「定性的」とは?
「定性的」という言葉の意味を知っていますか? 「定性的」とは、数値や数量で表せないさまを指す言葉。学術分野やビジネスシーンでよく登場します。日常的に使う言葉ではありませんが、目標や評価に関連することですので、意味を把握しておきたいですね。
まずは「定性的」の意味を紹介します。辞書で調べた意味を見ていきましょう。
「定性的」の意味とは
【定性的】
読み方:ていせいてき
1:性質に関するさま。ある物質にその成分が含まれるかどうかを表す場合などに用いる。「—検査」
2:数値・数量で表せないさま。「人事の—評価」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
ビジネスシーンでよく使われるのは、「2」の意味かもしれません。「定性的」は「数値や数字で示せない性質」を指すため、個人の解釈や見解にずれが生じ、意見の食い違いにつながることもあります。そのため、言葉でしっかりと説明することが欠かせません。
ビジネスシーンにおける「定性的」は、人事評価やマーケティングの統計や分析、目標設定などに関連することで使われることが多いでしょう。
「定量的」との違い
「定性的」と読みや漢字表記が似ている言葉に、「定量的」があります。ビジネスシーンでは、「定性的」と「定量的」の違いを把握していることが大切と言えるでしょう。ここからは、「定量性」の意味を一緒に見ていきましょう。
「定量的」の意味
【定量的】
読み方:ていりょうてき
1:数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。「—測定」
2:数値・数量で表せるさま。「—な目標を設定する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
上記の意味から、「定量的」は「定性的」の対義語であることがわかりますね。「定量的」は数値や数量を用いて表すため、より明確にわかりやすく伝えることができます。そのため、全員の捉え方を統一しやすいでしょう。
二つの言葉の違い
「定性的」と「定量的」は、明確に意味が異なります。数値や数量などで表せないことは「定性的」、数値化や可視化ができることは「定量的」を使うといいですね。
「定性的」の使い方
「定性的」という言葉の使い方を見ていきましょう。例文を用いて紹介します。
例文で紹介
《例文》
・長期的な視点で定性的な目標を立ててから、目標を細分化してみてはどうだろう
・仕事に対する姿勢や人との関わり方といった定性的な評価こそ、人事には重要だ
・定性的な分析の対象となるのは、アンケートや口コミです
意欲や人との関わり方、アンケートなどは数値化しにくいことですよね。そのようなことに対して使うのが「定性的」。ビジネスシーンにおいて重要視される事柄です。
「定性的」「定量的」使い分けをチェック!
ここからは、「定性的」と「定量的」の違いについて紹介します。二つの言葉がよく使われるのは、ビジネスシーンだと「目標設定」「データ分析」「人事評価」かもしれません。それぞれのシーンでどのような使い分けをしているか見ていきましょう。
目標設定
目標設定をする際、「定性的目標」と「定量的目標」の両方を立てることがあります。具体的な例を挙げ、違いを見てみましょう。
《定性的目標》
・売上達成のため、チーム内のコミュニケーションを活発化します
・目標達成のため、◯◯について学び、理解を深めます
《定量的目標》
・1か月の目標契約数は10件です
・今期の目標売上は1億円に設定。必ず達成しよう
上記のように、数値化できないことは「定性的」、具体的な数値や数字は「定量的」で表現します。「定性的」は具体性に欠けるかもしれませんが、いずれも重要な意味を持つことばかり。「定量的」な目標は、目指す事柄が具体的なため、モチベーションアップや維持につながるかもしれません。
目標を立てる場合、最初に長期的で「定性的」な目標を立て、その後に細分化した目標を設定するという方法があります。その細分化した目標は、「定量的」であることがほとんど。「定性的」と「定量的」のいずれもが、目標達成に欠かせない要素と言えるでしょう。
データ分析
マーケティングなどで扱うデータも、「定性的」と「定量的」に分かれます。
《定性的データ》
・自由回答形式のアンケート
・口コミの内容
・グループインタビュー
・行動観察調査 など
《定量的データ》
・購買率や購買金額
・購入率やリピート率
・顧客満足度
・認知率 など
「定性的データ」は、内容を掘り下げる分析ができます。また、数値以外の情報からしか得ることのできない傾向などを知ることにも役立つでしょう。「定量的データ」は、説得力があり根拠資料になりやすいですね。また、サンプル数が多いため、全体像を把握しやすいでしょう。
人事評価
人事評価についても紹介します。それぞれの評価の仕方は、次のようになることが多いでしょう。
《定性的評価》
・目標は未達成だったが、常に熱心。顧客対応も迅速かつ丁寧だ
・コミュニケーション力が高く、課内のメンバー全員から信頼されている
《定量的評価》
・新人ながら、3か月連続で顧客獲得件数ベスト5入り
・5年連続で契約件数と訪問数トップを維持している
どちらか一方のみで評価をすると、評価をされる社員は正当性を感じることができないかもしれません。そのため、人事評価は「定性的」「定量的」の両方を組み合わせることが多いでしょう。
「定性的」と似た言葉は
「定性的」の類語を見ていきましょう。該当するのは次の言葉です。
「質的」の意味
【質的】
読み方:しつてき
質(しつ)に関するさま。質の面で。「製品の—向上」「—な変化」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「質」を数値化するのは、難しいことがほとんどです。数値化できないデータのことを「質的データ」と言い、上記で述べたアンケートや口コミなどが該当します。
「質的」の反対語は「量的」。「量的」は「定量化」の類語にあたります。「質的」と「量的」もビジネスシーンでよく登場しますので、意味を把握しておくといいですね。
最後に
「定性的」について紹介しました。日常会話ではあまり使いませんが、ビジネスシーンではよく登場する言葉です。使われることが多いのは、目標設定やデータ分析、人事評価かもしれません。似たイメージのある「定量的」は、「定性的」の対義語。それぞれの意味や違いを把握しておきたいですね。
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