キュレーションの意味や使い方
キュレーションという言葉の基本的な意味や使い方を解説します。使い方のイメージを掴みやすいよう、分野ごとの例文も併せて紹介します。
特定の情報を集めるなどの意味を持つ
キュレーション(curation)とは、特定のテーマや狙いに基づいて情報を収集、必要なものを選別し整理するという意味です。由来は美術館・博物館などで働くキュレーターだといわれています。
キュレーターは、展覧会などの企画・構成・運営を担当するプロデューサーのような専門職です。展示テーマに沿った独自の視点で、展示作品や情報を組み合わせて配置し、新しい価値を生み出します。
また、現在キュレーションは、人事用語やIT用語としても使われるようになりました。キュレーションサイトとして知られる情報がまとまったサイトは、ネット上で情報を収集する人には定番ともいえるかもしれません。
キュレーション(curation)
1 美術館・博物館などの展示企画。
2 情報などを特定のテーマに沿って集めること。
引用:小学館 デジタル大辞泉
人事業務における使い方
人事用語として「キュレーション」をよく使うのは、おもに人材採用・従業員のキャリア支援・従業員研修などの分野です。たとえば、次のような文脈が挙げられます。
・人材採用モデルを決定するには、幅広い情報をまとめるキュレーションスキルが欠かせない
・研修プログラムをキュレーションして、従業員それぞれに合ったキャリア支援をする
キュレーションは、目的に合った情報を集め、選別してまとめ直すスキルとして大切です。人事業務に関わる情報は、今後の業界動向予測・企業の方針や社風、従業員の資質・労働法など、広範囲にわたります。
IT業界における使われ方
IT用語としてのキュレーションは「キュレーションサイト」として使われることがほとんどです。キュレーションメディア・キュレーションサービス・まとめサイトとも呼ばれます。
・このキュレーションサイトは、旅行情報が詳しくておすすめだよ
・最近お気に入りのキュレーションサイトは、トレンドファッションの見せ方がうまい
キュレーションサイトでは、ネット上の情報を特定の視点で集めて分類し、重要な情報やトレンドを分かりやすくまとめています。欲しい情報へとすぐにたどり着けるように、タグ付けするなどの編集が施されたサイトのことを指すのが一般的です。
キュレーションサイトが持つメリット
キュレーションサイトを上手に活用すれば、欲しい情報を簡単に手に入れられたり、トレンドのチェックをしたりするのにも役立つでしょう。キュレーションサイトを活用するメリットを2つ挙げて紹介します。
必要な情報をスピーディに選択できる
前述したようにキュレーションサイトは、特定のターゲット向けに情報を整理・要約したサイトです。自分の興味・方向性に合ったサイトを利用すれば、一からネット検索するよりも、欲しい情報に早くたどり着けることもあるでしょう。
タグ・カテゴリーによる検索機能や、分かりやすくアピールされた重要情報によって、効率的な情報収集が可能です。サイトの利用履歴や性別・年齢などから、それぞれの読者に合わせたおすすめ情報を自動で提示してくれるケースもあります。
仕事やプライベートのどちらであっても情報検索する時間を節約できるので、クリエイティブなことや、やりたいことに時間を使えるようになるのがメリットといえます。
最新情報が入手しやすい
キュレーションサイトには、情報更新が早く、新しい情報を積極的に発信しているサービスが多いのも特徴の一つです。
膨大なネット情報には、古くなってしまった情報も含まれていますが、自分で新しい情報を収集するのは手間がかかるもの。キュレーションサイトを活用すれば、最新情報やトレンドが簡単に手に入りやすくなります。
目安として、検索上位のサイトは情報が新しい傾向に。しかし、更新頻度や発信量はサイトによって異なるので、いくつかお気に入りのサイトを見つけておく方が賢明といえるでしょう。
キュレーションサイトにありがちなリスク
キュレーションサイトを利用するなら、メリットだけでなく、ある程度のリスクを承知しておくことも大切です。キュレーションサイトから信頼できる情報を見つける工夫も併せて紹介します。
信頼性の低い情報が混じっている場合も
キュレーションサイトは情報の新鮮さを重視する傾向にあり、他者が発信したネット情報を基にした記事が多いのが実情とも。そのため、情報の裏付けが不十分な場合も否定できません。
また、特定の読者に向けて情報を選んでいるので、情報が偏りやすいともいう考え方もあります。特にお金・法律・健康など、重要な選択に関わる情報には注意が必要です。
誤った情報に惑わされないためには、運営元の信頼性の確認や、複数のお気に入りサイトの情報を比較する習慣が大切といえるでしょう。
著作権などの権利を侵害した記事もある
キュレーションサイトの中には、著作権法のルールを守らずに、画像や文章を無断転載しているものもあります。
サイトの健全性を知るポイントの一つは、外部からの情報を引用・転載している場合、引用・転載元の記載がはっきりしているかどうかです。あくまで目安ですが、引用・転載元の記載がはっきりしていれば、情報元を調べられるので正確性を判断しやすくなります。キュレーションサイトによっては、権利を侵害している記事・情報を利用している場合も。
自分がキュレーションサイトから仕入れた情報をSNSや友人にシェアするときも、知らないうちに他人の権利を侵害してしまわないよう、十分に気を付ける必要があります。
キュレーションサイトの種類
キュレーションサイトの運用スタイルは、主に3種類に分けられます。それぞれのキュレーション方法の違いや、サイト選びの参考になるメリット・デメリットについて見ていきます。
アルゴリズムを使った自動集約型
自動集約型はニュースサイトに多く見られます。特定のアルゴリズムを持ったプログラムが、自動的に情報収集するキュレーションサイトです。
アルゴリズムとは、数学・プログラム分野などで、特定の問題を解く手順を定式化したものを指します。
アルゴリズムの特色で集められる情報が変わり、おもにユーザーの興味や傾向が強く反映されやすいタイプと、運営の定めた一定のクオリティを重視するタイプに分けられます。
一般読者の視点が分かる投稿型
キュレーションサイトの中には、一般ユーザーの投稿によってコンテンツが作られているタイプもあります。
個人の好みなどが情報に反映されやすくなるため、自分と似た趣味の投稿者を見つければ楽しめるかもしれません。中には、クオリティの高いコンテンツを作る人も存在します。
ただし基本的に、記事制作についてあまり専門知識のない投稿者が多い傾向にあるため、情報の正確さや品質が不安定なことがデメリットといえます。もしも投稿型のキュレーションサイトを利用する場合は、無断転載やフェイクニュースの危険性も承知しておきたいところです。
専門的な特化サイトに多い人力型
人力型は、特定のテーマに従って、人間の視点でネットから有用な情報を集めたキュレーションサイトのことです。
ジャンルを絞った専門サイトに多く見られ、コンテンツ制作者のキュレータースキルや主観に影響されやすいといえます。自動集約型に比べて、人間ならではの独自の視点や情報構成が、読者の心を掴みやすい点は持ち味です。
コンピューターのプログラムを使ってある程度情報を収集し、集まった情報を人間が分別する、自動集約と人力を掛け合わせたタイプもあります。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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