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2024.01.16

ビジネスシーンで聞く「試金石」とは? 使い方や類語、英語表現を解説

「試金石(しきんせき)」とは、本来金の鑑定に使用する石のことを指します。現在では、「物の価値や人の能力を計る機会」として、ビジネスシーンでも用いられる言葉となっています。本記事では、「試金石」の意味や使い方、英語表現などを解説します。

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ビジネスシーンで、「この企画は、彼の実力を試す試金石になる」という表現を聞いたことはありませんか? あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、ビジネスの大事な場面で用いられるため、意味をしっかり押さえておきたいですね。そこで本記事では、「試金石」の意味や使い方、類語、言い換え表現を解説します。

試金石とは

「試金石」は、「しきんせき」と読みます。意味を辞書で確認してみましょう。

1 金など貴金属の鑑定に用いられる黒色の硬い石。表面に金をこすりつけ、その条痕(じょうこん)色を標準品のものと比較して純度を判定する。金(かね)付け石。
2 物の価値や人の力量などを計る基準となる物事。「政府の行政能力を問う―」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

試金石とは、金の品質を計るために使われる黒色の鉱石のこと。一般的には、碁石などの材料として用いられる那智黒石という石が使用されます。石の表面に金を擦り付け、その痕を見ることで金の価値を導き出すことができるのです。

このように本来は、金の鑑定に使用する石のことを指しますが、今では物の価値や人の能力を計ることとして、ビジネスシーンでも用いられる言葉となっています。

金の山

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「試金石」は、人の能力を試して評価する機会や物事のことを指します。そのため、ビジネスシーン以外にも、スポーツや受験などさまざまな場面で使うことができますよ。それぞれのシチュエーションに、適した例文を見ていきましょう。

1:このプロジェクトは、彼の腕を試す試金石となるだろう。

ビジネスシーンでは、自分のスキルや実力が試される試練がやってくるもの。これまで担当したことがないビックプロジェクトに携わったり、チームのリーダーを任されることは、ステップアップするタイミングでもあります。プロジェクトを成功させることで、昇進などのチャンスが巡ってくる可能性もあるでしょう。

プレゼンする男性

(c) Adobe Stock

2:今大会は、斎藤選手の実力を見極める試金石なのだ。

大会や選考試合は、スポーツ選手にとってまさに「試金石」。自分のプレイを披露することで、周囲に実力をアピールすることができる絶好の機会です。監督やコーチは、大会を見て、選手のスキルや勝負強さ、メンタルの強さ、コミュニケーション能力などを見て、総合的に判断します。決して手を抜くことができないシビアな環境ですね。

3:高校受験は、息子の学力を計る試金石となる。

受験は、学生にとって自分の学力が試される最大の試練と言えるでしょう。テストのように、明確に数字で点数がつけられるシステムは、実力の有無がはっきりとわかりやすいですね。だからこそ、テストは自分の得意不得意が、客観的に判断しやすい材料となるでしょう。

類語や言い換え表現は?

「試金石」の類語としては、「リトマス試験紙」が挙げられます。また、「真価が問われる」「力量が試される」も、会話の中で使いやすい言い換え表現であるでしょう。意味や使い方をチェックしてみてくださいね。

1:リトマス試験紙

リトマス試験紙は、リトマス溶液を濾紙(ろし)に染み込ませて乾燥したもの。理科の実験で、酸性とアルカリ性を判別するために使ったことがある方も多いでしょう。

溶液に浸すことで簡単に液体のphを判別することができることから転じて、対立する2つの意見や方策などの真偽などを判定する資料となるもののたとえとして用いられるようになりました。ビジネスシーンでは、「この新商品は、我が社の今後を占うリトマス試験紙となる」というように表現することができますね。

(例文)
・今回の政府の政策は、日本の今後を占うリトマス試験紙となる。
・その洋服の売れ行きは、今後のトレンドを占うリトマス試験紙となるだろう。

人と虫眼鏡

(c) Adobe Stock

2:真価が問われる

ものや人が持つ本当の価値や、能力が判断されることを「真価が問われる」と言います。今まで曖昧になっていたけれど、本当に実力や価値があるのか試されるような場面で用いられますね。実力を証明するチャンスが巡ってきた時に、「今こそ、真価が問われる時だ」というように使いましょう。

(例文)
・いよいよ兄の真価が問われる時だ。
・今の時代こそ、〇〇画伯の作品の真価が問われるべきだ。

3:力量が試される

「力量(りきりょう)」とは、物事を成し遂げる力の程度のこと。能力の大きさを試されていることを「力量が試される」と表現します。難関大学の受験や一大プロジェクトなど、突破するのが難しい壁が目の前に立ちはだかっている時に、使われる傾向があるでしょう。

(例文)
・このファイナルステージで、プロとしての力量が試される。
・決勝戦で、アスリートとしての力量が試されることになるだろう。

英語表現

「試金石」を表す英語には、「test」「touchstone」が挙げられます。「試験や試練」としては「test」の方が一般的ではありますが、「試金石」の直訳である「touchstone」を使って例えることもできますよ。早速例文をチェックしていきましょう。

1:test

日本語でも、「テスト」と呼ばれる「test」は、「試験の手段、試練、試金石」という意味があります。学生の学力を計る「テスト」だけではなく、人生にやってくる試練や検査など広範囲で使われます。日本語における「試金石」の意味で使いたい場合は、以下の例文を参考にしてみてください。

(例文)
・This exam will be a test of his academic prowess.(この試験は、彼の学力が試される試金石となるだろう)
・This project will serve as a test of his ability.(この企画は、彼の腕を試す試金石となる)

2:touchstone

「touchstone」は、先述した「試金石」の両方の意味として用いられます。金属の鑑定法として、また人の力量を計る基準となる物事という意味合いで使うことが可能です。日本語と同じように、人の実力を計るたとえとして使ってみてはいかがでしょうか?

(例文)
・This tournament is a touchstone to determine Tanaka’s ability.(今大会は、田中選手の実力を見極める試金石なのだ)
・This policy is a touchstone to the government’s competence.(この方針は、政府の能力を示す試金石である)

最後に

「試金石」は、「金属の鑑定に用いる石」から転じて、「物の価値や能力などを試して評価する機会や物事」として使われるようになりました。ビジネスシーンでは、プロジェクトの開始時や新商品の販売時など、実力が試されるタイミングが来た時に「試金石」が用いられます。自分にとっての試金石となる機会を生かして、チャンスを掴み取れたらいいですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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