リテラシーとは〝特定分野における知識〟のこと
リテラシーとは、特定の分野に対する知識を指す言葉です。たとえば「インターネットリテラシー」といえば、インターネットに対する知識があること、正しい知識を持ったうえでインターネットを扱っていることなどを意味します。
なお、もともとリテラシーという言葉は、読み書きの能力を指します。読み書きができることは、その内容について理解できる・理解したことでもあるため、知識や応用力、ひいては使いこなす能力を指すようになりました。
■モラルとの違い
モラルとは、道徳や倫理を指す言葉です。「モラルがある」といえば、一般的な倫理観を持っていることを指し、反対に「モラルがない」といえば、倫理観がないことや一般的な道徳観を持っていないことを指します。
たとえば、外見や能力などをからかう言葉を大衆の面前でいうことは、「モラルがない」と判断されがちな行動です。ただし、モラルは憲法や法律のように明文化されているものではないため、人によって異なることも少なくありません。
一方、リテラシーは知識を指す言葉です。道徳観や倫理観とは関係なく、対象について知識があるかどうか、詳しく知っているかどうかを問います。
・[モラル]:道徳や倫理
・[リテラシー]:情報や知識
■コンピテンシーとの違い
コンピテンシーとは、経験により習得した行動やコミュニケーション能力を指す言葉です。たとえば、自分自身の経験から「良好な関係を築くには、適度にコミュニケーションを取る必要がある」と判断し、こまめに連絡を取りあうことなどを指します。
一方、リテラシーは経験から得た知識ではなく、情報や勉強をとおして得た知識を指すことが一般的です。
たとえば、パソコンの動きが鈍ってきたときは、不要なキャッシュなどを削除して空き容量を増やすなど、正しい情報に基づいて行動するなら「ITリテラシー」「インターネットリテラシー」があると判断できます。
・[コンピテンシー]:経験による知識
・[リテラシー]:情報による知識
リテラシーの使い方を例文でご紹介
リテラシーという言葉は本来は英語ですが、もともとの意味である「読み書きの能力」として使われることはあまりありません。日常会話にも使われることが多い言葉のため、リテラシーというカタカナ語(日本語)としての意味を、正確に把握しておくことが大切です。
よくあるリテラシーの使い方を例文をとおして見ていきましょう。
■リテラシーがない・低い
「リテラシーがある」「リテラシーがない」といった使い方は、しばしば見られます。
・彼はパソコンにトラブルが生じても、すぐに適切に対応する。インターネットリテラシーがあるのだろう。
・彼女が仕事においてトラブルを起こさないのは、ビジネスリテラシーがあるからだ。
・義母が子どもの写真をそのままブログに掲載した。リテラシーがないにも程がある。
・彼のスマホの扱い方を見ていると、インターネットリテラシーがないことがよくわかる。
リテラシーがないことを「リテラシーが低い」と表現することもあります。
・このグループは、インターネットに対するリテラシーが低いため、紙の資料を配布した。
・父親はITリテラシーが低いのか、スマホを触っては「これはどうするのだ?」と大騒ぎする。
■リテラシーを高める
リテラシーが低い状態を放置しておくのは、よいことではありません。正しい知識を採り入れ、リテラシーを高める必要があります。そのため、特定の知識についての教育を実施するときなどに、「リテラシーを高める」という表現を用いることが多いです。
・社員のインターネットリテラシーを高めるために、講師を呼んで研修会を開催した。
・子どもたちのITリテラシーを高める目的で、わかりやすいパンフレットを作成した。
知っておきたいリテラシー
リテラシーは、そのままで使うのではなく「〇〇リテラシー」と複合語にして使うことが多いです。
たとえば、パソコンに対する知識であれば「パソコンリテラシー」、インターネットなら「インターネットリテラシー」のように、「〇〇に対する知識」の意味で「〇〇リテラシー」と表現します。
日常会話やビジネスでよく用いられる「〇〇リテラシー」としては、ITリテラシー、ビジネスリテラシー、情報リテラシーなどがあります。
それぞれの意味を見ていきましょう。
・ITリテラシー
ITリテラシーとは、インターネット上の情報を正しく活用する能力のことを指します。後述する「情報リテラシー」と似ていますが、ITリテラシーはインターネットから取得する情報に限られるため、より狭義の言葉です。
たとえば、わからない言葉があるときに、インターネットの検索機能を使って正しい意味を調べることは「ITリテラシーがある」行為と考えられます。
ただ検索するだけでなく、情報源が信用できるものか調べ、信頼性が高いもののみを選ぶなら、「ITリテラシーが高い」と評価できるでしょう。
類似する言葉としては、「コンピュータリテラシー」や「インターネットリテラシー」が挙げられます。コンピュータリテラシーはコンピュータ関連の知識、インターネットリテラシーはインターネット関連の知識に限られるため、ITリテラシーよりは狭義の言葉です。
・ビジネスリテラシー
ビジネスリテラシーとは、ビジネスで必要な知識・能力のことを指します。働くうえで誰もが必要とする知識・能力を指すため、「社会人の基礎力」とも言い換えられるでしょう。
たとえば、論理的な思考力やコミュニケーション能力、課題を適切に解決に導く能力は、いずれもビジネスリテラシーです。ビジネスで評価されるためにも、ビジネスリテラシーを高めていきましょう。
・情報リテラシー
情報リテラシーとは、信頼できる情報を取得する能力のことです。
インターネット上だけでなく、新聞や雑誌、会話のなかにもフェイク情報はあふれています。これらの膨大な情報から、適切に取捨選択できる情報リテラシーを身につけていきましょう。
生活やビジネスでリテラシーを高めよう
リテラシーは、生活やビジネスにおいて不可欠な要素です。状況において正しい判断をし、適切に評価されるためにも、リテラシーを高めていきましょう。
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