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「如何」は何て読む?
如何には、「いかん」「いかが」「どう」という3通りの読み方があります。「いかん」はことの次第や成り行き、不特定な内容などを表す言葉で、「いかが」は成り行きや結果を危ぶむ様子を表します。「どう」は、相手に何事かあったのかを尋ねるときに使う表現です。
なお、「如何様(いかさま)」や「如何に(いかに)」のように如何を「いか」と読むこともありますが、「如何」の単体では「いか」と読みません。
「如何様」とは「いかにもそのように見える、見せかける」という意味から、「いんちき」や「詐欺」の意味で使われます。「如何に」は、「どのように」「どのような」という意味です。
ここでは、如何の3通りの読み方についてみていきましょう。如何は読み方により意味が変わるため、それぞれの内容を解説します。
■正しい読み方は3通り
如何を「いかん」「いかが」「どう」と読むのは、熟字訓(じゅくじくん)という読み方です。熟字訓とは漢字1字ごとに読むのではなく、 2字の漢字である熟字を訓読することです。
如何の3通りの読み方ごとに、意味や使い方をみてみましょう。
「いかん」
「いかん」は、名詞として「事の成り行きや様子」という意味で使います。「理由の如何によっては」「事の成否はあなたの協力如何にかかわる」といった使い方です。
「如何ともし難い(いかんともしがたい)」という慣用句もあり、「どうにもならない」という意味です。
また、副詞として文末に使い、「あなたの心境は如何」のように、状態などを問いかける使い方もあります。
なお、「いかん」と読む如何には「何如」という漢字表記もあります。「何如」は漢文で使う言葉で、状態や程度を聞くときに使う言葉です。現代語で使うのは如何の方で、何如は使われません。
「いかが」
「いかが」という読みは、状態を尋ねるときに使います。形容動詞として使うときは「成り行きや結果を危ぶむ様子を表す」という意味があり、「その考え方は如何なものか」という使い方をします。
副詞として、状態や意見などを尋ねたり、相手に勧めたりするときにも使います。「御機嫌如何」「この件は如何いたしましょうか」という使い方です。
「どう」
「どう」という読み方は、 物事の状態・方法について不明なものとしてとらえる気持ちを表すものです。「如何すればいいのかわからない」「彼の意見を如何考えるか」といった使い方をします。
また、相手の意向を聞いて、何らかの動作を勧めるときに使います。「もう一杯如何ですか」「このあと、如何しますか?」というような使い方です。
「如何」の例文
ここでは、如何の「いかん」「いかが」「どう」という読み方ごとの例文をご紹介します。同じ読みでもいろいろな使い方があり、どれも日常的に使っている言葉として思い当たるものがあるでしょう。例文をみてどのような文脈で使われるのか例文で確認すれば、理解を深められます。
この機会に、如何についての知識を整理しておきましょう。
如何(いかん)の例文
「いかん」という読みは、「事の成り行きや様子」という意味や、「どうにもできない」という意味で使われます。
〈ことの成り行きや様子を表す〉
・彼は営業成績が目標に届かず、今月末に出るの成果の如何によっては異動が決定するかもしれない
・なぜこのような事態になったのか説明してほしい。理由の如何によっては今後の契約内容の見直しも検討しなければならない
〈どうにもできないという意味〉
・彼は借金返済のために親から多くの援助を受けてきたが、完済に至らなかった。これ以上の援助を求めることは、如何ともし難いだろう
・もう少し早く病状がわかっていたら処置の施しようがあったが、症状がひどくなるまで放置していたために、今後回復できるかどうかは如何ともし難い
如何(いかが)の例文
「いかが」という読みは、成り行きや結果を危ぶむときや、状態・意見などを尋ねるとき、事の成り行きについて疑問をさしはさむ気持ちを表すときに使います。
〈成り行きや結果を危ぶむ様子〉
・経営状態が危ういときに、そのような考え方は如何なものだろうか。もう少し慎重になった方がいい
・目上の人に向かってそのような発言は如何かと思う。すぐに謝罪すべきだと思うよ
〈状態・意見などを尋ねるとき〉
・だいぶご無沙汰していますが、如何お過ごしでしょうか
・お久しぶりです。ご機嫌は如何ですか
〈事の成り行きについて疑問をさしはさむとき〉
・よく考えられた案だとは思うが、我が社の現状を考えると予算がかかりすぎるため、採用するのは如何かと思う
・不祥事が発覚したあとの会社の対応には批判が集まっており、そのような状況の中で新商品を発表するのは如何かと思われる
如何(どう)の例文
「どう」という読み方は、ものの状態や方法などを不特定のものとしてとらえる気持ちを表したり、 相手の意向を聞いて何らかの動作を勧める気持ちを表したりするときに使います。
〈ものの状態や方法などを、不特定のものとしてとらえるとき〉
・さまざまな意見が出る中で、彼のような考え方を皆さんは如何思いますか?
・予想もつかない状態に陥り、彼は如何してよいかわからなくなった
〈何らかの動作を勧める気持ちを表すとき〉
・この件はお茶でも飲みながらゆっくりお話しした方がいいかと思いますが、如何でしょうか?
・帰りにみんなで飲みに行こうと誘われているのですが、如何しますか?
如何の使い方をマスターしよう
如何は「いかん」「いかが」「どう」という、3通りの読み方ができる言葉です。それぞれ意味や使う場面が異なり、同じ読み方でも複数の意味や使い方があります。
「如何ともし難い」など慣用句になっている言葉もあり、そのまま覚えておくとよいでしょう。例文も参考にして、それぞれの読み方と使い方をマスターしてください。
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