コロナ禍の長引く休校、子どもたちとどう向き合う?
星山先生:新型ウイルスコロナ感染拡大防止のための学校の休校で、子どもを持つ多くのご家庭の生活は大きく変わりました。とくに、学習の遅れやお友だちとの関係など、ママたちの心配事は、コロナが流行する前の日常にどう戻すか、またはどう戻せるかという点に集中しがちです。
星山先生:「学校に行かせなきゃ」「学校があったときと同じように勉強させなきゃ」「いったいいつ戻れるのだろう」と、〝元に戻そうとする〟考え方に固執することで、自ら追い詰めて大きなストレスを抱え込んでいるママが少なくありません。だって、コロナ流行前には戻れないのですから。戻れない怒りや焦りは、なかなか勉強を始めない目の前のわが子や、再開をしてくれない学校に向かってしまいます。
極端な話をすると〝前と同じには戻れない〟と思います。今回の件で局面が変わったと思ってもらった方がいいと思います。今ある現実を「新しい局面」や「新しい視点」なのだと前向きにとらえて、ママ自身のことや子どもとの向き合い方、そして子どもたちがこれからの長い人生、何を大切に生きていくかを考えるときなのだと捉えた方が建設的です。そして、今回の見えないウイルスの脅威や人との接触を避けなければいけない生活は、誰も予想ができなかったこと。このような災害が実際に起きて、その中でどのように自分のストレスや心持ちを前向きに変えていくかということを試されている時期なのではないでしょうか。
今は〝本来あるべき親子・家族関係を取り戻す〟時期
星山先生:学校の休校は一部では緩和され、再開している地域もありますが、特定警戒地域などではまだ暫くは続くといわれています。でも、過去にこんなに長い時間、子どもと一緒に過ごせた日々があったでしょうか。
星山先生:本来あるべき親子関係や家族関係を取り戻すという意味で考えたら、今の状況は理想的といえるのです。こんな長い時間を一緒に過ごせることなんて、もう一生ないかもしれないのです。いつも働いているママやパパが、心のどこかで「もっと子どもと一緒にいたいな」と思いながら職場に向かっていたことを考えると、今の状況は、恵まれた子どもとの時間なのかもしれません。確かに、先行きが見えない経済的な不安など、大人の責任という部分ではストレスはある程度ありますが、子どもの立場から見たら、いつも家の中にパパとママがいて、3食一緒に食べているのです。これは、ものすごく幸せな時間なわけです。
星山先生:子どもたちが今受けているストレスがあるなら、「こんなに晴れていていいお天気なのに、なぜ外に行けないの」ということですが、これは家族全員が同じように体験していることなので、類まれなき家族の共感度がグッと上がります。悪いことも含めて「家族全員」が同じ状況下にいるわけですから、とても貴重な体験なのです。ただ、長い時間、狭い家の中でママと子どもたち、または、そこにパパも加わって過ごさなければいけないのですから、お互いが快適に過ごすための工夫は必要になると思います。そこで大切にしたいのが「良好な親子関係」です。
インタビューvol.2
▶︎休校はママの生き方、子どもたちの学び方を変えるための「時間」|星山麻木先生インタビュー vol.2
写真/(C)Shutterstock.com 取材・文/保坂宏美
星山麻木先生
明星大学教育学部教授。保健学博士。一般社団法人星と虹色なこどもたち設立。一般社団法人こども家族早期発達支援学会会長。日本音楽療法学会認定音楽療法士。PLAYFUNミュージックムーブメント ボーネルンドから親子遊びをYouTubeで配信中。発達サポーター講座オンラインも始まります!詳しくはhttps://hoshiyama-lab.com/(星山研究スタジオ)