シンガポール人と国際結婚したけれど…
(取材データ)
愛さん(仮名)、41歳。職業はエディター。27歳でシンガポール人と国際結婚するも、文化の違いなどが原因で離婚。その後38歳で現在の夫と再婚し息子を出産。現在は3歳児のママとして幸せな結婚生活を送っている。「今思えば、挙式当日に予兆はありました」
出演者が全員アジア人なのにも関わらず、アメリカで珍しく大ヒットした、シンガポールが舞台の映画『クレイジー・リッチ!』に去年の夏ハマっていた私。
「こんな風にリッチなシンガポール人と結婚するのも悪くないな〜」とお花畑全開な妄想が捗っていたのですが、今回は実際にシンガポール人と国際結婚して、バツイチになった愛さんのお話です。
愛さん:前職の国際関係の仕事をしていたときにイベントで知り合った、日本在住のデザイナーのシンガポール人のAさんとは、1年半の交際を経て27歳のときに結婚しました。
最初に出会ったときは、一緒にイベントに行った綾菜さんの友人がAさん狙いで、愛さんはAさんの友人であるニュージーランド人男性のことを気に入っていたそう。けれどニュージーランド人は元カノとゴタゴタしていたため、何回かデートしたのちに、愛さんにひとめぼれしたというAさんと付き合うことに。
―何だか出だしからインターナショナル感と“アメリカのドラマのような複雑な人間関係感”がすごい!
さかい:国際結婚することに対して、迷いのようなものはなかったんですか?
愛さん:それが、そういうのは特に考えなかったんですよね〜。年齢的に、漠然と結婚して落ち着きたいという願望があったのと、彼が「そろそろシンガポールに帰ろうかな」と言い出したので、遠距離恋愛は嫌だから、それなら結婚しようかと。それくらいのノリで結婚しちゃったんです。
今思えば、結婚式当日に、結婚生活が上手く行かない予兆のようなものがあったと言います。
愛さん:友人が手作りしてくれたリングピローを式で使用したのですが、指輪交換のときになぜか彼が、そのリングピローのリボンをほどいたんです。それに違和感を覚えちゃって。「もしかしたらこの人とは将来一緒にいないかも」って、直感的に思いました。
シンガポールへの里帰りでカルチャーショックの嵐!
シンガポール人である夫との文化の違いを感じ始めたのは、彼の故郷の実家に行ったときのこと。
日本語も英語もペラペラのAさんと帰国子女で英語が堪能な愛さんは、それまでコミュニケーションに不自由を感じたことはありませんでした。が。Aさんの実家では、Aさんの姉と妹は英語が話せるものの、義母は中国語しか話せないため、家族での会話は全てが中国語。
愛さん:シンガポールに行くときは毎回彼の実家に長く滞在する決まりでした。だけど滞在中、家族団欒の食卓で会話に一切入れない。何を話しているのかもわからないのは、疎外感でかなりストレスでしたね。
加えて、一般的に、日本人よりも家族の結束が強くて母親大好きなシンガポール人家庭のせいなのか、寝るときには何故か、義母の寝室で愛さん夫婦と義母の3人で寝る、というスタイル。日本ではまず、あり得ないシチュエーション!
さかい:ええ〜、それは気まずい!
愛さん:ですよね!? 何だか変な感じだけど、嫌だと言える雰囲気でもないし…。それと、シンガポールでは自炊はせず、外でご飯を買ってテイクアウトするという文化なんです。その食文化も私には合わなくて、苦痛でした。
さらには愛情表現もあまりしないという文化らしく、Aさんの家族が自分に対してどのような感情を抱いているのかわからなかったのも、愛さんにとってはさみしかったそう。
結局、大事なのは「フィーリングの相性」なのかも
けれど実は、決定的な離婚の決め手となったのは、そんな文化の違いではなく、お互いの「清潔度の違い」。
若干、潔癖症で神経質なところがある愛さんは、ゴミの捨て方や洗濯物の干し方、それにトイレの掃除に到るまで、夫の一挙一投足に徐々にイラつき、結婚してからは毎日のようにケンカする日々。
さかい:そういうのって、結婚前に気がつかないものなんですか?
愛さん:そうなんですよね〜〜(苦笑)。一緒に暮らし始めたことで嫌なところが目につき始めちゃって。例えば私はビールの缶もちゃんと洗って捨てたいのに、彼はそのまま捨てようとするところだとか、よくしゃべってうるさいなとか。夜の相性もそんなに良くないなってことにも、結婚してから改めて気づいてしまった感じでした。
さかい:ふむふむ。最初の結婚がそういう感じだと、再婚するときは相手のこと、やっぱり良くチェックして決めました?
愛さん:それが、結婚前に意識してチェックしたとかはなかったんですが、年齢を重ねて私も丸くなったのか、再婚相手に対して気になるところって特にないんですよねえ。付き合う前から長年知り合いだった相手だということもあるかもしれないですけど。
これがいわゆる「フィーリング」とか「生理的に合わない」というやつなのかもしれませんね。どこがどう、ってわけではないけど、何かとイラっとするような違和感を覚える相手と、それと同じような言動をしても別に気にならない相手って、存在しますもん。
―あまりにも合わないので「一度ちゃんと話し合おう」と話し合った結果、あっさりと「別々に暮らそう」という結論に達したのですが、ここからが国際結婚の落とし穴だったのです。
国際結婚ならではの離婚の困難さを乗り越え、愛さんが幸せな再婚をするまでのお話は、次回に続きます。
▶︎シンガポール人の夫と別居中にイケメン韓国人と恋愛、離婚。現在、日本人男性と再婚して幸せになるまで〜愛さんの場合vol.2
インタビュー・文
さかい もゆる
出版社勤務を経て独立。と思った矢先、離婚してアラフォーでバツイチに。女性誌を中心に、海外セレブ情報からファッションまで幅広いジャンルを手掛けるフリーランスエディター。Web Domaniで離婚予備軍の法律相談に答える「教えて! 離婚駆け込み寺」連載も担当。著書に「やせたければお尻を鍛えなさい」(講談社刊)。講談社mi-mollet「セレブ胸キュン通信」で連載中。withオンラインの恋愛コラム「教えて!バツイチ先生」ではアラサーの婚活女子たちからの共感を得ている。