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LIFESTYLE 夫婦

2019.04.21

再婚は結局失敗だったのか!? 仮面夫婦を貫くステップファミリー~和美さんの場合vol.3

連れ子と今の夫との間の子ども、4人を育てる和美さんのステップファミリーの実態とは。ー人生とは喪失と再生の繰り返しのドラマ。「バツイチ」という離婚経験者たちは、ある意味、喪失を乗り越えてなお強く生きるサバイバー!幸せになることをあきらめない、和美さんが経験した離婚・再婚のお話、完結編。

「離婚したのは失敗だったのかな・・・」

前回のお話▶︎「再婚相手のモラハラと連れ子イジメ」あるステップファミリーの実態

連れ子ふたりを伴っての再婚、そして新たに子供ふたりを授かり、ステップファミリーを築いた和美さん。だけど再婚相手のBさんはモラハラ気味な上に連れ子にも冷たく当たり、「前の離婚は失敗だったかな」と思うことも。

―って。実はこの連載始まって以来なんですよ、離婚を後悔する発言を口にされた方が。

いや、それは誰でも、よっぽど酷いDVやモラハラを受けていたんじゃなかった限り、離婚後うまく行かないことがあったりすると、「アレ? もしかして離婚しない方が良かった?」なんて思うときがたぶん1、2度はあると思うのです。―だけど和美さんはなぜ、「離婚しなくても良かったかな」なんて思うの??

和美さん(以下、か):前の夫は、子煩悩で家事もマメにやってくれていたし、当時働いていた私の代わりに子どもの保育園のお迎えは夫の役目。仕事仲間と飲んで夜中に帰っても何も言わない優しい人だったな。会社が倒産してからはちっちゃい家に引っ越したけど、貧乏なりに楽しくて、夫婦ふたりでがんばってる感があったんです。ほんと、あとは彼が仕事さえしてくれれば良かったんですけどね〜。

焦って結婚するとロクなことはない!

和美さん的反省点としては、「最初の結婚は若い勢いで一緒になって、勢いで離婚して。だけど今の方がよっぽど我慢してる。やっぱり焦って再婚を決めたのが良くなかったんですかねえ」。

たしかに、前の婚姻中から関係を持ったW不倫相手の上司と、離婚して半年で入籍、って、生き急いでる感はありますよね…。

離婚してからシングル歴6年目に突入した私としては、別れて間を空けずにすぐに再婚できるって、ちょっとうらやましくもあるんだけど、結婚ってすることが大事なんじゃなくて、そのあと続けていくことに意味があるし、それがとっても大変。―和美さんのお話を伺っていると、そんな基本的なことを改めて思わせられました。

これは初婚も再婚も同じ。大事なことだから自戒を込めて2回言います。

焦って結婚すると、ロクなことはない!

焦って結婚しても、ロクなことはないんだぞぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!

さて、モラハラで支配的な横暴夫ではありますが、和美さんは結構上手く操縦してるみたい。

そのコツは、「議論はせずに話を逸らして乗り切る」こと。

か:今も「埼玉に住む義理の父親の近くへ引っ越そう」と言われてるんですが、「今はちょっと…」と言って逃げてます。あと、彼に黙って進められることは勝手に進めちゃう。子どもの進路とかも、表面上だけ「はいはい」って合わせておいて、子どもと相談して進めています。今日だって表面上は家にいることになってますし(笑)。

仮面夫婦の夫との結婚生活

―ということは、和美さんは再婚してめっちゃ仮面夫婦ってことですよね。

仮面夫婦ってよく聞くけれど、一体どんな感じなんでしょうか。

か:家では夫婦の会話はほとんどないです。彼が自分の部屋にいることが多いんですけど、リビングから夫がいなくなるとみんなほっとして、ようやく楽しい時間が始まる感じ。だけど子どもには、健全な家族観の形成のためになるべく仲がいいところを見せた方がいいとカウンセラーに言われたので、子どもの前では普通に会話するように努力はしています。

ただ、嫌なのは、ふたりでいるときより、子どもたちと一緒にいるときの方なんだとか。

か:つい先日も、私が池袋に出かけようとしたら「みんなで行こう」って言い出して。だけど小学5年生の息子は夫を嫌っているし、夫が子供たちに命令口調で接するのを見るのが本当にストレスだし苦痛なんです。だから「たまにはふたりで出かけようよ〜♡」って子どもたちを置いて出かけました。ふたりでいる方がまだ気を使わずに楽しめるし、お金も出してくれるし…。

