(例文)
・あの国の法律は、「目には目を歯には歯を」という言葉で表されるような同害報復の刑を設けている
・同害報復は同じ程度の懲罰にとどめ、倍返しのような過剰な報復を禁じる目的を持つ刑罰である
お礼参り
お礼参りとは、本来は願いが叶ったときに神仏にお礼に参詣するという意味です。さらに、不利益をもたらした相手へ、関係が解消したあとに報復するという意味もあります。特に、刑期を終えて出所した人などが、自分を密告したり、不利になる証言をしたりした人に仕返しをするという意味で使われる言葉です。
お礼参りは後者の意味で使われることが多く、「目には目を歯には歯を」の類義語となります。ただし、お礼参りには「目には目を歯には歯を」のような「相手に同じ害を与える」という意味はなく、単に報復という意味合いで使われます。
(例文)
・無事に第一志望の大学に合格できたので、神社にお礼参りをしようと思う
・彼は自分が罪を犯して処罰されたにも関わらず、証言台に立った人を逆恨みしてお礼参りを考えているらしい
「目には目を歯には歯を」の対義語
「目には目を歯には歯を」には、次のような対義語もあります。
・仇を恩で報ずる (あだをおんでむくずる)
・怨みに報ゆるに徳を以てす (うらみにむくゆるにとくをもってす)
・誰かが右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい(だれかがみぎのほおをうつなら、ひだりのほおをもむけなさい)
「仇を恩で報ずる」
自分が報復すべき相手に、かえって情をかけるという意味です。ひどいことをされてもそれを恨まず、反対に温かい気持ちで接することを指します。
「恨みに報ゆるに徳を以てす」
恨みを持つようなことをされても仕返しをせず、相手を愛する気持ちをもって接するべきという意味です。中国の故事が由来とされています。
「誰かが右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい」
新約聖書にあるイエス・キリストの言葉ですこの言葉の前には「目には目を歯には歯を」を引用しており、イエス・キリストはこの報復そのものを否定しています。報復を同程度にとどめることも不十分で、報復そのものをしないことが神の意思に沿うものであるとしています。
「目には目を歯には歯を」を理解しよう
「目には目を歯には歯を」はただ報復を奨励していることわざではなく、同程度の報復にとどめ、過剰な仕返しを防ぐことを意味しています。同害報復やお礼参りなどの類義語があり、「目には目を歯には歯を」の考えに基づいた刑罰を設けている国もあります。
例文も参考に、「目には目を歯には歯を」の正しい意味を覚えておきましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock
▼あわせて読みたい