年に1回、同窓会の日に恋愛関係を持つ
今回お話を伺ったのは…
小山内美香さん(仮名・40歳)、新潟県出身・中堅私立大学法学部卒業、輸入関連会社勤務(年収420万円)。3歳年下の夫(IT関連会社勤務・年収560万円)と結婚10年。東京都目黒区内の賃貸マンションに在住。子どもは8歳の女の子と、4歳の男の子。身長150cm、白のタートルネックのワンピースに衿なしコートをはおり、あるハイブランドの緑色のポシェットを斜め掛けしている。
なんとなく、ダラダラと恋愛関係を続けてしまった
不倫というとドラマティックなイメージがあるが、そうではないことも多々ある。美香さんはまさにそんな不倫を続けている。彼女は25歳のときの同窓会で、高校時代に交際していた男性と再会。毎年お盆に行われる同窓会の後に、”習慣的に”男女の関係を持っているという。
「夫よりも前に恋愛関係になって、結婚してからもなんとなくダラダラと続いています。同窓会と言っても、開催されない年もあったし、タイミングが合わずに行けなかったこともあったので、実際に関係を持っているのは6~7回くらいだと思います」
「あのとき、できなかったことをしよう」
美香さんが通っていたのは進学県立高校。美香さんの両親の出身地は東京で、ともに大卒。周囲が地元の国立大学に進学する中「東京の大学に行く」のが当たり前だと考えていた。
「彼も私もトップクラスにいたので、学校が主催する補修などでよく合ううちに、好きなアニメや映画の話をすることになった。彼は地元の国立大学に進学するためによく勉強をしていました。ウチに遊びに来て、キスとかわりとハードなことをしていたのですが、お互いに、妊娠が怖くてそれはしなかったんです」
同窓会で再会し「あのとき、できなかったことをしよう」と熱い目で言われた。
「25歳で私は東京の大学に進学し、東京で仕事をしている。彼は地元の国立大を卒業し、公務員になっている。お互いに付き合うとか結婚するとかの選択肢はないんですよ。私は東京を離れないし、彼は地元に根を下ろしている。友人とセフレと半々くらいの気持ちで、地元のラブホテルで関係が始まりました」
同じ時期に結婚し、ダブル不倫が始まる
彼も美香さんも結婚は30歳のとき。それから一年に1回のダブル不倫の関係が始まる。
「私は地元に戻らないとはいえ、頭のどこかで彼を逃げ場のように考えていたので、結婚したと聞いた時はショックでした。すぐに私も手近な年下男子と結婚。夫とはいろいろタイミングが合って夫婦になりました。結婚って不思議なもので、しようとおもってできるものではなく、サーっと船が来るような感じ。そこに躊躇せず乗れたのは、彼が結婚したからだと思います」
関係はこれで終わるのかな……と思っていた。
「そしたら、同窓会の後に、向こうから誘ってきて、ラブホに行きました。彼も私も、落ち着く相手なんですよね。カッコつけなくていいし」
妊娠期間は会わなかった
しかし、彼は結婚から2年後に離婚してしまう。
「奥さんが浮気して、奥さんから『別れてください』と言われたとのこと。その時は私も妊娠していたし、彼どころではなかったので、たいして興味も持たなかったですね。そこから何年か空白期間があり、再会したのは2年前の夏の同窓会。お互い、いい感じに年を取って、彼も頭が薄くなっていましたけどね」
当然のごとく、ホテルに誘われ、もちろんついて行く。
「お互いのお腹の肉とか、そういうことも恥ずかしく思わずに気兼ねなく開放できるのがいい。あと、いろいろお互いのことを知っているし。年に1回、夫とは別の男性と、こうしてコミュニケーションできるのはいいな、って。ウチの夫婦はとっくにレスで、夫もテキトーに遊んでいるみたいだし、彼も今は彼女はいないみたいだし。彼と会ってから、実家に帰って寝ている子どもたちの顔を見て、『この子たちがいれば幸せだな』とつくづく思います。たぶん、一生バレないし、バレたところで大きな変化は起こらないと確信しています。ただ最近、彼とスマホでやりとりをしていると長女がのぞき込んでくるんですよ。何か勘づいているのかな…」
私が取材した限りなんとなく浮気を公認し合う……という夫婦はじわじわと増えているようだ。だが、家庭全体と捉えたときに、何らかのひずみがあるケースは少なくない。
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Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。