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2019.02.18

『実はすごく心配性なんです。でも“自分に制限をかけずに行動する勇気”をもつことで、仕事が着実に好転しています』女・妻・母〜働く女性の心のドラマ〜【松永 佐和子さん・後編】

人生は常に分岐点の連続。たとえばなにかひとつ扉を開けたとしても、そこは決してゴールではなく、また新たなフェーズでの山あり谷ありが待っているもの。本誌連載に登場した働く女性たちの“その後の人生の物語”に迫ります。

Text:
谷畑まゆみ
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「その後の女妻母たち」への追跡インタビュー。【妻】松永 佐和子さん(33歳)の後編をお届けします。

前編はこちらから

休息期間を経て、フリーランスという新たなキャリアへの挑戦

会社を辞めて充電期間をもったことで、激務に疲弊した心身に力を取り戻した松永さん。これまでのスキルやノウハウを活かして、現在はキャリア関連の業務のほかに、PRやブランドコンサルティングの仕事も兼業。組織に属さないパラレルワーカーとして、自分らしいキャリアを展開しています。

セミナーを開いてSNSで発信。フリーランスは“動く”ことが命

――今は会社員であっても、副業や複業に関心が集まる時代です。松永さんが現在の働き方にいきついたプロセスについて教えてください。

仕事再開のきっかけは、前の会社の役員の方から仕事を紹介していただいたことでした。辞めたあとも何かしらの形で恩返しをしたいと考えていたので、ふたつ返事でお引き受けしました。採用が急務なスタートアップ企業でしたが、週2日、1日5時間勤務+リモートワークという形で契約。組織にしばられない働き方をしてみようと考えたのは、これがきっかけでしたね。

そこでは採用代行として人材紹介会社にコンタクトをとったり、社内の採用フローを作成しました。求人サイトに広告を出し、面接官も担当するなど、依頼されれば自分にできることは何でも対応し、今もそのお仕事は継続しています。

また同時期に、知人の紹介でスーパーフードを扱う会社のPRやブランディング、営業、事業企画、商品開発の業務委託を頼まれて、こちらも月に2〜3回出社という形で契約しました。もうひとつ、やはりご紹介で『きぬさら』というライスワインの会社のブランドコンサルティングも現在の担当案件です。

そして、今いちばん力を入れているのが、1年前から始めた女性の人生を応援する仕事です。“ウーマンライフプロデューサー”という肩書きで、働く女性向けのセミナーやイベントを開催しています。受講者は、転職や、社内で異動希望を出そうかどうか迷っている“仕事人生の節目”にある20代後半の働く女性が中心層。みなさんの中に“かつての悩める私”の姿をみています。

――どの仕事も、それまでの仕事の縁や交友関係から展開したのですね。採用やPRは経験やスキルを活かした得意分野だと思いますが、新しく展開するセミナー業については、不安はありませんでしたか?

採用やPRはこれまでの経験や培ったスキルを活かすという意味では“ライスワーク”に近いです。一方、働く女性を支援する仕事は人生の中でいつか実現したかったこと、いわゆる“ライフワーク”で、ゼロからのスタートだったために当然最初は不安がありました。

実は私、すごい心配性なんですよ。最初はセミナーの軸となるコンテンツができるかどうか、集客や当日の運営は大丈夫なのか、いちいちどきどきする“のみの心臓状態”で(笑)。Facebookやブログ、インスタグラムなどSNSでの告知も“怖がらない練習”に近いんですよね。ポジティブな未来に向かって猪突猛進したい自分と、慎重な自分。両方が本当の私なんだとわかってからは、呼び込んだものに対して“自分で自分にブレーキをかけずに、ポジティブな未来を想像しながら動く勇気”をもつように心がけてきました。

すると不思議なもので、徐々にですが結果もついてきたんですよ。セミナーを開いてはSNS発信を重ねる中で、知人から『SHElikes』という女性のためのレッスンクラブにつないでいただいたんです。依頼されて、今はそこでも定期的にセミナーを行うようになりました。

――踏み出す勇気、自分を信じる勇気が、よい結果に影響したんですね。収入面については何か変化がありましたか。

収入面については、私の場合、逆にライスワークとライフワークの2本立てであることが心理的なメリットになっていると考えています。採用コンサルのお仕事できちっといただけているぶん、ライフワークのほうはすぐにマネタイズしなくてもいいと、焦らずに取り組むことができているんです。会社員時代の貯蓄や夫とのダブルインカムであることも、心の安定感を得られる材料ですね。

でもふと気づいたら、今現在は、お金ってそんなにたくさんはいらないなとも思えてきたんです。フリーランスになると人付き合いは増えますが、毎日違う人と会っているので極端な話、ファッションに関してはいい塩梅に“ずぼら”でもOKなんです(笑)。人材紹介会社に営業をかけてたくさん仕事をとることもできるんでしょうけれども、それがやりたくてやっているわけじゃない。生きていけるだけのお金を稼ぎながら、自分のやりたいことへの一歩を踏み出していくことのほうを、今は大切にしていきたいですね。

ーー堅実でありつつ、未来を見据えているポジティブなスタンスですね。最後に、今後の展望を教えてください。

私たちの世代は、かつての私のようにとりまく環境や体調が変化する中で、自分の進む道に迷いを感じている女性がたくさんいます。これまでは自分の成長や年収などを重視してきたけれど、“もうそれは違うんじゃない?”と気づき始めている気がするんですよ。

たとえば転職するときの視点が“自分がどんなスキルを得られる会社か、どのくらい待遇が良くなるのか”という観点から、“仕事を通して自分は何を実現できて、社会に何を貢献できるのか”という、人生の目標を含めた“ライフ軸”に変わってきているんです。

なのにそれでもまだ“今の私の考え方、これで大丈夫なのかな?”と迷いを感じる女性が少なくなくて…。そんな女性たちに“もっと自分に正直でいいんじゃない。頑張ってきた人は一度休みなよ”と言ってあげたい。セミナーを通じて“自分にかけたストッパーを外すきっかけ”を、少しでも伝えることができたらと願っています。

「希望をもって未来を想像することってすごく大切です。これからも自分の想像を越えるようなチャレンジをしていきたいですね」と松永さん。

インタビュー撮影号:2016年Domani4月号「働くいい女」
撮影時スタッフ:撮影/真板由起(NOSTY)ヘア&メーク/菊地かずみ(P-cott)

谷畑まゆみ

フリーエディター・ライター。『Domani』連載「女の時間割。」、日本財団パラリンピックサポートセンターWEBマガジン連載「パラアスリートを支える女性たち」等、働く女性のライフストーリー・インタビュー企画を担当しています。

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