そもそも「モラハラ」とは?
言葉や態度で嫌がらせをすること
「モラハラ」とは「モラル・ハラスメント」の略。一般的には、言葉や態度で嫌がらせをしたり、圧力をかけたりすることを言います。相手への精神的暴力と言えるでしょう。
特に近年、よく言われる「モラハラ夫」は、家庭内で妻や子にに対してモラハラを行う夫のことです。
当てはまったら要注意!モラハラ夫の特徴
30〜45歳の日本全国のワーキングマザーを対象に、「モラハラ夫の特徴」についてアンケートを行いました。みなさんから寄せられたコメントを見ていきましょう。
※アンケートは30~45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
言葉や態度で威圧してくる
全国の妻たちが体験したモラハラエピソードで最も多かったのが「言葉や態度で威圧してくる」ことでした。
・休みの日に風呂掃除を頼んだら、「休ませる気あるのか」と言われた(30代・千葉県)
・自宅でフルタイムで仕事をしているのですが、家事が進んでいないのを見て、「お前はずっと家にいたのに何やってたの?」と言われます(30代・埼玉県)
・偉そうな態度をとる(30代・兵庫県)
・「パートのくせに」と言われます。夫の稼ぎだけでは生活費が足らないから働いているけど、私のお給料を子どもの靴や服に使うと「なんで(自分に)なにも言わずに買うの?!」と怒られる(40代・埼玉県)
・暴言をはく。先日は「働いてるのはオレなんだから、文句言うな」と言われた(40代・宮城県)
・大きな声で怒鳴る (30代・佐賀県)
・機嫌が悪いと、起こる全ての出来事を私のせいにしてくる(30代・三重県)
家事や育児に無関心
さらに、家事や育児に無関心で妻に任せっきり、という意見も。
・夫が仕事の日は朝から晩まですべて家事をこなし、子どもの送迎までしているのは私のほう。にもかかわらず、夫が休みの日に家事をすると私に「手伝っている感」をすごく出す(30代・群馬県)
・同じように子どもを育てる同志のはずなのに、子どもが病気で私が仕事を休む話を他人事のように聞き、子育てのメインはいまだに女性だと考えているよう(30代・東京都)
ダメ出しをして自尊心を傷つける
例えば「そんなに掃除に時間をかける意味ある?」「家事が大変って言うけどもっと効率的にできないの?」など、家事へのダメ出しをしてくる夫。「桃山商事」代表の清田隆之さん曰く、これはれっきとしたモラハラだと言います。
「効率性・合理性・生産性を考えること自体は悪いことじゃないと思いますが、夫さんの言い方や態度はちょっとひどいですよね…。さらに問題なのは、『仕事のできる夫がダメ出しをしてくる。つまり、私は非効率でダメな人間なのだ』と、相談者さんが思いこんでしまっている可能性があるという点。夫のダメ出しを真に受けて自尊感情を低下させてしまっているとしたら、これはれっきとしたモラハラだと考えます。
また、もしも本当に効率性を重んじているだとしたら、妻へのダメ出しは生産性の低下を招きかねないという点で『非効率』的ですよね。それよりもむしろ、現状の課題を一緒にあぶり出し、どこをどうすれば改善されるのか、家事の分担や方法など具体的な提案をしながら考えていくほうがよほど効率的なはず。
そう考えると、夫さんは効率的でも合理的でもなく、単に相手を攻撃することが目的になっているのではないか疑惑が浮上してきます。これでもし夫さんが相応の家事分担を担っていなかったとしたら、結構な問題ですよね」(清田さん)
▼あわせて読みたい
行動を制限してくる
例えば自分は女性と二人で食事に出かけるくせに、妻には男性がいる同窓会や飲み会に行くことに対し、不機嫌になる夫…。清田さんによればこれも立派なモラハラだと言います。
「『自分はいいのに妻はダメ』というダブルスタンダードや自己中心的な理屈もさることながら、この〝不機嫌になる〟ってところが納得いかないですよね…。態度で嫌な空気をつくることで『もう面倒くさいから、行くのをやめよう』という判断を引き出している。つまり、妻に忖度を促して行動をコントロールしようとしているわけです。
相手の行動をコントロールするということは、れっきとしたDV(ドメスティック・バイオレンス)です。夫はそこまでしている自覚はないでしょうが、自由の制限は人権侵害に当たり、モラハラの典型とも言えます。
不機嫌な人と関わるのは確かに面倒なので、『だったら(同窓会や飲み会に行くことを)やめとくか』という発想に傾いてしまうこともあるかもしれませんが、それだと相手の思うつぼで、『なぜ私だけダメなの?』と問うことも出来なくなってしまう。第一段階である『話し合い』のフェーズにもっていくためにも、空気を読まずに行動してみる。そして、夫が『他の男と出かけるな』と言い始めたら、議論の余地が出てきます」(清田さん)
▼あわせて読みたい
夫がモラハラ男だった場合の「対処方法」
もしも自分の夫がモラハラ男だった場合にどうすべきか。その対処法について見ていきましょう。
別れる覚悟でじっくり話し合う
放送作家の野々村友紀子さんは、モラハラ夫はどこかで話し合わないとずっと地獄だと言います。
「お互いが冷静なタイミングで、『私もきちんとやりたいけど、できないときもある。それを責められるとイヤになります。限界です』と言ってみてはどうでしょうか。本当に別れる気持ちで話すというか、中途半端じゃなく覚悟を決めていることが伝わるくらいに真剣に。でないと向こうも『はいはい』っていうか、なめてかかってきそうだし。『今まで我慢してきたけど、もう無理です』と話し合いましょう」(野々村さん)
▼あわせて読みたい
証拠を残す
話し合いで改善しないのなら、離婚を前提に証拠を残しておくのもよいかもしれません。
弁護士の金野志保さんによると、モラハラは子供のメンタルにも影響してしまうそう。言葉の暴力があるなら証拠を残しておくと、離婚成立に有効だと言います。
「精神的な虐待だけでは、裁判上の離婚理由にはなりにくいのが現実です。とはいえ、言葉の暴力があるなら録音しておくこと、診療内科に行って診断書をとることは、有効な方法です」(金野さん)
別居する
また金野さんによると、「別居」もモラハラから早く脱するために有効だと言います。
「いちばん有効なのは別居してしまうことです。別居期間が2〜3年あればそのほかの事情がなくても離婚判決が得られることが多いですし、精神的にも楽になります」(金野さん)
大切なのは傷をうけている自分の心としっかり向き合い、必要に応じて第三者に相談するなどのSOSを発すること。「目に見える暴力ではないから」と我慢を続けるのはやめましょう。
メイン・アイキャッチ画像:(C)Adobe Stock
▼あわせて読みたい