な〜る〜ほ〜ど〜! 仮面夫婦って、好きでもない上司の接待みたいな感じなんですね、きっと。めんどくさいけど会社(=家庭)での居心地と自分の待遇を良くするためにいい顔しとくか、的な。ということは、それができる人はある意味(もちろんお子さんのためとか、いろんな事情があるでしょうが)、大人で我慢強い人、っていうことなのだな。

か:だけどね、小学2年生の娘には夫も甘くて。彼女のいうことだと割りと言うことを聞くんですよね。だから娘はパパ大好きなんです。お兄ちゃんお姉ちゃんたちのことも好きだから、「みんな仲良くして欲しい」って。

Bさん、家族の嫌われ者かと思ってたら、娘さんが懐いているのですね。そうするとたしかに、愛情がなくても離婚はしづらそう。

か:先のことを考えるのは苦手なんです。とりあえずバツ2になるのは嫌だし、今のところ離婚は考えてません。

さかい(以下、さ):でも和美さん、そんなにかわいかったら絶対に彼氏できると思うんですけど、浮気したいとか思ったりしないんですか?

か:今は好きなバンドがいて、そのライブを追っかけてることでストレス解消できてるんです(笑)。浮気は…。年下の男の子に飲みに誘われることとかはあるけど、めんどくさいかな〜。

同年代だけどシングルでまだまだ恋愛を求めている私と、仮面夫婦だけど既婚者で育児もしている和美さん。当たり前のことですが、立場が違うと恋愛へのスタンスもこうも違うのですね。

どんなステップファザーなら上手く行くのか?

さ:では和美さん、もしも次に結婚するとしたら、どんな相手を選びますか?

か:う〜ん。お金があって、束縛しない人かな。やっぱり、今までの結婚相手にはなかったものを求めますよね。

ひとつ言いたいことは、今回の和美さんの再婚相手は、もしかしたら父親として適性がない人間だったのかもしれない。だけど世の中のステップファミリーがみんな、こんな風に摩擦があるわけではもちろんないのです。

前回にちらっと書きましたが、私自身も母が再婚し、血の繋がらないステップファザーに育ててもらいました。うちの場合は愛情深いステップファザーで、母はすでに他界しているのですが「いい人と再婚してくれて、父を遺してくれて本当にありがたい」と母には感謝しかないです。もちろん、ステップファザーにも。

昔から、私がちょっと風邪を引いたら下を上をの大騒ぎ。今でもバツイチでひとり暮らしの私が熱を出すと「何か買って行ってやろうか」と心配してくれるし、たぶん元夫よりも歴代の恋人よりも優しい(笑)。私の反抗期には取っ組み合いのケンカをするほど、お互い遠慮もなく本気でぶつかって来ました。

そんな私が思うステップファザーとしての資質は、人格者で有言実行の責任感ある男性。そして何より大事なのは、妻を心から愛していること。妻を愛しているからこそ、その連れ子のことも愛してくれて大事にしてくれるのだと思う。

結婚をギャンブルにしないために

結婚ってギャンブル、みたいにいう人もいるけれど、長年いろんな話を聞いてきて思うのは、結局、目先のスペックではなく人格者かどうかという点で選べば、そんなに大きく失敗することはないんじゃないかと。

「男性の下半身は人格が別」ともいうから、浮気するかどうかまでは見抜けないかもしれないけど…。少なくとも人格者がモラハラしたりDVしたりはしないだろうし。万が一浮気をしたとしても、それなりに誠実な対応をするんじゃないのかな。

そんなワケで、もしもこれからステップファミリーになろうとしている人がいるならば、その相手が「いい親になれそうか」どうかをいちばんに重視したら、きっと上手く行くのではないかと思います。

ステップファミリー夫婦だって普通の結婚と一緒。相性や運はあるだろうけど、お互いの愛情と誠実さがあれば、歩み寄る努力ができますもんね。そして妥協ではなくて、その「努力」が結婚生活を長続きさせる秘訣なんだろうな。その努力ができる相手かどうか。―自分も、相手も含めて。―

和美さんの場合、再婚相手にいい夫としての資質がなかったから不満のある結婚生活にはなってしまったけれど、和美さん自身が忍耐強い母親なので、子どもたちがちゃんと守られて育っているのを感じます。学費は出してくれなくても生活費は出してくれて、4人の子どもを育てられているんですものね。

だから一概に和美さんの再婚を「失敗」とも「成功」とも言えない。そう、何が幸せかだなんて、人間、死ぬときまでわからないものだから。

インタビュー・文

さかいもゆる

出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。——と思ったらアラフォーでバツイチになり、意図せず、ある意味全方位フリーダムなステイタスになる。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。

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