Q.子どもがふたりいて、まずは別居してから離婚予定です。当座のお金があまりないのですが、別居中の生活費や慰謝料、養育費っていつから受け取れるのでしょうか?(マスコミ勤務・34歳・2歳男児、4歳女児のママ)
A.
「別居中又は離婚後も子ども達が母親のもとで監護養育される事が前提となりますが、例えば離婚する前から別居して調停中の場合、離婚成立までの間に、夫から生活費が支払われないといったケースでは夫に対して『婚姻費用』を請求できます。
これは子どもの監護養育のための費用と妻の生活費を含むもので、自分と相手の収入に応じて計算し、収入が多い方が少ない方へ支払う義務があります。また、あとから請求する場合は、別居生活がスタートしたところまで遡って請求できます。
この『婚姻費用』は相手が払うと言ってくれたらその時点から支払われますが、もし払わないと言われた場合は、家庭裁判所で『婚姻費用分担調停』の申し立てをすることが出来ます。ただしこの婚姻費用分担調停をした場合、婚姻費用が発生するのは調停申し立ての時点からとされるケースが多いので、注意が必要です。
具体的に説明すると、例えば1月に別居を開始し、その年の7月に婚姻費用調停の申し立てを行い、12月に婚費が月8万円と決まったとします。この場合、未払いの婚姻費用となるのは7月から11月までの5カ月分×8万円の40万円であり、1月からの11カ月分とはならないケースがほとんどです。ですので、婚姻費用、つまり別居期間中の生活費を請求する場合には、すみやかに申し立てを行う必要があります。
夫婦には相互に扶養義務があるので、これは当然の権利。その毎月の金額に関しては夫婦間で協議して決める事が大原則ですが、この協議がまとまらない場合には先の婚姻費用分担審判で家庭裁判所が決定します。そして婚費が決定したあと、もしも支払い義務のある側が支払いに応じない場合、給与を差し押さえる等の強制執行を行うことができます。
そして離婚による慰謝料と養育費ですが、これは離婚成立の時点から支払義務が生じます(養育費に関しては、子供たちが母親のもとで生活するということで離婚成立した場合になります)。
調停で離婚を成立させる場合には、通常は慰謝料の支払期限を決めて調停調書(和解書のようなもの)に記載します。
これは例えば「夫は妻に対し、本件離婚による慰謝料として金200万円の支払義務があることを認め、これを令和元年7月末日限り、妻の指定する中川銀行松戸支店の口座に送金して支払う」のような内容になります。
こちらもきちんと支払われない場合は給与を差し押さえることが可能です。ただ、調停等で離婚が成立した場合には養育費が決まっているケースがほとんどなので強制執行もすみやかに行えますが、協議離婚の場合にはその限りではないため、注意が必要です。」(中川先生)
●本連載では離婚に関する慰謝料や養育費など、法律的な悩みや疑問にプロの弁護士が直接回答します!ご相談ごとがあるかたは、domani2@shogakukan.co.jpまでメールでお寄せください。 件名に「離婚相談」と書いてなるべく具体的な内容をお送りください。すべてのご相談にお答えできるとは限りません。あらかじめご了承ください。
お悩みに回答してくれたのは・・・
中川裕一郎先生
弁護士。東京中川法律事務所経営。https://tokyo-nakagawa.com
商社勤務時代にバックパッカー旅行に飛び出し、世界中を回ってみつけた、弁護士となって社会的正義を守るという生涯の目標のため、紛争を未然に防止し、目の前の依頼者を笑顔にするために日々奮闘中。親身になってアドバイスをくれる人情派弁護士として、依頼者たちからの信頼も篤い。
インタビュー・文
さかいもゆる
出版社勤務を経て、フリーランスライターに転身。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛ける。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。Web Domaniの人気連載「バツイチわらしべ長者」で様々なバツイチたちの人生を紹介している。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」では、アラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。