「定石(じょうせき)」とは
「定石(じょうせき)」とは、特定の分野において、確立された基本的な戦略や手法のことを指します。定石は、過去の経験や知識をもとに確立されており、成功をもたらす可能性が高い手法です。信頼性も高く、初心者から上級者まで幅広く活用できることが特徴です。本章では「定石」の意味や例文、対義語について解説します。
「定石」の意味
例えば、囲碁においては、定石は石の配置や進行方向を指し、特定の地点での有利な地形や形の確保を目指します。将棋においても、特定の局面で有効な手順や形を示す場合に使われます。定石は、プレイヤーが初心者から上級者まで幅広く学べる重要な要素であり、戦略の深化や研究の進展に貢献しています。なお「定石」を辞書で調べると、以下のように解説されています。
じょう‐せき〔ヂヤウ‐〕【定石/定跡】
1 (定石)囲碁で、昔から研究されてきて最善とされる、きまった石の打ち方。
2 (定跡)将棋で、昔から研究されてきて最善とされる、きまった指し方。
3 物事をするときの、最上とされる方法・手順。「―を踏んだ捜査手順」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「定石」の対義語
「定石」の対義語は「奇手(きしゅ)」です。「奇手」は、将棋や囲碁などのゲームで頻繁に使われる用語です。一般的には、通常とは異なる、予期しない手を指します。相手の予測を超える動きであるため、相手の戦略を狂わせ、有利な局面を作り出せるでしょう。
その他のゲームでも同様の概念が存在しており、予測不能な手を指すことが勝利につながる場合があります。
「定石」の類語は?
「定石」の代わりに用いる言葉は、複数あります。なかでも一般的な表現は「定法」と「王道」です。いずれも、ある分野や行動において、確立された方法・原則を指す言葉です。その分野や行動のなかで、普遍的な指針として用いられます。
定法は、ある問題や状況に対処するための標準的な手法や手順です。王道は、その分野や行動において、もっとも優れた方法・道筋を示します。
定法(じょうほう)
「定法(じょうほう)」とは、法律や規則、慣習などに基づいて確立された、方法または手続きのことです。主に法律や制度、社会的なルールなど公に決まっている規則に対して使われる熟語です。通常は、公的な権威によって定められたものです。公に決まっていることを強調している点が、定石とは異なるポイントです。
じょう‐ほう〔ヂヤウハフ〕【定法】
こういう場合にはこうするものと、決まっているやり方。また、公に決まっている規則。「事を定法どおりに進める」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
王道(おうどう)
「王道(おうどう)」とは、ある分野や事柄において、優れた方法やもっとも一般的な方法を指します。この言葉は何かをおこなう際に、一般的に受け入れられている方法を指して使われます。それだけでなく、正しい方針あるいは標準的なやり方を指す場合もあります。また「王道」は、儒教において理想とされている道のことです。君主が仁義に基づいて、国を治める「政道」という意味をもちます。王道の対義語である「覇道」は、武力や権力を使って国を支配する行為を指す言葉です。
おう‐どう〔ワウダウ〕【王道】
1 儒教で理想とした、有徳の君主が仁義に基づいて国を治める政道。⇔覇道はどう。
2 《royal roadの訳語》安易な方法。近道。「学問に王道なし」
3 物事が進むべき正当な道。「ミステリーの王道を歩む作品」
[補説]書名別項。→王道
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「定石」に使われる漢字の意味
「定石」という言葉は、囲碁や将棋などの戦術や戦略を指す際に使われます。その根底には、各漢字がもつ意味があります。「定」に関しては、確固たる位置や規則を意味し、一方で「石」は戦略の要素や配置を表します。つまり「定石」は、碁盤や将棋盤上での確立された戦略や手順を指す言葉なのです。それぞれの漢字における詳細は、本章を参考にしてください。