あるかもしれません。
若い先生には若い先生なりの良さがあることは知っていただきたいですが、そんな時には、学年主任に対応してもらうという手もあります。先生は、学年というチームで動いているんです。学年の中に、もっと言えば学校の中に、一人でも気の合う先生や話しやすい先生がいらっしゃれば、その先生を巻き込んでもらって構いません。
田口:学年で1つのチームとして動いている職場であるという認識は、あまり持っていない親が多いと思います。でも、学校って、教師同士で常に会議をしたり、情報共有したりして、日々共に協力し合っている組織なんですよね。特に学年団は、ワンチーム。
佐々木:そうなんです。ぜひご不安な時には、担任の先生を通して、「学年主任の先生にも話したいんですけど」と伝えてください。ここで大切なのは、必ず担任の先生を通すことです。担任は自分をすっ飛ばされてしまうと、微妙でして…。まずは担任の先生に相談内容を伝えて、「不安なので、学年主任の先生にも一緒に伝えたいのですが」と言ってもらえればOKです。主任の先生も、管理職(副校長など)も、必要であればきちんと時間を取ります。もし学校を抜かして相談したい場合は、スクールカウンセラーさんにご相談いただく方法もあります。
そして、電話でご相談もいいのですが、やっぱり対面の方が良いです。学校に来てくだされば、場合によっては管理職も呼ぶこともできますし、ゆっくりと時間を取れます。学校の電話は回線が少なく、万が一の緊急事態に備えて長時間話しているわけにいかないんですね。なので、ゆっくり話すにはやはり対面です。お電話では簡潔な連絡のみにしていただけると助かります。
田口:あまり我慢したり、感情を溜めずに、すぐに「連絡帳→リアル対面」で相談いいんですね。
佐々木:小さなことでも伝えていただける方がありがたいです。子供のことから自分のことまで、たくさん相談される保護者もいますが、それも大丈夫ですよ。溜められて、後で大事(おおごと)になるのが一番困るんです(笑)。学級での教師が見えていないトラブルなども、こちらで把握できれば助かりますし、大きなトラブルになる前に未然に防げるものは防ぎたいと思っています。そのことで、子供たちが気持ちよく過ごせるのであれば、それに越したことはありません。
「最近あの子とうまくいってないので席を離してほしい」など、些細な友達関係のトラブルでも教えていただけたら可能な限り対応して、みんなが過ごしやすい学級を作りたいなと思っています。学校では見られないご家庭の中での一面なんかも、教えていただけると、こちらもとても役立ちます。
田口:マメに連絡して“うるさいお母さん”と思われたくない、という感情も働きそうですが(笑)
佐々木:でも、ご心配ならば溜め込むよりはいいですよね!心配している感情は変わらないと思うので。「私、細かいことまで気になっちゃうタイプなんです」って素直に伝えていただけたら、そういう前提で対応できます。逆に全く学校のことは気にならず、教師とも距離をとっておきたいお母様もいらっしゃるので、教師側も保護者に合わせて対応しなければならないのです。ですから、「このお母様はどういうタイプなんだろう?何を考えているのだろう?」と分からないよりは、お母様の人間性が分かることで良い関係を築けることの方が多いです。
田口:そうですよね。人間と人間として、お互いに理解しあって、力強いパイプを作った方が絶対にいいですよね。1年間子供を一緒に見守るパートナーなので、信頼しあえて良いことしかないと思います!