「思い立ったが吉日」の意味
「思い立ったが吉日」とは、何かを始めようという気持ちになったら、その日が吉日であると考えて、すぐに行動に移すのがいいという意味のことわざです。
【思(おも)い立(た)ったが吉日(きちじつ)】
何かをしようという気持ちになったら、その日が吉日と思ってすぐに始めるのがよい。思い立つ日が吉日。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
何かを始めようと思い立っても、失敗したらどうしよう、もう少し準備してからにしようなどと、後回しにしてしまうケースは少なくありません。多くの人が「思い立ったが吉日」を座右の銘として挙げているのは、すぐに行動することの重要性を認識していながらも、即座に実行に移せないことが多いからでしょう。
■「思い立ったが吉日」の由来
「思い立ったが吉日」の「吉日」とは、暦の上で「縁起のいい日」、そして何かを始めるのにふさわしい日のことです。暦の上での「吉日」でなかったとしても、思い立った日を「縁起のいい日」である「吉日」と解釈したことから、このことわざが生まれたとされています。
この言葉は戦国時代にはすでに使われていました。16世紀中期の能の演目『唐船』の中に「思い立つ日を吉日」という一節があることからも、古くから親しまれてきた言葉であることがわかります。
■「吉日」の意味と使い方
「思い立ったが吉日」の「吉日」には、「縁起のいい日」「祝い事をやるのに良いとされる日」などの意味があります。一般的な読み方は「きちじつ」ですが、「きちにち」「きつじつ」とも読み、本来の読み方は「きちにち」「きつじつ」でした。
「吉日」はビジネスシーンでは挨拶状などでよく使う語句です。日付の欄に「○月吉日」と書くことがあります。縁起のいい日というニュアンスで使いますが、日付をぼやかしたい場合に使うこともあります。
ただし、正確な日付が必要とされる場合や葬祭などの不幸な出来事に関する連絡をする場合には、「○月吉日」という日付表記を使わないように注意してください。
「思い立ったが吉日」の例文
「思い立ったが吉日」は人気の高いことわざであり、日常生活でもビジネスシーンでもよく使われている言葉です。
【例文】
・温泉巡りの旅に行くことを思い立ったが吉日として、すぐに数軒の温泉宿を予約し、荷物をまとめて出発しました。
・朝起きると天気が良かったので、思い立ったが吉日と考えて、家族全員でピクニックにいきました。
・彼は起業を決意したその日に、思い立ったが吉日で、融資してくれそうな投資家に連絡したそうです。
・私の弟は、思い立ったが吉日とばかりに、将来設計も何もないまま、勢いで彼女にプロポーズして玉砕した大馬鹿者です。
「思い立ったが吉日」の類義語・類似表現4つと対義語1つ
「思い立ったが吉日」にはさまざまな類義語・対義語があります。ここではおもな類義語・類似表現4つと、対義語1つについて、意味、読み方、例文などを解説します。
【類義語・類似表現】1.善は急げ
「善は急げ」の意味は、「良いことはすぐに行え」です。「善は急げ」は「思い立ったが吉日」と似たことわざとして挙げられることの多い語句と言えるでしょう。読み方は「ぜんはいそげ」です。
【例文】
・善は急げだから、今すぐにボランティアとして登録して、被害のあった地区の復興支援活動に参加しよう。
・善は急げという言葉もあることですし、今から禁酒します。
【類義語・類似表現】2.好機逸すべからず
「好機逸すべからず」とは「チャンスが訪れた時には、そのタイミングを逃してはいけない」という意味の表現です。すぐに実行に移すことを推奨している点において、「思い立ったが吉日」と共通するところがあります。読み方は「こうきいっすべからず」です。
【例文】
・ビジネスで成功するためには、好機逸すべからずの考え方を意識し、市場の変化をいち早く察知して対応することが求められます。
・人生や仕事の目標を達成するためには、好機逸すべからずの精神を持って、行動することが大切です。
【類義語・類似表現】3.旨いものは宵に食え
「旨いものは宵に食え」とは、「美味しいものは味が落ちる前に早く食べたほうがいい」から転じて、「良いことはためらうことなく、すぐにやるのがいい」という意味があります。読み方は「うまいものはよいにくえ」です。
【例文】
・旨いものは宵に食えという言葉があるように、会いたいと思った人にはすぐに連絡を取り、会う約束を取り付けるのが私のやり方です。
・我が社が買収や合併に積極的なのは、旨いものは宵に食えの精神で、攻めの経営戦略を展開しているからです。
【類義語・類似表現】4.日々是好日
「日々是好日」とは、一日一日を大切にして生きる心構えのことです。「思い立ったが吉日」と意味は違いますが、時間をむだにしないことなど、通じるところもあると言えるでしょう。読み方は「にちにちこれこうじつ」と「ひびこれこうじつ」のふた通りあります。
【例文】
・会社を退職したあとは、日々是好日の精神で丁寧な暮らしを心がけようと考えています。
・私の上司は、どんなに仕事でトラブルが続いても、日々是好日の信念を持って困難を乗り越えていく強い人です。
【対義語】物には時節
「物には時節」とは、物事を行動に移すには適切な時機があり、そのタイミングを逸してしまうと、成功しないという意味のことわざです。タイミングを見極めるために待つ時間も必要というニュアンスがあるため、「思い立ったが吉日」の対義語と言えるでしょう。読み方は「ものにはじせつ」です。
【例文】
・物には時節というように、そんなにあわてて投資先を決定しないほうがいいだろう。
・君が事業に失敗したのは、物には時節という精神を踏まえていなかったからだと思います。
「思い立ったが吉日」の意味を知って正しい使い方をしよう
「思い立ったが吉日」とは、何かをしようと決めた時が吉日だと考えて、すばやく実行しようという意味のことわざです。座右の銘としてこのことわざを挙げるケースもあり、人気の高い語句と言えるでしょう。
日常生活でもビジネスでもスピード感を求められる場面は多くあるため、使える機会の多い言葉です。「思い立ったが吉日」の意味を理解し、適切な使い方をしてください。
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