ピンチ! 帰省予定と重要ミーティングが重なった!
中丸亜珠香さん
Asuka Nakamaru/日本航空 商品・サービス企画本部。2004年入社。
2児(10歳と8歳)の母。計5年の産休・育休を取得。お客さまサポート室、人財戦略部などを経て、2018年6月から現在の部署に。JALグループのサービス品質向上のための企画を担当。
テレワークの派生版としてスタート
JALがワーケーション制度を導入した2017年、1週間の夏休みの中で、1日のワーケーションを実践しました。JALでは2014年から在宅勤務制度をトライアルとしてスタート。その後、2016年よりテレワーク制度を導入していたため、自宅や外出先で仕事をすることに慣れ、社内でも浸透してきたところ。ワーケーションはその派生版として始まりました。
我が家では2017年の夏休みも、家族そろって夫の実家に里帰りする計画を立て、航空券も早めに手配していました。夫の実家は広島の観光地・宮島で土産物店を営んでいます。風向明媚な場所ですので、毎年私も帰省が楽しみで、子どもたちと遊びの予定を立て、ワクワクしながら準備をしていましたら、休みの直前に、私の部署で重要なミーティングの予定が入ってしまいました。参加者も多く、日程をずらすのも難しい。今まででしたら、休みを短くして早めに切り上げたり、夫と子どもだけで帰省したり、となるところですが…。ここでワーケーションを活用しない手はない! ミーティングならばテレビ会議で帰省先からも参加できる! そう考え、上長に制度の利用希望を伝えました。
1週間の夏休みのうち、テレビ会議がある日はちょうど真ん中の日。その日をワーケーションの取得日とし、9時から18時までの1日を勤務日とすることを決め家族にもあらかじめ、「この日は1日仕事します!」と宣言しておき、夏休みを迎えました。
夏休みの真ん中1日を仕事日にしてみたら…
宮島での土産物店の手伝い、宮島観光、海岸での水遊び…。東京では体験できないこんな休日は、私にとっても家族にとっても、楽しいものでした。そして予定どおり、休みの真ん中の勤務日。朝、島の外に遊びに行く家族を見送って、私は仕事を行いました。仕事はその土産物店の2階でしました。観光地にありながらその部屋は静かで、仕事に集中するにはもってこい。
朝からメールチェックをして、メンバーからの報告を受けたり、ミーティング資料を準備したり。昼食は家で義母とすませました。そして、会議は午後1時から約1時間半。WEB会議システムを利用しました。私以外のメンバーは、本社の会議室に集まり、私の姿を大きなプロジェクターで見ながらのミーティングです。私からはメンバー全員をパソコンのモニターで見ることができ、いつものように話ができましたので、距離が離れている不自由さはありませんでした。ときどき、私の後ろで飼っている犬が鳴いていました(笑)。
4日ぶりにメンバーの顔を見ることができて私も安心し、WEB会議終了後は、その日は引き続き、メンバーとメールのやり取りや、翌週からの仕事に備えての資料づくりなどを行いました。そして夜には家族と合流して、お互いその日の出来事を話しながらの楽しい夕食となりました。
ワーケーションのよさを大きく実感したのは、その翌日からです。これまで長い休みを取るときは、どこか休み中も残してきた仕事が頭から離れないということが、よくありました。休みに入る前もバタバタで、無理が重なることもあります。でも休みの真ん中で1日集中して仕事をしたら、残っていたタスクリストが片付いて、休みの後半を心置きなく遊びに集中することができたのです。仕事がうまく頭から離れて、今まで味わったことのないすっきりした気分でした。
テレワークで子どもに働く母の背中を見せられたかな
ワーケーションは、1日単位のほか、半日単位でも利用できるのですが、私の場合は半日だとどうしても中途半端になってしまいやすく、1日しっかり仕事をするのが合っているようです。ワーケーション以外でも、スケジュールが合えば、週に1~2日をテレワークの日にして、自宅や外出先で仕事をすることもあります。スマートフォンは会社貸与のものを、外出先ではデザリング(スマートフォンを経由してネットに接続)機能を使うのがルールです。パソコンは自分のものでも良いのですが、会社の共有フォルダにアクセスするときは、VDIといわれる仮想デスクトップを利用して、会社のパソコンと同様の作業環境を整えます。これは、帰省先でのワーケーションでも活用しました。
一方、テレワークやワーケーションを活用するには、社内のコミュニケーションも大事。どれくらいの時間でどんな仕事をするかのタスク出しを事前に行い、その日の予定を事前に上長に伝えます。そして終わった後には成果の報告をします。また、なかには、社外からはアクセスできないシステムなどもありますので、テレワークでできない業務は、会社にいるメンバーに代わってもらうなど、工夫をしています。もちろん、私以外のメンバーがテレワークやワーケーションをするときは、私が社内での業務を代わることもあります。会社でやるべきこととテレワークでできることに仕事を分け、それぞれのスケジュールに合わせ、お互いがカバーし合うことが大事です。それを自然にできているのが、いまの職場です。
この夏も、私は家で仕事をしている時間が毎週のようにありました。「今日、お母さんはおうちでテレワークするよ」と言うと、子どもたちは学童から帰ってきても「仕事が終わるまで、宿題をして待ってる」「友達のうちに遊びに行ってくる」と、自主的に予定を立てたり、親子のコミュニケーションが生まれました。そしてもうひとつ。私が真剣な顔で仕事に向かっている姿は、子どもから見たら珍しいようです。これで、ちょっとは働く母親の背中を見せることができたかな、と思っています。
私のワーケーション論
●あらかじめ仕事の時間を決めて、集中する!
●仕事は1日にまとめて片付ける。
●上司には予定と結果を伝え、仲間とは仕事の助け合いを。
南 ゆかり
フリーエディター・ライター。10/3発売・後藤真希エッセイ『今の私は』も担当したので、よろしければそちらも読んでくださいね。Cancam.jpでは「インタビュー連載/ゆとり以上バリキャリ未満の女たち」、Oggi誌面では「お金に困らない女になる!」「この人に今、これが聞きたい!」など連載中。