パワハラ上司「子ども産んで、いい女になったな」発言
今回お話を伺ったのは…
水原亜由美さん(仮名・36歳)、東京都出身・名門私立大学国際関連学部卒業、IT関連会社勤務(年収700万円)。同じ年の夫(会社経営・年収不明)と結婚5年。中野区にある、夫が所有するマンションに在住。子どもは4歳の女の子。身長165cmで中肉中背。エレガントなカジュアルが似合うクール美人。
毒母の支配から救ってくれたのは夫
「母親にになるつもりはなかった」と亜由美さんは言う。
「今、私は母と絶縁しているのですが、ホントに絵にかいたような毒親で、自分の理想とする”いい子”を押し付けてくる。だから私は高校生の時に不適切な恋愛関係をずっと続けたりしてボロボロになっていました」
がむしゃらに仕事をして、評価依存に陥っていた亜由美さんを救ったのは夫。
「案件を抱え込んで、徹夜で仕事。仕事が回らず切羽詰まっていた私に手を差し伸べてくれたのが、ウチの会社の仕事を受けてくれていた夫でした。成り行きで男女の関係になり、プロジェクトが終わってすぐに妊娠がわかり、結婚することになったのですが、母が大反対したのです」
専門学校卒の夫とのデキ婚に母は難色
「デキ婚は言語道断。結婚するなら大卒じゃなくてはダメ」と言う母に、亜由美さんは反発。駆け落ち同然で結婚する。
「母とはそれ以来、絶縁しています。父とは戸籍上は家族なのですが、父は20年以上前から別の女性と生活していて、その女性との間に子どもが3人いて、孫もいるんです。出産してからは、義両親と夫が娘を見てくれており、私はすぐに仕事復帰しました」
夫と結婚してわかったことは、夫が莫大な不動産資産と金融資産を所有していること。お金の心配なく生きられることにホッとしたという。
2人目の話をしたら、体外受精のパンフレットを出される
ところが結婚してから、男女関係が一切なくなる。
「夫は“家族とはデキない”という人のようで、私に対して妻として母として尊敬しているし、女性として尊重してくれます。でも娘のパパとママ以上の関係を持ちたがらない。娘が2歳のときに、2人目の話をしたら、体外受精をしているクリニックのパンフレットを出されました」
そのときのショックは、足元が崩れるほどだった。
「だってまだ私は33歳ですよ。超女ざかりでナンパもされているのに、一番愛してほしい夫とは、今後一切そういうことがないと宣告をされるんです。あれはショックでした」
海外支社に赴任していた上司が帰国する
絶望的な気分で出社した朝、結婚前に亜由美さんを散々苦しめたパワハラ上司がいた。上司は亜由美さんより10歳年上。海外支社から東京本社に移動になったのだという。
「上司は体育会系で、とにかくパワハラがひどい。言葉がきつくて、部下を支配してくるんです。でも、顔が塩顔でカッコよくて、体型は細マッチョ。さらに仕事がデキるから、バカみたいにモテる。離婚を2回もしていて、元妻のうちの一人は、元フリーアナウンサー。もう一人は元タレント。いずれも子どもができなかったことと、上司の浮気が離婚原因だという噂です」
そんな上司が「おい、亜由美。オマエ、子ども産んでキレイになったな」と言ってきた。
「他の人が言ったら、セクハラ・パワハラ、女性蔑視。それなのに、体がビクーンって反応したんです。上司もなんか感じたんでしょうね。女好きだから。その夜、上司の歓迎会があり、『亜由美、帰るぞ』とタクシーに強引に乗せられて、ラブホテルに行きました。場末すぎる汚い安ホテルで、シャワーも浴びずにそういうことを急いでする。でも私で反応しているんですよ。それが涙が出るくらいうれしかった」
反応してくれる喜びに、言いなりになってしまう
夫は指一本触れようとしない亜由美さんの体に、形容詞を駆使して賞賛する上司。
「全部がよかった。私、かつての夫みたいに優しく丁寧にされるよりも、強引にハードにされる方が好き」
まさに上司は理想的な恋愛対象だ。
「そうなんですけれど、あれだけいい女とばかり関係を持ってきた上司の体が、私なんかで反応しているのがうれしい。夫に対して私から迫った時に『ママなのに亜由美ちゃんは気持ち悪いよ』と言われて、全く反応されなくなったこともトラウマだったので」
ホテルでしたのは最初の1回だけ
それから2年間、上司との関係は続いている。
「1週間に1回くらいかな……上司は家に入れてくれないし、私も自宅に連れ込むわけにはいかない」
一体どこで会っているのだろうかと聞くと、会社内だという。
「トイレとか、休憩室とかでハードなことをしています。でも最近、困ったことがあり、上司は口が軽いから、私とのことを後輩にしゃべっちゃったらしいんですよ。そしたら私の仕事が一気にしにくくなったし、女性社員に避けられるようになったんです。それでも関係はやめられないんですけれどね」
効けば亜由美さんの夫は、まだ会社に出入りしているという。耳に入るのは時間の問題だが、その後どうなるのか……そのことについて、亜由美さんは全く気にしていなかった。
写真/(C)Shutterstock.com
Writer&Editor
沢木 文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。お金、恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。