「目には目を歯には歯を」の意味とは?
「目には目を歯には歯を(めにはめをはにははを)」は、「受けた害に対して、同じ程度の仕打ちをもって報いる」という意味のことわざです。単に報復をすることを奨励しているのではなく、「目には目」「歯には歯」と、同じ身体の部位を指していることに意味があります。
ここでは、「目には目を歯には歯を」の正しい意味や、言葉の由来について解説します。
■被害と同等の報復を行うこと
「目には目を歯には歯を」は、被害に応じた報復または制裁をするという意味です。あくまでも報復は受けた被害と同等の仕返しにとどめ、それ以上のことをしてはいけないことを表しています。
現代では、単に受けた被害に報復をしなければならないという意味にとらえられがちですが、本来の意味は異なります。報復を奨励するのではなく、過剰な報復を抑えることを示したことわざです。
■言葉の由来
「目には目を歯には歯を」の由来は、諸説があります。代表的なものは、次の2つです。それぞれ、詳しくみてみましょう。
・ハンムラビ法典
ハンムラビ法典とは、紀元前1800年代後半に古バビロニア王国の第6大王ハンムラビが制定したとされている法典で、人類史上最古の法律とされています。
ハンムラビ法典は全282条からなり、民法・商法を中心とした国家の基本となる法律です。その中の刑罰編に「目には目を歯には歯を」という条文があり、ことわざの語源であるとされています。
・旧約聖書
旧約聖書にも、「目には目を歯には歯を」の記述が残されています。記述は「出エジプト記」の21章(法律集)にあり、正確には「目には目、歯には歯、手には手、足には足」と記載されています。
被害と同じだけの報復しか許さないという、刑罰の限度を定めた内容です。
このほか、古代ローマの基本法典である十二表法(じゅうにひょうほう)にも「目に目を歯には歯を」と同じ意味の文言が残されています。
目(め)には目(め)を歯(は)には歯(は)を
受けた害に対して、同等の仕打ちをもって報いること。ハムラビ法典の言葉。旧約聖書の出エジプト記などにも見え、これを戒めたイエスの「山上の垂訓」で有名。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「目には目を歯には歯を」の例文
「目には目を歯には歯を」の使い方について、例文をいくつかみていきましょう。
・「目には目を歯には歯を」というように、刑罰は行ったことに相応のものでなければならない
・被害を受けた彼は「目には目を歯には歯を」だと意気込んでいたが、同じレベルの人間にはなりたくないと考え直した
・子どものときいじめられて帰ってきた自分に、父は「目には目を歯には歯を」でやり返せとアドバイスした
「目には目を歯には歯を」の類義語
「目には目を歯には歯を」には、次のような類義語があります。
同害報復は被害と同じ内容の刑罰をするという意味で、「目には目を歯には歯を」とよく似た言葉です。お礼参りは使う場面が異なりますが、報復するという意味で「目には目を歯には歯を」と似ています。
それぞれの内容をさらに詳しく解説します。
同害報復
同害報復とは、同一の加害によって報復を行う刑罰のことです。「目には目を歯には歯を」と同じような意味で使われます。イスラーム法ではキサースと呼ばれる同害報復刑が設けられており、与えた苦痛と同様の苦痛を受ける刑が実際に適用されています。